軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

黒のダンジョン乗っ取り計画

梅田のオフィスがあるビルの地下に俺たちしか入れない倉庫がある。

そこにPD入り口の一つを設置していて、いつでも入ることができる。

とりあえずオフィスに行き、姫が軽く用事を済ませた後、全員でPDに入った。

PDの中ではダンポンが二人いた。

一人は梅田ダンジョンの管理をしているダンポンだ。

最近、よく遊びに来て、一緒にポ〇モンをしたり、お菓子を食べたりしている。

「あ、泰良! あけましておめでとうございますなのです」

「あけましておめでとう。お年玉はないけど、マカロン食べるか?」

さっきの初日の出イベントで貰った紅白マカロンをダンポンにプレゼントする。

「ありがとうなのです。でも、僕たちはお節を食べるのです」

「お節? そんなのどこで買ってきたんだ?」

カウンターの上に三段になっている重箱が置かれていた。

「梅田ダンジョンのダンポンが持ってきてくれたのです」

「僕のは日本政府からの差し入れなのです。みんな貰ったのですよ」

「へぇ、そんなのもしてるのか――」

海外だとどういう差し入れがあるんだろ?

お節は日本だけの文化だよな?

「姫、アメリカだと正月は何を食べるんだ?」

「アメリカの南部のほうだとブラック・アイド・ピーっていう豆料理を食べるみたいだけど、私がいた北部だと決まった食べ物はないわね。そもそも、うちはマムが京都出身だから、普通にお節を食べていたわよ。もっとも、ホテルの新年パーティの食事の方がメインだったし、学校の友だちは正月でもピザを食べていたみたいよ?」

「アメリカの人って毎日ピザを食べているイメージでしたが、正月も食べているんですね」

アヤメが感心しているように言う。

日本で営業しているピザチェーン店も年末年始休まずに営業しているわけだし、つまり日本人でも注文する人は注文するってことだからなぁ。

「泰良たちも一緒に食べるのです?」

「気持ちはありがたいが、俺も家にお節があるからそっちを食べるよ」

母さんがせっかく作ってくれたわけだしな。

「ダンポン、聞きたいことがあるんだけどいいかしら?」

「内容によるのです」

「PDで魔物を倒しても瘴気の浄化は一切できないのよね?」

「はいなのです。PDは外部からは遮断されているから瘴気とか一切関係ないのですよ」

「でも、いまは梅田ダンジョンと接続されているのよね? 梅田ダンジョンのダンポンがこうしてここにいるわけだし」

「はいなのです」

「でも、滋賀県の黒のダンジョンと繋いで、その機能の一部を奪えば瘴気を集めることができるのよね?」

「……それ、誰に聞いたのです?」

「ダンプルよ。ダンジョン学園の方のね」

いつの間にそんなコンタクトを取ってたんだ?

いや、EPO法人天下無双はダンジョン学園に多額の寄付をしている。

ダンジョン学園のダンプルと接触する機会は何度もあるか。

「可能か不可能かで言えば可能なのです」

「だったら、そうしてちょうだい。どうせPDで魔物を倒すなら、瘴気の浄化に協力できるでしょ? もう黒のダンジョン騒動がある度に拘束されるのは御免なのよね」

黒のダンジョンを乗っ取るって、瘴気を奪う機能を乗っ取るって意味なのか。

なるほど、俺たちは普段はPDで戦っているが、それでは瘴気の浄化は果たせない。

今は瘴気は落ち着いているが、今後のことを考えるとPDで瘴気の浄化ができるようになった方がいい。

でも、あれ?

それが可能なら、最初からしてくれたら、俺たちがわざわざ滋賀県に行かなくてもよかったんじゃないか?

ダンポンも知っていたなら教えてくれたらよかったのに。

「ダメなのです。瘴気を集めるのは危険なのです。最近もパンデミックがあったばかりなのですよ。泰良は自分の家の庭に魔物をあふれさせたいのですか?」

「待て、それはさすがに――」

自宅の庭を自衛隊が取り囲む光景を想像して、げんなりした。

「あら? 私たちは百倍の速度で魔物を狩れるのよ?」

「黒のダンジョンの瘴気を集める力は、僕たちのダンジョンの比ではないのです。泰良たちはまだ四十階層くらいでしか戦えないのですよ。滋賀の黒のダンジョンでは六十階層前後で魔物を狩っていたのに、それでも瘴気が溢れたのですよ? 実力不足なのです」

実力不足……か。

確かに六十階層で戦っていた竹内さんと比べると、確かに俺たちはまだまだ未熟だ。

姫もそこまではっきり言われると、文句を言えないようだ。

「六十階層台で戦えるようになったらいいってことね」

「それだけだとダメなのです。泰良たちは四人しかいないし、PDのことを公表してないなら外部からの手厚いサポートを受けることも出来ないので、もっと厳しい条件を課すのですよ」

「七十階層で戦えるようにならないとダメってことですか?」

「……それって何年後になるんだろ。今年中は難しいかも」

竹内さんも初回の探索で潜るのは四十階層台まで。

そこから調査を兼ね、時間をかけて五十階層、六十階層と潜っていき、七十階層に行くのは慣れた、そして自分たちにとって有利なダンジョンのみらしい。

ダンジョンによっては六十階層が溶岩地帯だったり水の中だったりとまともに探索できない場所もあるのだとか。

「そこまで難しいことは言わないのです。泰良たちには六十階層のボス撃破の他に四つの課題を達成してもらうのです。そうしたら僕も認めるのですよ」

なんだ? ここにきてミッションっぽいことをさせられるのか?

まるでゲームだな。

そして、こういうノリだと――

「おもしろいわね。それで、最初の課題は何かしら?」

姫が乗り気になるのは当然だな。

強くなるための道しるべだと思うと頑張るのは吝かではないが、頼むから、簡単なものにしてくれよ?

最初から躓くのは御免だからな。

「てんしばダンジョンの五十五階層にいるトリックボックスを五千体倒すのです!」

トリックボックス?

なんか罠っぽい名前の魔物だな。

五十階層のボスは一応倒せる段階になってきている。

それなら、五十五階層でもそろそろ戦える。

んー、任務の一段階目としては妥当か。

問題は数の方だが、一度ダンジョンを登録すればPDで倒せるから余裕か。

……ところで、トリックボックスってどんな魔物だ?