軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

普段見えていない分、気が付くと押し入れの中とかすんごいことになってる

――幼女達が、外で遊んでいる時のこと。

「あ、あれ?」

指輪の試作品を作っていた俺は、アイテムボックスの収納口である虚空の裂け目を出現させ、出来上がったソレを中にツッコもうとし――が、バシンと弾かれ、試作品が床に落ちて転がる。

「え、ちょ、何でだ?」

試作品を拾い、再度虚空の裂け目に近付け……だが、結果は同じ。

弾かれたソレが、床に転がる。

それから、数度アイテムボックスを開いたり閉じたり繰り返し、試作品をしまおうと試みるも、アイテムボックスが受け入れることはなかった。

「バ、バグった……? い、いや、アイテムボックスにバグなんてある訳――」

――待てよ。

そう言えば、このアイテムボックス……今まで全く気にしたことはなかったが、確か 有限(・・) だったはずだ。

すっかり忘れていたが、魔力量に応じて中の広さが変わっていく仕様だったはず。

「まさか、キャパオーバーか……?」

レフィと比べれば大したことはないものの、それでも一般人と比べれば無尽蔵とも言うべき魔王の魔力があったから、何にも気にせず、今まで何でもかんでもポンポンアイテムボックスに突っ込んではいたが……。

けど、いつか俺がヘンなポーションを飲み、名探偵フォームに変身した時、アイテムボックスの整理を一度したはずなのだが……いや、そう言えばあの時は、何があるのか中を確認しただけで、ホントのゴミを捨てた以外は、大体全部しまい直したんだったな。

……なるほど、とうとう限界が来てしまったか。

「……これは、もう一回整理をせねばなるまいか」

* * *

そして、出て来た草原エリア。

「お主……よくこれだけのものを、貯め込んでおったの……」

ちょうど暇だったらしく、何をするつもりなのかと俺に付いて来たレフィが、出来上がった小山を前に、呆れた様子でそう呟く。

「……まあ、正直俺も、予想外だ」

とりあえずアイテムボックスの中のものを全て出していってみたのだが……出るわ出るわ。異世界に来てからため込み続けた物品が。

割合としては、まず魔物の死体が、六割程。

そっちはまあ、飯用にと非常時用に取っておいたもので、結構な量になるのはわかっていたのだが……ビックリだったのが、俺の作った武器群が三割程もあったことである。

俺の主武器となって久しい大剣類に、重量武器の大斧や巨大ハンマー、そして普通の刀剣類。

ネタで作った大鎌や装飾増し増しの剣、多分コスプレ以外に使い道のない、形だけ模してみたアニメで見たことのある武器。

確かに今まで、暇があれば何か作ったりはしていたが、まさかこんな量になっていたとは……。

残りの一割は、ボードゲーム類やポーション類等、何かしらの時に得た小物群なのだが、これらは居間――じゃなくて真・玉座の間で確認した後、汚したくないので再びアイテムボックスにしまってある。

ふむ……けど、問題解決はそんなに難しくなさそうだな。

この魔物の素材の半分ぐらいを、DPに変換してしまえば何とかなるだろう。

前にDPが枯渇しかけた時もあったので、緊急時や、何か喫緊で必要になった時用に取っておいたのだが、流石にこんな量はいらねーか。

武器群の方は……うーん、ちょっと惜しい気もするが、エンがいる限りどうせ何にも使わないし、思い切って捨てるか?

あー、でもせっかく作ったもんだしなー。

なるべくなら残しておきたいし……。

……まあいいや、こっちは後で考えよう。

そうして、とりあえず先に魔物の死体をDPに変換する作業を行っていると、傍らで呆れた顔を浮かべていたレフィが、少し興味を持ったらしく俺の作った武器群の中から何かをつまみ上げる。

「ユキ、これは何じゃ?」

「ん? あぁ、それは魔法少女ステッキだな」

「は?」

「魔法少女ステッキだ。こう持って、『月に代わって、おしおきよ!』ってやるんだ」

魔法少女ステッキを受け取り、レフィの前でキャピ、とポーズを取る俺。

「…………」

「……スターライトブレイカー!」

「…………」

「……おい、そんな目で見るなって。冗談だよ」

元々、幼女達が喜ぶかと思って作ったものだったのだが、俺があまりに形状をうろ覚えだったせいでなんか色々混ざってしまい、どちらかと言うと魔術師とかが使ってそうな、おどろおどろしいステッキになってしまったため、結局死蔵していた一品だ。

