軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

魔法を使おう1

「うーむ……」

すっかり座り慣れてしまった玉座で、メニューを前に唸る。

「どうしたんじゃ?そんな何もないところを熱心に見て」

さっきまで「お、おぉ……スライムなどまともに相手したこともなかったが……こうして見ると、なかなか愛いヤツじゃのう……」とかなんとか言って、シィをツンツンとつついていたレフィが、訝しげな表情でこちらを見る。

「いや、別に――って、何もない?」

コイツには、このメニュー画面が見えてないのか?

「うむ。うつけのように虚空をボーっと眺めているようにしか――あぁ、そうか、自身のステータスでも見ておるのか。お主も確か分析スキル持っておったしの」

納得したようにそう言うレフィ。

「その言い草だと、レフィも持ってるのか?」

「うむ。便利なもんじゃぞ、アレは。スキルレベルが上がっていけば万物を見通すことも可能になるからの。まあ、そこまでスキルレベルを上げられる者は一握りじゃが」

「……なあ、お前昨日、ここに来て初めて俺が魔王だって気付いた感じだったよな?分析持ってるんだったら、最初から俺が魔王だって気付いてたんじゃないのか?」

「いや、最初はどっかの木端魔族が考え無しに儂の縄張りへやってきたもんじゃと思っておったから、どうせ雑魚だろうと特に分析も使わなかったんじゃ。その後はちょこで頭がいっぱいだったからの。完全に忘れておった。あ、ユキ、ちょこ食べたい」

「お前、絶対そのうち虫歯になるぞ」

「何を言っておる。儂は古代龍じゃぞ?状態異常にはならん」

虫歯って状態異常扱いなんすか、そうすか。

俺はDPカタログを開き、それをレフィにひょいと投げ渡す。

「む?これは何じゃ?」

「クッキー」

「どれどれ……わふーっ!これも美味いの!やっぱ今までの寝床捨てて正解じゃったな!布団も寝心地良いし、人型形態がこんなに過ごしやすいもんじゃとは知らなんだ」

わふーって。

子供みたいにはしゃいで、クッキーをぼりぼり食べるレフィに苦笑を溢す。

まあ、気に入ってくれたんなら何よりだ。何故ならチョコよりそっちの方がDP安いからな。

「それで?お主はステータス見ながら何を悩んでおったんじゃ?」

「いや、魔法、使えるようになりたいと思ってよ。魔力値は高いみたいだから、使えない、ってことはないんだろうが……」

さっきの犬っころを倒した時のグロ光景を見て、そう思ったのだ。

俺は所詮、前世ではケンカなどまともにしたこともないような人間だった。

身体能力は幾分高いようだが、それでもあの犬ッころより強い魔物はごまんといるだろうし――何より、ダンジョンに潜るような、戦闘を生業とする人間や亜人族に、それで勝てる気はしない。

中には、同種族である魔族であっても、敵となる者もいるだろう。

我が家にはこの覇龍がいるが、だからといって頼り切りでいれば、その内しっぺ返しを食らうだろうことは目に見えている。

俺、知ってる。「慢心せずして何が王か!」って感じの心持ちでいるヤツから死んでいくんだ。

何と言ってもこの世界はなかなか過酷なのだ。であれば、力があって悪いことはないだろうし、どうせ異世界にいるなら魔法を使えるようにならないかと思ったのだ。

それに、ステータスを見る限りだと、俺の能力値は魔力の値が他と比べて圧倒的に高い。

使わない手はないだろう。

まあ、だったら強い配下の魔物を召喚すればいいんじゃないかって話ではあるんだがな。

なんだかんだ言ったが、要するにただ俺が魔法を使いたい。それだけです。

――ただ、その肝心な使い方がわからない。

一人で「かめ〇め波!」とか「ザ・ワー〇ド!」とかやってみたのだが、全く発動しない。

いや、流石にそれは冗談なのだが、あの戦闘でヤクザキックをかましただけなのに体術スキルを得ることが出来たことから、関連する動作をすれば魔法スキルが得られるんじゃないかと思っているのだが……。

というかまず、魔力って何よ。

ダンジョンの魔力は感じ取れたので、同じように俺の内にもあるらしい魔力を感じ取れるんじゃないかと思ったのだが、さっぱりわからん。

瞑想とかそれっぽいことしてみたが、レフィとシィがじゃれている声しか聞こえてこなかった。アプローチが違うのだろうか?

「そうじゃな。平均よりはまあ、高いと言えるじゃろう。――お?レベル上がっておるの。儂が寝とる間に魔物でも倒して来たか?」

「そんなとこだ。……なあ、後学までに聞いておきたいんだが。俺のステータスってどんなもんなんだ?」

「まちまちじゃがまぁ、この辺りに棲息しておる魔物と同等か、少々強いといったところじゃの。お主より強いのも多いが。ま、それでも儂の数値の百分の一以下ではあるがな!」

そう言ってカッカッと愉快そうに笑うレフィ。

百分の一以下って……。

そのあまりの力の差にむしろ呆れていると、レフィはクッキーを食べ切ってしまったらしく、些か残念そうな表情を浮かべながらチラリとこちらに視線を送る。

「まあ、魔法ぐらいなら儂が教えてやってもいいぞ。が、タダという訳には――」

俺は、無言でクッキーの袋をもう一つ出し、覇龍に投げ渡す。

「うむ!よろしい、儂がお主を世紀の大魔導士にしてやろう」

お手軽な覇龍様で大助かりです。