軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

昇級試験5

森の中の開けた場所に数十人の冒険者たちが集まっていた。

周囲には冒険者ギルドの職員がいて、冒険者たちが手に入れた素材を確認している。

「……『飛行亀の甲羅』が二つで……金貨一枚と大銀貨二枚ですね。おめでとうございます。条件クリアでEランクに昇級です」

「おっしゃ! やったぜ!」

茶髪の少年がぐっとこぶしを握る。

「これで俺もEランクだ!」

隣にいた少女が口を開く。

「私も運よく虹色鳥を捕まえたから、楽にクリアできたよ。運命の神ダリスに感謝しないと」

「ああ。今回の試験は運の要素が強いからな。実力があってもモンスターを見つけられなければ、どうにもならないし」

「そうね。まだ、条件をクリアできてない人たちもいるみたい」

「まだ、戻ってない奴らはまずいな。試験終了まで残り二時間を切ってるし」

その時、木の陰からアルベルが姿を見せた。

アルベルは魔法のポーチから取り出した黄金色の毛皮を職員に放り投げた。

「こ、これは『黄金熊の毛皮』ですか?」

職員の目が丸くなった。

「ああ。小さいサイズだが、これで金貨六枚にはなるだろ」

「は、はい。しかし、よく黄金熊を倒せましたね。こいつはDランクの冒険者でもソロで倒すのは厳しいモンスターですよ?」

「多少は手こずったがな」

アルベルは白い歯を見せて胸を張る。

「まあ、俺は聖剣の団の団員だからな。ぎりぎりの金額で条件クリアなんて、恥ずかしいことはできないんだよ」

「さすが、アルベルね」

カミラがアルベルの肩に触れた。

「黄金熊を倒してくるなんて、やるじゃない」

「まあな。で、お前はどうなんだ?」

「一角ウサギや紫トカゲを大量に殺して、なんとか金貨一枚分の素材を集めたわ」

「ぎりぎりかよ。ダサいな」

「しょうがないでしょ。高い素材になるモンスターが見つからなかったんだから」

カミラは赤色の髪に触れながら、唇を尖らせる。

「私だって、黄金熊を見つけたら、火属性の魔法で倒せるから」

「それじゃあ、素材の毛皮が焦げちまうだろ」

アルベルはカミラの腕を軽く叩く。

「で、ダズルは?」

「僕も三時間前に条件クリアしたよ」

カミラの背後から、ダズルが姿を見せる。

「僕は全部で金貨一枚と大銀貨五枚ぐらいかな」

「そうか。まあ、全員Eランクになれたのなら、よしとするか」

「おいっ、あいつら、聖剣の団の団員みたいだな」

周囲にいた冒険者たちがアルベルたちに視線を向ける。

「黄金熊を倒すなんて、たいしたもんだぜ」

「あ、ああ。俺の団のDランクの先輩は黄金熊に殺されたんだよな」

「まあ、聖剣の団が団員にするぐらいだから、もともと素質がある連中なんだろう。複数の戦闘スキル持ちとかさ」

「さすが聖剣の団だな。いい新人を団員にしてるぜ」

称賛の言葉にアルベルの口角が吊り上がった。

「ちょっと目立ちすぎたかな」

「まっ、目立つのにも慣れとかないとね」

カミラが言った。

「Aランクの冒険者になったら、顔と名前は町中に知られちゃうんだし」

「どうせなら、Sランクになって、ゲム大陸にいる人族全員に俺の名前を覚えさせてやるさ!」

アルベルは茶色の前髪を指先で払う。

「あ、そうだ。面白い話があるんだ」

ダズルが口を開いた。

「ヤクモのことだけどさ」

「んっ? ヤクモがどうかしたのか?」

「実はさ……」

ダズルはヤクモが手に入れた『雷リスのしっぽ』を蹴って、焚き火の中に放り込んだことをアルベルたちに話した。

「……だから、ヤクモは素材集めが間に合わないかもしれないよ。この時間になっても、戻ってきてないしね」

「へーっ、そいつは面白いな」

アルベルがにやりと笑った。

「聖剣の団を追放されて、Eランクの昇級試験にも落ちるか。まあ、あいつの実力じゃ、順当な結果だが」

「だよね。今までは運に助けられてたけど、今回はダメかもしれないね。ひひっ」

ダズルは甲高い笑い声をあげる。

「これでヤクモを勧誘したパーティーのリーダーも気づくだろうね。あいつが使えない紙使いってことをさ」

「ははっ、そうかもな」

アルベルたちは笑い出した。

その時、細い獣道から、ヤクモが姿を見せた。