軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

エンの強化《1》

「……主。エンも、一緒に強くなりたい」

突然、そんなことをエンが言い出した。

「? ど、どうしたんだ、急に?」

「……最近、主がリルと一緒に、戦いの方策を考えてるのは知ってる。主達と同じように、エンも、もっといっぱい修行して、強くなって、主を守りたい。だから、一緒に、強くなる方法を、考えよう?」

俺の目を覗き込み、そう言うエン。

「……あぁ、わかった。そうだな、俺も、エンとの戦闘方法をもうちょっと模索しようとは思ってたんだ。一緒に、考えてみようか」

「……ん!」

そして、俺とエンは相談を始める。

「……まず、エンの目指すところ。主が使ったあの槍は、とても強かった」

「……強いのは、確かに強いな。けど、アレはダメだ。俺自身、出来ればあの槍は二度と使いたくないし、一生死蔵しておきたいと思ってる。アイテムボックスから出したくもねぇ」

龍の里でもらった、神槍。

戦争では大活躍だったし、あれがなければ俺は逃げ惑うしかなかっただろう。

だが、あの力は簡単に振るって良いものではない。

いわゆる、奥の手。

他にどうしようもなく、それ以外に手段がないという時でなければ決して使ってはいけない武器だ。というか、個人的に使いたくねぇ。怖いし。

そもそも、俺が所有していること自体が、何かの間違いみたいなものだろう。

……アレの正体も、探っていきたいもんだな。

神、という存在に関しては、正直今の俺は、興味がある。

この世界に何故来たか、とかの問いはもうどうでもいいが……この、 迷宮(・・) というものの主として、その存在には興味があるのだ。

精霊王辺りが、何か知っていたりしないだろうか。

また、彼にも会いたいもんだ。

「……ん。でも、あの槍が強いとされる理由を、エンは考えた」

「強さの理由?」

エンは、コクリと頷く。

「……何でも斬れる消滅の力は勿論、刀身の延長、飛ぶ斬撃。武器として、かなり格上であると認めざるを得ない。今のエンは敵わないし、エンじゃない武器でも、あの槍に匹敵するものは、きっとごくわずか」

「い、いや、エンは相当強い武器だし、あの槍が特殊なだけで――」

「……事実は、事実。主も、ちゃんと認めて」

本当に真面目に考えているようで、ちょっと怒ったような顔をする彼女。

……そうか。

本気で、どうするかを模索しているんだな。

それなら、ここで変に俺が慰めのようなことを言うのは、むしろエンに失礼っつーものか。

「……そうだな。エンよりも、あの槍の方が格上なのは確かだ。多分、数段は上だろう。けど、俺はあの槍が嫌いだし、俺の主武器はエンだけだ。それは、今後一生変わらないぞ」

「……ん。嬉しい、ありがと。でも、だからこそ、エンも主の役に立ちたいと思った。それで、エンにも出来ることを考えた」

「エンに出来ること?」

「……エンは、意思ある剣。だから、普通の武器とは違って、魔力操作が出来る。主が使う、『魔刃』の攻撃を、エンだけでも出来る。魔法なんかも、今覚え中」

魔刃とは、先代勇者レミーロとの試合で覚えた、刀身に纏わせた魔力を飛ばし、遠距離攻撃が可能な斬撃を放つ技術だ。

神槍には自前で備わった能力というか、振るえば勝手に魔刃に近しいものが飛んでいったが、普通の武器ではそうはいかない。

使用者が自分で操作する必要があり、その分魔法能力に負荷が掛かるため、神槍に比べ一手攻撃が遅くなる。

先代勇者程の剣の使い手ならまだしも、俺みたいなのならば、尚更だ。

ただ……インテリジェンス・ウェポンであるエンであれば、神槍と同じように、自らで魔刃を放つことが出来る。

意思があり、自らの刀身に宿った魔力を操作出来るからだ。

この、意思があるという点に関しては、他の剣にはない非常に大きなアドバンテージだろう。

「……斬れ味の増大。攻撃の延長。遠距離攻撃。武器にとっての永遠の課題であり、どこまでも目指し続ける道。エンは、これを目指さないといけない。意識ある剣だからこそ、色々考えなくちゃいけない」

「……そうだな。武器ならそれらは、一生探り続けるべきものだろうな」

「……あとは、第二形態」

「あぁ、それも――第二形態?」

「……エンも神槍みたいに、第二形態を獲得しようと思う。第二形態、かっこいい。みんなの憧れ」

「お、おう……まあ、そうだな。第二形態があったらカッコいいな」

無表情ながらも、キラキラとした目で希望を語るエンに、俺は若干苦笑しながらそう答える。

だ、第二形態か……この子がこんな顔をするくらい望んでるなら、ちょっと方法を考えてみるか?

「……そして、この幼女体は第二形態を得たことで新たな肉体となり、レイラみたいな大人のお姉さんになる。エンは通常の人じゃないから、エン用の成長を考えるなら、手段はやはりそれ! レイラは幼女組の憧れ! ……違う、そんな話じゃない。話が逸れちゃった」

うん、すごい力を込めて語りましたね、あなた。

君がいっぱい喋ってくれるようになってくれて、俺は嬉しいよ。

――そうか、まあ、そういう理由なら、俺も本当に考えておくとしよう。

イルーナは普通のヒト種なので普通に成長するし、シィはスライムなのでその気になれば身体の形状を変えられる。

今のところ、肉体の成長手段がないのがエンなのだ。本体は刀だしな。

イルーナが大きくなるまでに、何かしら方法を考えておかないといけないか。

あと、近くにいたレイラが、俺達の会話を聞いて恥ずかしそうに照れていた。可愛い。