軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

13.古代魔法を復活させる

「カカカ、くわーはっはっはっは」

昼過ぎくらいにひょっこりやってきたじいさんは、午前中の授業で俺がやったことを聞いて、天を仰ぐほどの大爆笑をした。

リビングの中、向き合って座る俺とじいさん。

室内はじいさんの笑い声がこだましている。

「これは愉快、いや実に愉快じゃ」

「そうなの?」

「うむ。本だけを読んで頭でっかちの学者どもにありがちな勘違いじゃ。きゃつら、本に書かれていることを金か法杖のように奉っては、疑うことをまったくせんからのう」

「そっか」

「普通の子供に教えるのなら、あの後術式の複写をさせていたであろうな。実際に書いた方が身につく、とかなんとかいって」

「そっか、文字というたとえを使ってたもんね」

「その通りじゃ」

「ふむふむ」

俺は納得した感じで頷いた。

その流れはよく分かる。

文字というたとえを使った以上、書き取り練習をさせるのは当然といえば当然な流れだ。

「いやはや、しかし愉快痛快じゃった。それに……すごいのうマテオは」

じいさんは手を伸ばして、俺の頭を撫でてきた。

「まぐれだよ、エヴァと接していたから」

「いや、そっちではない。もっと根本的なものじゃ」

「え?」

じいさんは、やけに優しい目で俺をみつめた。

「マテオも数百と本を読んできたじゃろう? なのにきゃつのような、知識だけを蓄えた頭でっかちになっておらんのがすごいのじゃ。知識をちゃんと自分の知恵に変えている。こんなの、大人でもなかなかできない事じゃ」

「……まぐれだよ」

予想してなかった所を褒められて、俺はちょっとだけ――本気で恥ずかしくなった。

でも、心地よかった。

じいさんの顔が孫を溺愛する物だけじゃなく、真顔で「普通に」褒めている物だっていうのが分かったからだ。

自分のやったこと、普通にできたことが「褒められる」というのは嬉しい物だ。

「マテオよ、一つ教えてやろう」

「おじい様?」

「謙遜は美徳――それはのう、凡人までじゃ」

「え?」

「過度の謙遜はむしろ嫌みじゃぞ」

「……そうなんだ」

そうかもしれない。

「それにのう、実力を持つ者はちゃんとそうであると振る舞わねばならん。それは義務じゃ」

「貴族の義務と似てるね」

「うむ、その通りじゃ。やっぱりマテオはすごいのじゃ」

じいさんは孫を溺愛する老人の顔に戻った。

「マテオなら、いつか古の古代魔法も復活させられるかもしれんのじゃ」

「古代魔法?」

俺は首をかしげた。

初めて聞く言葉だ。

「聞いたことがないのも無理はない、今はもう失伝している古代にあった超魔法の数々じゃ」

「そんなものがあるんだ」

「人類の歴史はその繰り返しじゃよ」

じいさんはニカッと笑った。

「誰かが何かを産み出す一方で、人々から忘れ去られて歴史に消えていく物もある」

「オリハルコンもそうだね」

「おお、よく知っているのじゃ」

「本で何回か見かけたの」

「うむ、その通りじゃ。伝説の金属オリハルコン。あれも消えていった古代の産物じゃな。比較的安価で量産しやすいミスリル銀に押されて消えていったのじゃな」

なるほどね。

しかし古代魔法か。

いつか覚えられるといいな。

「どころで、マテオはいくつ魔法を覚えたのじゃ?」

「いくつって?」

「マテオのことじゃ、きゃつが居なくなった後も、自分で魔法を調べて覚えたのじゃろう?」

「あはは、バレバレだね」

「カカカ、マテオの知的探究心は本物じゃからのう」

じいさんはもの凄く愉快そうに笑った。

それは……うん、謙遜するところじゃないな。

確かに俺は好奇心が強い。

知識が目の前にあると、それを取り込まずにはいられないって感じてしまう。

今日の魔法がまさにそれだ。

魔法は術式をもって、白と黒の魔力をない交ぜにして使う。

そして、エヴァから体感で感じ取った、「崩して」アレンジするということ。

それらを知ってから、色々とやりたくてうずうずして――実際にやった。

「実際の所どうなんじゃ」

じいさんは身を乗り出して、興味津々って感じで聞いてきた。

「うんとね。五つ位かな」

「ほう。どんなのじゃ? 見せてくれ」

じいさんは急かしてきた。

きっとこれも見た後にウォルフ侯爵に自慢してくるんだろうな、と思いつつ、俺は魔法を使っていった。

「まずは授業中に使った、氷の魔法」

「ふむふむ」

「その対極ともいえる、炎の魔法」

「おお!」

俺は説明しながら、次々と魔力を変換しつつ練って、放出して魔法を使っていく。

氷は小さな粒、炎はロウソク程度の小ささで、「とりあえず使える」という感じでじいさんに使って見せた。

「次に稲妻――雷の魔法」

「素晴らしい」

「それから風の魔法」

「おお、手の平の中につむじ風」

「最後に回復の魔法」

「……うむ?」

「どうしたのおじい様」

「今、なんと言った」

「え? 回復の魔法だけど」

「回復魔法、じゃと?」

じいさんは眉をひそめた。

「うん、こんなの」

俺はエヴァ から(、、) 覚えた魔法を使った。

手の平から温かい光が溢れる。

「……本当に回復の魔法、なのか? どうやって?」

「え? エヴァに触れた時、エヴァの中にそういう術式があったから……」

真剣な顔のじいさん。

「なんと……古代魔法をそのような形で復活させたのか?」

ぶつぶつと、何かをつぶやくじいさん。

俺、なんかやっちゃった?