軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

失敗続きのパーティー

アキトが封印の迷宮をした後、ジェイドたちはA級の依頼を受けたが、またしても失敗してギルドに戻ってきていた。

「……また失敗ですか」

依頼に失敗したことを告げると、職員が失望の混じったようなため息を漏らす。

職員のあからさまな態度にジェイドは拳を握りしめるが、依頼を失敗した以上は何も言う権利はない。

彼は舌打ちすると、ジュリアとハロルドを連れてギルドに併設された酒場へと足を運んで酒を頼んだ。

給仕がエールを持ってくると、ジェイドは酒杯を一気にあおり、その苛立ちをぶつけるように酒杯をテーブルに叩きつけた。

「ジュリア、お前があそこで範囲魔法を撃っていれば、魔物に囲まれるなんてことにはならなかったんだぞ!?」

「はぁ? あたしのせいって言いたいわけ? 大体、前衛の二人が頼りなさ過ぎるのよ! 詠唱してるっていうのに漏れた魔物がこっちに来てんのよ?」

「それはタンクの俺の落ち度でもあるが、魔物を一人で引き付けるのにも限界がある。ジェイドが速やかに魔物を始末してくれなければ、俺の負担は増す一方だ」

「ああ? 俺がとろいからだって言いてえのか?」

こうやって互いに責任を押し付けるのは、ここ最近の【金色の牙】を見ていれば何度となく見る光景である。

「そもそもジュリアは魔法をもっと早く撃てねえのか? というか、前までは【詠唱破棄】を使ってぽんぽん魔法を撃ってただろ?」

「スキルツリーを振り直しても【詠唱破棄】まで届かないのよ! 今までは普通に使えていたのに! ……ねえ、前にアキトにスキルツリーの振り方を聞いてくれるって言ってたけど、あれどうな

ったの?」

ジュリアがアキトの話題を振った瞬間に、ジェイドはバツが悪そうな顔を浮かべた。

「あのお荷物野郎、迷宮のことを根に持っているか教えやがらねえんだよ」

「なにそれ? あたしたちと元はパーティーを組んでたって意識がないんじゃないかしら?」

「抜けたとした仲間へのサポートはするのが筋だろうに……」

脱退したパーティーをサポートする義理などはないのだが、ジェイドたちは自分たちの都合のいいことしか考えていない。

そんなジェイドたちの光景を酒の肴にし、周囲の冒険者たちは笑っていた。

「おいおい、あいつらまた依頼が失敗したみたいだぜ?」

「アキトの代わりに新しく入ってきた付与術師も速攻でパーティーを抜けたって聞くしヤバいだろ」

「……おい、今ならお前も【金色の牙】に入れるんじゃないか? 入ることができたらエルダニアでも有数のA級冒険者になれるぞ!」

「バカ言え。味方を迷宮主の部屋に放り込むパーティーだぞ? そんな奴らに背中を預けられるかっての」

「そもそもビッグエイプの討伐を失敗してる時点でA級の実力があるのかも疑わしいぜ」

「アキトがいなくなってからじゃないか? 依頼が失敗してるのは?」

「【金色の牙】がA級パーティーとしてやってこられたのはアキトのお陰なんじゃねえのか?」

「アキトは新人を連れて封印の迷宮を攻略したらしいじゃねえか。信憑性は十分にあるな」

「てめえら、さっきから聞いてりゃ喧嘩売ってんのか? ああ?」

ジェイドが凄むと、好き勝手に話して盛り上がっていた冒険者は気まずそうに黙り込んで視線を逸らした。

「ちっ、C級にも上がれないような低級どもが」

冒険者たちが歯向かってこないことを確認すると、ジェイドはどかっと椅子に腰かけた。

ジェイドはエールをあおると、切れ長の瞳をジュリアへと向ける。

「アキトを調子に乗らせていると俺たちが舐められる」

「同感だな」

「そろそろ報酬が無いと生活も厳しくなるし? 手堅く成功できるB級の依頼でも受けましょう」

アキトが抜けてからジェイドたちは依頼が失敗続きであり、ロクな収入を得ることができていない。散財する癖のあるジェイドたちの懐は勢いよく減少していた。

ここらで依頼を一つでも成功させておかないと生活にも影響が出るし、ギルドからの評判が落ちてしまう。

そんな現状を脱却するべくジェイドたちは掲示板へと向かう。

A級の依頼を剥がすと、先ほどのため息をついた職員のいるカウンターの元へ持っていく。

「申し訳ありませんが、今の【金色の牙】の皆さんにA級の依頼を受けさせるわけにはいきません?」

「どういうことだ? 俺たちはA級だぞ!?」

「A級なのに立て続けに依頼を失敗しているじゃないですか。ギルドとしては冒険者の身の丈に合っていない依頼を斡旋するわけにはいきません。今の皆さんが受けられるのは精々がC級の依頼です

ね。そこから堅実に依頼をこなして、アキトさんが抜けた【金色の牙】にA級の実力があるのかを証明してください」

「A級の俺たちがC級の依頼を受けるだと!? 話にならねえ!」

ジェイドは怒りをぶつけるようにしてカウンターを叩くと、そのまま踵を返してギルドを出る。

A級なのにC級の依頼を斡旋されたことはまだ許せたが、アキトにいない自分たちの実力を疑われていることにジェイドは我慢ならなかった。

「あっ、ちょっとジェイド! どうするのよ!?」

「封印の迷宮に行くぞ!」

「封印の迷宮? どうして?」

「難関迷宮の一つでも攻略してやれば、ギルドも俺たちの実力を疑うようなことはなくなるだろ。それに調子づいているアキトの評判を落としてやれて一石二鳥だ」

「なるほど。それは名案だ」

「あのアキトでも攻略できたんだもん。あたしたちで攻略できないはずがないものね」

攻略されたことの無かった封印の迷宮を攻略したこともあり、今のアキトの株はギルドでもうなぎ上りだ。しかし、その迷宮をすぐに別のパーティーが攻略したと耳にすれば、実際には大したこと

のない迷宮だとギルドや他の冒険者も思うに違いない。

そんな思惑を抱いてジェイドたちは封印の迷宮に挑む準備を始めた。

実際にそれが大きな間違いであることに気付くのは、彼らが迷宮の中に入ってからだった。