軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

新ダンジョンの候補地探し

ダンジョンを作る場所なんて政府が偉い学者さんと話し合って考えればいいんじゃないかと思ったが、どうもそれでは困るらしい。

まず事情が異なる。

これまでのように人間を成長させてダンプルからの侵攻に備えるためのものではない。もうその段階は終了した。

今回作るのは、ダンプルのダンジョンに流れる力を削ぐためのものらしい。

ダンプルが創る黒のダンジョンの魔物のレベルが通常のダンジョンよりも強いのは、その土地に根付く強い想いを力に変えているからだという。

富士山という日本の象徴的な場所にダンジョンを作ったのはそれが理由らしい。

そして、今回、世界中の遊園地などの娯楽の場所に作ったのは、楽しいと思える場所に設置するため。

だったら、ユ〇バーサルスタジオジャパンとかディ〇ニーランドに作ればいいのにと思った。それは俺だけではなく、ダンポンも同じ思いだったようだ。

ダンポンとダンプルの戦いはこの世界以外でも行われているが、今回のようなことは初めてらしい。

そこで、ダンポンたちがリモート会議で話し合い、その対策に乗り出すことにしたという。

新しく生まれたダンジョンの力を削ぐことにした。

そのために必要な条件が二つ。

黒のダンジョンから比較的近い距離に作る事。

黒のダンジョンに流れるエネルギーと相反するエネルギーを流し込める場所であること。

前半については、近ければ近いほどいいが、大阪府内、奈良県内なら大丈夫らしい。

わからないのは相反するエネルギーってやつだ。

「どういうエネルギーだ? 辛い、大人の遊園地か? それともブラック企業的な場所か?」

「廃園した遊園地みたいな場所で、それでいて悲しい歴史があればいいのです。あと、生駒山のダンジョンから近ければ近いほどいいのです」

悲しい歴史を持つ場所にダンジョンを作るのって、むしろ敵役の仕事の気がする。

廃園した遊園地って、そんなのが大阪と奈良にあるか?

それこそ探すなら国に任せた方がいいんじゃないかと思ったが、

「国に任せたら、あれこれ注文を付けられるのですよ……過疎化対策だとか、観光地目的だとか。疲れるのです」

「あぁ……そういや天王寺に創るか難波に創るかでもかなり揉めてたらしいな」

「でも、僕たちダンポンは地上の情報をあまり持っていないので、協力者が必要なのです。僕は今回できたダンプルのダンジョンから近い場所に住んでいるというのと、あと一番暇だからという理由で場所選びを命じられたのですが、協力を仰げるのが泰良しかいないのです」