「……まあよい、それで、こっちは何じゃ?」

「それは銃剣だな。その真ん中のとこから鉛玉が飛び出す遠距離武器に、近距離でも戦えるよう剣を追加したものだ」

「ふむ……こちらは聞いている限りじゃと、まだ有用そうに見えるな」

「そう見えるだけなんだけどね」

レフィが今持っているのは、バヨネット、の方の銃剣ではなく、銃身部分が剣になっている、アニメとかでよく見られる方の銃剣である。

あの厨二心がくすぐられる武器を、俺も製作してみたのだが……うん。

構造上の問題で強度が柔くなってしまい、簡単に剣が折れる上に、何かを斬りつけるとすぐに銃身が曲がってロクに弾丸が飛ばないので、実用性は皆無だった。

やっぱありゃ、カッコいいが見た目だけだな。

あと、以前によく使っていた魔法短銃なんかは威力が魔力依存になるので別物だとしても、はっきり言って、こっちの世界だと銃は弱い。

マスケット銃ぐらいはこっちの世界にもあるので、ワクワクしながら使ってみたことがあるのだが、もう弱い。

まず、俺が素人だから全然弾が当たらないし、当たった場合でも魔境の森の魔物相手だと、弾丸が弾かれてロクにダメージが通らないこともしばしば。

仮に弾丸が通っても、大型な魔物が多いのでそこまで有効打にならないことが多く、ぶっちゃけ普通にエンで叩き斬った方が強い。

流石に、通常の魔物相手だと結構な威力になるようだが……まあ、聞いた話だと、単発式のマスケット銃ぐらいならその気になればヒト種でも魔法で防げるって話だしな。

今後、こちらの技術が怪物的進化を遂げて行って、連射出来る現代銃レベルになったらわからんが、流石にそんな高度なものは俺には作れないし、DPでも出せん。

魔境の森が住処の俺にとって、今のところは殴る以外に使い道のないガラクタだ。

「これは……ただの丸太か。何でこんなものまであるんじゃ」

「いや、違うぞ。その丸太は武器だ」

「は? 武器じゃと?」

「あぁ。対吸血鬼用最強装備だ。こう抱えて、『皆、丸太は持ったな!?』ってやるんだ」

「……吸血族に、こんなものが効くのか?」

「まあ、普通に鈍器だし、別に吸血鬼じゃなくても効くだろうな」

「…………」

コイツは何を言っているんだ、といった感じの表情でレフィがこっちを見るが、俺にそんな顔をされても困る。

そういうもんなんだと思って納得してくれ。

と、レフィは武器群の山をしばし見詰めたあと、何を思ったのか一つコクリと頷き――。

「……よし、燃やそう」

「わーっ!! 待て待て待て!!」

煌々と輝く炎を両手に出現させたレフィの前に、俺は慌てて割り込む。

「何じゃ、処分するのじゃろう? 儂が一思いにやってやるのに」

「こっ、これから何を処分するのか決めるんだよ! だから一緒くたに燃やそうとすんな!」

「どうせ全てガラクタじゃろうが」

「違いますー! ガラクタじゃないですー!」

精魂込めて作った、大切な作品達ですー!

必死に言葉を言い募る俺に、レフィは小さくため息を吐き出す。

「ハァ……わかった。ならばさっさと片付けを行うことじゃの。あ、じゃが、とりあえずこの魔法少女何たらと丸太だけは、イラッと来たから燃やすぞ」

「あーッ!? 俺の魔法少女ステッキと丸太がッ!?」

レフィの放った炎により、キャンプファイアーもかくや、という勢いで燃え盛り始める魔法少女ステッキと丸太。

というか、丸太はともかくステッキは鉄製だから、普通に考えてそんな勢いよく燃えるのはおかしいのだが。

どんだけの温度があるんだ、あの炎は。

「ほれ、さっさと片付けろ。保護者たるお主が片付けも出来ないようでは、イルーナ達に笑われるぞ」

「わ、わかった、わかったから、とりあえずその物騒な炎消してくれ!!」

――そうして俺は、捨てるかどうか迷うと容赦なく燃やそうとしてくるレフィに怯えながら、アイテムボックス整理に勤しんだのだった。