軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

閑話:友人夫婦

――我が家での、ある日のこと。

胡坐で床に座り、本を読んでいると、後ろから突然、誰かにもたれかかられる。

柔らかく、温かい感触が俺の背中を包み込み、両目を手で押さえられる。

ふむ、この感触は……。

「だーれだ!」

変な裏声でそう言われるが、それがわからない俺ではない。

「リュー」

「えへへぇ、せーかいっす!」

後ろから前に顔を覗かせ、にぱっと可愛く笑うリュー。

「やっぱりご主人なら、ウチらの違い、すぐにわかっちゃうっすか?」

「おう。特にお前は胸ないから一発だ」

「な、なくはないもん!」

そうだな。

なくはないな。

そんな俺の生暖かい視線に、リューは唸る。

「ぐ、ぐぬぬ……うぉ、ウォーウルフは種族柄、そこまで大きくならないんす! だから、ウチは種族としては標準っす!」

「落ち着きなさい、リュー君。あなたは知っているでしょう、私は別に、そこまで胸の大きさにこだわりはないと。女性の胸とは、大きければ良いというものではないのです」

「でもレイラのおっぱいは好きでしょ」

「…………」

「えっち」

言葉に詰まった俺に、じとーっとした目を向けて来るリューさん。

「う、うるさい! そこを出してくるのはズルいだろ!」

「そうやって言うってことは、口では何だかんだ誤魔化していても、実はレイラみたいなスタイルが一番良いと思ってるんじゃないっすか! 全く、これだから男というのは!」

「良いものを良いと思って何が悪い!」

「あー! 開き直った! 開き直ったっすよ、この人!」

「黙らっしゃい、ぺたんこ娘! 悔しかったら豊胸手術でもすることですのよ!」

「ぺ、ぺたんこ娘!? へー、妻に向かってそういうこと言うんすか! ウチの旦那様でもあるのに!」

「フッ、女の身にはわからないだろうがな、俺が男という人種である以上、女性の胸というものに抗うことは出来ないのだ! 確かに俺は、太もも派だ! 太もも超好き! 膝枕とかしてもらうの、最高! だがな、それでも大きな胸には、夢と希望と愛が詰まっているのだ!」

「絶妙に気持ち悪いし、そこに詰まってるのはただのお肉っす!」

「夢がないな、リューよ……男にとって、女性の肉体とは、神秘そのもの。何もかもが、素晴らしいものなのです……」

「でも特別好きなのはおっぱいと太ももなんでしょ?」

「うん」

「うん、じゃないっす! ぶっちゃけ過ぎてホントキモいっす!」

「頑張りなさい、我が妻、リューイン。あなたの耳と尻尾は、唯一無二の素晴らしいもの。スタイルに関しては……フッ」

「何鼻で笑ってんすか!」

うがーっ、とキレるリュー。

いや、別にリューも、スタイル悪い訳じゃなくて、普通に良いんだけどね。しかもかなり良い。

ほっそりとしていて、かといって痩せ過ぎということもなく、スラリとした範囲内ながら筋肉も少し付いており、男受けするような体型ではあるのだ。

というか、俺はマジ普通に好き。心の底から愛している。今は言わないが。

そういう面で、女性らしさの塊であり、完璧たるレイラという存在がいるので、相対的に普通に見えるだけなのである。

あと、同じくらいの体形で、実は胸も結構大きく、日々運動しているため非常に引き締まっているネルもいるしな。

ちなみにレフィは別枠だ。

アレは、もうアレで完成されている。胸の大きさがどうの、なんて次元で語れるヤツじゃない。

確かにアイツも胸はそんなにないが、現時点で奇跡のバランスであるため、今のままの体形でいてほしいというのが正直な思いだ。

きっと、ウチの大人組全員が同じ意見であることだろう。

「くぅぅ……全く、この人は! このっ、このっ!」

ポコポコと叩いてくるリュー。フハハ、愛い奴め。

「まあまあ、落ち着きたまえ、リュー君。そう気にすることはない」

「ここまで好き勝手言ったクセに!」

「いやいや、確かに色々言いましたがね。いいですか、リュー君。私の話をお聞きなさい」

「……何すか!」

「確かにレイラのスタイルは、メチャクチャ良い! ぶっちゃけよう、超好きだ! だがな、当然俺はお前の身体付きも好きだ! 何故なら、俺が好きなのは『お前ら』という存在自体であり、である以上、そこに付随する肉体という情報も当然愛しているのだ!」

俺はリューの腰に腕を回して抱き寄せ、熱く語る。

「……ふ、ふーん? そ、そうっすか?」

こちらから顔を逸らし、わざと不機嫌そうに反応しながらも、ピク、ピク、と耳と尻尾が動き、内心をよく表している。可愛い。

「でもご主人、口ではすーぐ、そういうこと言うからなー。信用ならないっす!」

「ほう、いいだろう。ならば今から、俺の思いを証明してやろう」

俺は、リューの背中と膝裏に手を通し、グイ、と抱え上げる。

いわゆる、お姫様抱っこの恰好である。

俺の言葉の意味するところを理解したリューは、かぁっと顔を赤くし、はにかむような表情を浮かべる。

「……ま、まだお昼過ぎっすよ?」

「もうその気になったので。風呂行くぞ」

「……はいっす」

リューは断らず、大人しく俺に全身を預け――。