絶対、後者が主な理由だろう。

そういうことなら調べてみるだけ調べてみるしかないか。

ダンジョンでストレスを解消するどころか、変な宿題を与えられてしまった気分だ。

自宅に戻って、閉園した遊園地を纏める。

まさか、大阪や奈良にこんなに遊園地があったなんて思いもしなかった。

みさき公園の閉園はニュースで見たな。へぇ、柏原にも遊園地があったんだ。開園が明治って。

調べてみると大阪府と奈良県だけでもかなりの数の遊園地が存在し、そして閉園していた。

その中で悲しい話というと、閉園後に葬儀場ができた遊園地ってのもあるが、ダンポンのいう悲しい歴史とは違う気がするんだよな。

楽しい場所が閉園したら、どこでも悲しいので条件に合うかもしれないけど。

「泰良、何してるんだ?」

リビングでスマホ片手にうーんうーんと唸っていると、父さんが声をかけてきた。

「父さん、おかえり。早いね。もう帰ってたんだ」

「外回りからの直帰だからな。なんだ、宿題か?」

「まぁ、宿題といえば宿題かな。期限までもう少しあるんだけど。閉園した遊園地を調べてるんだ。生駒山から近くて、なんか悲しい歴史とかある場所に心当たりある?」

「いきなり言われてもわからないな。父さんの友だちに廃墟オタクがいて、そういう場所は詳しいはずだ。あとで聞いてみるよ」

と胸を叩いて頼りになることを言ってくれた。

じゃあ父さんに丸投げしてみるか。

とはいえ、場所も決まっていないのにPDに行くのもなんだか変な感じだ。

かといって、スマホで動画を見るのも、さっきまでスマホとにらめっこしていたから目が疲れている。

「クロ、シロ、いつもより早いけど散歩に行くぞ」

と言うと、クロとシロが我先にと走ってきた。

本当にお前ら散歩が好きだよな。

シロはまだ小さいから長い時間散歩をすると疲れて止まってしまう。

でも、そういうときはクロの上に乗せて散歩をしたら問題がない。むしろ、シロもそれを望んでいるし、クロだってまんざらでもない。まるで親子みたいな関係だ。

リードを結んで、ちょっと離れた公園に。

ドッグランがあって、ちょうど他の犬もいなかったので、そこでリードを外して遊ばせることにした。

シロがクロにじゃれているのがとてもカワイイ。

ついスマホに手が伸び、写真を撮ってしまった。

今日は公園でクロとシロと一時間くらいまったりする予定と文字を添えて、SNSにアップロード。

この前、ミルクとアヤメに教えてもらって、フォロワーも姫を含めて三人しかいない、ほとんど自己満足のSNSなんだけど。

そして写真をアップしたあと、のんびりしていると――

「壱野さん? こんなところでお会いできるなんて偶然ですね!」

声をかけてきたのはアヤメだった。

なんか息を切らしているけれど、ジョギングの途中だったのかな?

「アヤメもこの公園に来るんだ。お互いの家から結構離れてるのに、本当に偶然だね」

「クロちゃんもシロちゃんもこんにちは」

「あれ? アヤメにシロの紹介したっけ?」

「え? あ、この子がクロちゃんなら、こっちはシロちゃんかなって思ったんです」

なるほど、パターンがバレていたか。

俺も単純だな。

「ところで、壱野さん。例の生駒山上遊園地の件ですけど……壱野さんが呼ばれたのってやっぱり――」

「あぁ、まぁ…… あっち(・・・) 方面?」

「やっぱり あれ(・・) 、壱野さんだったんですね」

お互い具体的に言わないが、しかしバレるよな。

富士山から溢れた魔物を倒した謎のヒーローの正体が俺だって。

「壱野さん、あの魔法って何発も撃てないんですよね」

「うん。ただ、ダンジョンの外だと裏技を使って一分一発くらい撃てる」

「裏技って例の土魔法ですか?」

俺がPDに入る姿がテレビで映っていた。

世間ではそれは土魔法の一種だと認識されている。みんなPDの階段を見ることができないから。

「まぁ、そうだね。便利なものじゃないからあんまり使いたくないんだけど」

とにかく魔力が回復するまでPDに潜っているのは暇で暇で仕方がない。

もう一度やれって言われても、本当の緊急事態じゃないと御免だ。

「詳細鑑定といい、まだまだ秘密もあるけど黙っててごめんね。」

PDのこともスキル玉のことも、そしてクロをテイムした経緯もまだ彼女には話していない。

「いいえ。壱野さんが必要だと判断したことなら私は責めたりしませんよ。絶対に。そもそも、秘密を全部話さないといけないってことはないと思います。私だって――壱野さんに伝えられていないことがあるんですから」

「ありがとう……その言葉がいまは嬉しいよ」

そうだよな。

秘密をすべて打ち明けるのが仲間ってわけじゃないよな。

「いいよな、放課後に仲間と会話するのって」

「仲間……え、えぇ、そうですね。近くにダンジョンがあったら放課後もみんなで潜れるんですけど」

「そうだよな」

ダンポンがこれから創るダンジョン。

この辺りに創ることができたらミルクも誘って三人でダンジョンに行けるんだけどな。

「え? 泰良、それにアヤメちゃんも!? 凄い偶然ね」

ミルクがやってきた。

この公園って、女子校生に人気の公園なのか? それともミルクとアヤメが待ち合わせしていたのか?

シロが遊び疲れて寝てしまったので、二人とはそこで別れ、シロをクロの背中に乗せて家に帰った。

すると父さんが開口一番に俺に伝えてきた。

「泰良、さっき電話で友だちに聞いたんだが、ちょうどいい遊園地があったぞ! しかもここから自転車で数十分くらいの場所に!」