軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

学校にて

学校に通い始めた、イルーナ達。

彼女らは今日も、羊角の一族の里へ行き、そこで一日を過ごしていた。

すでに彼女らも慣れたもので、六人で纏まって行動せず、各々だけで行動することも増えている。

いや、レイス娘達だけは変わらず三人でふよふよしているが、イルーナとシィとエンはもう、羊角の一族の里を一人だけで歩き回ることもそれなりにするようになっていた。

幼年学校は基本的にカリキュラムがしっかり決まっていて、団体行動をすることが多いのだが、それでも羊角の一族。

己の興味がある分野を学ばせるため、選択授業などもすでに存在しており、その関係で暇な時間が生まれることがあるのだ。

そういう時、イルーナ達の行動はそれぞれ違っていて、一旦ダンジョンに帰ったり、図書館に行って本を読み漁ったり、友達と遊んだり、のんびり散歩したりと、様々である。

社交的なイルーナと、誰からも好かれる性格をしているシィは、暇な時は大体友達と遊んでおり、エンは勝手気ままに一人で何かをしていることの方が多い。

ただ、かと言ってエンが二人に比べて友達が少ないという訳ではなく、興味を持ったことであれば深く突き進む性格をしている彼女とこの里の相性は良く、一人の時間が多くとも里自体そんな人ばかりなので、何にも気にされないのだ。

むしろ、三人の中ならば最も里にハマっていると言えるのが、エンであるかもしれない。

そして、実は一番友達が多いのが、レイス娘達である。

非常に珍しい種族であるため、里にいる間は本当にみんながちやほやしてくれるので、あっちへふらふら、こっちへふらふらと、色んなところへ出入りしており、そのため同学年の子供達の中でもとりわけ顔が広いのだ。

イルーナ達とは違い、勉強自体には正直ほとんど興味が無いのだが、遊んでくれる友達がたくさんいて、暇することが一切無い羊角の一族の里は、レイス娘達にとっても楽しい場所となっていた。

ただ――そんな彼女らは最近一つ、気になることがあった。

里での一番の友達である、エミューと全然会えていないのである。

少し前に、彼女の師匠であるエルドガリア女史に付いて行き、実地での研究に向かったことは知っているのだが、以前ダンジョンへ遊びに来た時以来まだ会えていないのだ。

まあ、魔族の時間感覚は、大分のんびりだ。

生き急いでる感のある羊角の一族であってもそれは変わらず、研究などでは非常に長い目で、それこそ十年二十年、さらには百年のスパンで見ているものすらある。

一度研究に出掛けたのならば、何かしら結果が出るまで戻って来ないということも羊角の一族ならばよくあることらしいので、そういうものなのだろうとは思っているものの、ちょっと寂しくはあった。

