軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第23話 クエストとランク(1)

「はい、それでは新米冒険者のクロノさん&リリィさんに、ギルドと冒険者のイロハについてご教授しますよー!」

「あ、ニャレコさんが講義してくれるのね」

「へへー実はコレやるのは初めてなんですよぅ」

「ニャレコさんはギルドで新人なの?」

「そうでーす、勤めてまだ一年目ですけど、イルズ村冒険者ギルドの看板娘張ってます!」

「看板娘って自称クラス?」

「名実共に看板娘です!クロノさんはやはり失礼な方なのでは!?」

「いやスマン、分かったよ、ニャレコさんはギルドの看板猫娘ね」

「分かっていただければ良いのです、では挨拶もほどほどに講座を始めましょうか」

よろしくお願いします、と俺とリリィが言うが、リリィは何が始まるのかイマイチ分かっていないような表情だ。

まぁ冒険者になるのは俺だけだし、リリィには関係ない事ではあるが。

「えーと、それではまず……えーと……ギルドを利用するに当たってのルールと注意事項から!」

今ちょっと忘れてたな。

「あ、クロノさん、メモとります?」

「ありがと、助かるよ」

白紙と先ほど使ったのと同じペンが差し出される。

文明レベル的に羊皮紙でも使っているのかと思いきや、日本で使っていたのと比べても遜色ないほど綺麗なものだ。

パルプの生産が確立されているのだろうか、それとも謎の魔法で紙を作っているんだろうか。

「それでは、冒険者にとって一番の基本となる 依頼(クエスト) についてです。

クロノさんはギルドが冒険者へ様々な依頼を斡旋する組織であるという事は知っていますか?」

「ああ、その辺は村長から聞いてるよ」

「それなら話は早いですね。

当ギルドでは街や村など大きな団体から個人まで幅広くクエストを請け負っています。

ギルドが紹介するクエストは、内容や報酬など基本的に信頼して良いです、たまに調査が不足したり不能だったりする場合がありますが、依頼書にその旨は書かれていますので、それでも受注するかどうかは冒険者個人の判断になります。

また、緊急の際にはギルド側が冒険者へ強制的に受注させる事もあります」

「強制クエストってどんなの?」

「災害が発生した際の救助活動が一般的ですね、それと天災級のドラゴンが現れた時も召集がかかりますね、なので緊急クエストが正しい呼び方です。

どちらも滅多にない事なのであまり気にしなくて大丈夫ですよ。

ちなみに緊急クエストを断る場合にはキャンセル料を頂くことになります、これに応じない場合は最悪ギルドから除籍という事もありますので注意してください」

「ギルドから除籍になるとどうなる?」

「勿論ギルドの利用が出来なくなります、こちらは依頼の話にも関わってきますが、ギルドを通さず個人的に依頼を受ける場合には、報酬の踏み倒しや依頼内容の相違などトラブルが発生する可能性が格段にあがります。

ギルドを利用できないというだけで、冒険者稼業の続行は難しくなりますので、続ける限りは除籍されないようルールを守って活動してください」

「なるほど、他に抵触すれば除籍になるかもしれないほどの重要なルールは?」

「まずは報酬に関してですね。

当ギルドでは依頼主の報酬から一律10%を仲介料としていただいております、依頼書に提示される金額は、この料金をあらかじめ差し引いたものであることをご理解ください。

紹介した依頼にはギルドが責任を持っているので、依頼主が突然居なくなったり報酬を踏み倒したなどのトラブルが発生した場合でも、冒険者には報酬が支払われないという事は無いので、その点はご安心ください。

ただ、クエストを失敗、続行不能などの場合には、状況を鑑みてキャンセル料、若しくは別な冒険者へのクエスト引継ぎ料などが発生するので、あらかじめご了承ください」

「冒険者は依頼を果たしさえすれば報酬は確実に貰える、ただ出来なかった場合には料金が発生することもあるから、その時に文句を言うなってことね」

「その通りです、ごく基本的な事ですが、どこのギルドでもクレームをつける困った冒険者がいるのです。

クロノさんは頭が良さそうなので、そういう心配はなさそうですね」

「褒めても何もでないぞ」

「いえいえ、これだけの事を中々ご理解いただけない方も少なくないですし、損得勘定が全くできずに感情的な人もいます。

クロノさんはその辺ちゃんと考えられる人だと思えますよ」

「まぁ、除籍って罰則がある以上ギルドにクレームはつけない程度には考えられるさ」

俺の話しぶりだけで高度な教育を受けていると思われたほどだ、この世界では日本人の一般的な人でも十分以上に教養があることになるのだろう。

俺が凄いのではなく、周りの教育水準が低いってことだが、誰でも学校に通える制度がないので仕方無いことか。

「それと、クエストに関してもう一つ、ランクについて説明しますね」

「難しいとか簡単とか、そういうの?」

「はい、自身の冒険者ランクとクエストランク、またはモンスターランクを照らし合わせれば最適なクエストが選べます。

ギルドとしても、無謀なクエストに挑戦する冒険者が多発してクエスト失敗率の上昇は避けたいので、冒険者ランク以上のクエストランクは受注できないようになっています」

「ランクはどうやって分けられてるんだ?」

「全てのランクは1~5の五段階評価となっています、1が最低で5が最高です。

クエストランクはモンスターの強さや難しいダンジョンなど、クエストに伴う危険度を総合してランク分けされます。

冒険者ランクは、1から始め、クエストをこなすことによって実績が認められ、ランクが上がります。

新米冒険者は最初の3年間は1か早くても2の前半といったくらいですね。

これは特別な場合ですが、軍で活躍していた騎士や戦士などすでに一定以上の強さを持つ人が冒険者に転向する場合には、ギルドの試験を受けてランク3から始めるというようなことも出来ますよ。

まぁコレはイルズ村ギルドでは実施できませんけど」

「それじゃあ俺はランク1から始めるワケだ」

5段階とはシンプルな分け方ではあるが、同じランクでも難易度の上下はかなりあるようだ。

なので、ランクの前半とか後半とか、そういう呼び方もするらしい。

無数にあるクエストを細々と分類するのも大変だろうし、仕方のないことだと思う、正確なクエストの難易度を依頼書の情報で推し量るのも冒険者としての経験次第ということだ。

「はい、クエストについてはこれくらいでしょうか。

後は、一般の方に被害が及んだり、私有地の立ち入り、私物の破壊などは注意して下さい、クエスト中だからといって個人の犯罪行為までギルドは責任を持ちません。

また、出先での他の冒険者パーティーとの争いなどもギルドは関与しませんので、行動は全て自分の責任となります」

「なるほど、後はもう常識の範囲内で行動しろってことね」

「そうですね、ギルドは冒険者の行動を極力拘束するようなことは無いので、クエストをどのように達成するかは冒険者の自由です」

「了解だ、それじゃあ早速俺が受けられるランク1のクエストを見てみたいんだけど」

「どうぞー。

と言っても今の時期は受けられるのは少ないですけどね」

ニャレコさんがテーブルに置かれた依頼書の束を進める。

とりあえず見てみるか――