「エミューちゃんと、なかなかあえないねー」

「ね。まあ多分、研究頑張ってるんだと思うよ。一緒にいると、やっぱりレイラお姉ちゃんの妹だなぁって感じるくらい賢いから、出来ることを頑張ってるんだと思う」

「……ん。羊角の一族の里でも、頭一つ抜けてる。エルドガリアのおばあちゃんの薫陶篤い、っていう感じ」

「シィがおぼえた、はなふぶきをうみだすまほー、みせたかったのにー」

「……どこで使うの、その魔法」

「まつりをかいさいしたとき!」

「あはは、宴会芸だね。まあでも、綺麗で良いんじゃない?」

「シィはね、まほーはこうあるべきだとおもうよ! みんながわらってくれるためにつかうの!」

「……一理ある。みんながシィみたいだったら、きっと世界は平和」

「そうだねぇ。争いなんて起きないだろうねぇ」

「えへへ、そうかなぁ? でも、シィはのんびりするの、すきだからな~。みんながシィだったら、みんなのんびりしちゃって、おしごととか、すすまなくなっちゃうかも!」

「……それも確かに。やっぱりみんなシィはダメかも」

「あはは、まあ、みんな違ってみんな良いってことだね。必要なのは多様性だよ、多様性。おにいちゃんもそう言ってた!」

「たよーせーが、せかいをすすめる!」

「……ん。多様性が文化を育む」

なんて、いつもの感じでのんびり雑談しながら、学校からの帰り道を歩いていたその時、彼女らは気付く。

イルーナ達がダンジョンへ帰るための扉は、エルドガリア女史とエミューの家の、すぐ近くに建てられている。

つまり、帰り際に必ずその家が見えるのだが……そこに、明かりが灯っていた。

「あれ……明かりが点いてる」

「! かえってきたのかな?」

「……挨拶してみる?」

「そうしよっか!」

彼女らは家の玄関前に向かい、置かれている呼び鈴の魔道具を押すと、すぐに中から「はーい……」という声が聞こえ、ガチャリと玄関の扉が開かれる。

「! みんな!」

出て来たのは、やはり帰って来ていたらしい、エミューだった。

「エミュー! 帰って来たんだ!」

「ひさしぶり!」

「……エミュー、久しぶり。元気してた?」

「みんな、久しぶりです! 元気……とは言えないですね。流石にちょっと、疲れたです」

その言葉通り、エミューの表情には多少の疲れが見えており、あまり元気は無さそうだった。

「あらら、そんなに実地での研究、大変だったの?」

「いやもう、空振りに次ぐ空振りで、進展がほとんど無くて……お師匠すら手こずる、なかなか手強い遺跡なんですよ」

「……そのお師匠さんは?」

「色々報告に、一旦学院の方に行ってるです。――あ、そうそう、あと、レイラお姉様と、魔王に近い内、お願いをしに行くかもしれないです。ちょっとだけ話しておいてくれると嬉しいです」

「? 二人に?」

「あるじとレイラおねえちゃんに?」

「……何だろう」

揃って首を傾げる三人を見て、エミューは何だか少しだけ和みながら、詳しい説明をしていく――。

◇ ◇ ◇

「――遺跡探索?」

「うん! 今それが難航してて、出来ればおにいちゃんとレイラおねえちゃんに手伝ってほしいんだって。でも、子育てで大変だろうから、無理はしないでほしいって」

「いま、たいへんみたい!」

「……エミューも疲れてた」

学校から帰って来たイルーナ達が、荷物を置きながら、口々にそう話す。

「レイラだけじゃなくて、俺もか?」

「そう言ってた。おにいちゃんも、ってなると、強い魔物でもいたのかな……?」

「でも、そんなかんじじゃなかったよね!」

「……ん。大変そうではあったけど、切羽詰まった感じではなかった」

「ふぅん……まあ、直接話を聞いてみるか。ちょうどしばらく暇だからな!」

「ちょうども何も、いつも暇じゃろう」

「ちょうど無職だったからな!」

「無職はずっとっすよね。皇帝だった時以外」

「無職か皇帝か、極端過ぎますねー」

リウとサクヤの世話をしながら、ツッコミを入れてくれる妻軍団。

この妻達……手馴れている!

凄まじいマルチタスク能力だぜ……。

「レイラ、お前はどうだ?」

「お師匠様が手伝いを欲しているのならば、出来れば手伝いに行きたいですねー。ただ、そうなるとご飯と二人の世話がー……」

「あー、良い、良い。昔はともかく、今は儂らも多少は料理が出来る。たとえ長く空けることになっても、どうにかするから、そこは気にするな。のう、リュー」

「ウチらも母親っすからね、レイラに頼りっ切りじゃあ、情けないってものっす。今は仕事に出てるっすけど、料理の上手いネルもいるっすから」

「……ありがとうございます、二人ともー。そうですね、今はもう、二人に任せ切っても不安は無いですからねー」

「ユキ、エルドガリアには色々と世話になっておる。お主は 居(お) っても居らんくても変わりないから、しかと手伝ってこい」

「なかなか夫に言いますね、あなた。まあだが、世話になってるってのは同感だ。とりあえず、話を聞きに行ってみるわ」