軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

合流するメンバーたち

「それで、何しに来たのよ、妃」

姫が妃さんに尋ねる。

料理は注文できなかったけれど、席を使う許可を貰った妃さんは、自動販売機コーナーで買ってきた缶コーヒーを飲みながら答える。

ちなみに、妃さん、プルタブの開け方がわからなかったので、どこからともなく現れた明石君代さんが開けていった。

「何って、私たちが潜るダンジョンの下見ですわよ」

と妃さんが指を鳴らすとサングラスにスーツのマッチョの男たちが現れた。

そういえば、白浜ダンジョンでも一緒にいたな、こいつら。

まだ同じパーティで戦ってたんだ。

ちなみに、この二人、妃さんが選んだパーティメンバーだけあって、実は二人揃って 尖端異常者(シャープアブノーマル) であるらしい。

攻撃特化の立花 剛鬼(ごうき) と技術特化の立花 静鬼(じょうき) 。

見た目はターミネーターなんだが、妃さんと同じ東大に通っている四回生で、二人揃ってレベルは83。

あの時、白浜ダンジョンで彼らに襲われていたら俺は負けていたかもしれない。

明石さんのレベルは54、そして、妃さんのレベルは55。

姫より一年近く早くダンジョンに潜っていたとはいえ、PDを使わずにここまでレベルを上げたのは凄いんだよな。

努力の人ってこともあるけれど、才能もあるのだろう。

姫以上の世間知らずのお嬢様でツンデレなところが目立つが、この人もキングさんの娘なんだよな。

『なんで妃さんが琵琶湖ダンジョンに来るんだ?』

念話で尋ねる。

『なんでって、妃たちも天下無双の正会員だからね。琵琶湖ダンジョンで経験を積んでもらって、黒のダンジョンが出て来たときは浅い階層で戦ってもらう予定よ』

『浅い階層の魔物を何百匹と倒すより、四十階層台の魔物を一匹倒す方が効率がいいんだよな?』

『逆に言えば、浅い階層で魔物を千匹くらい倒せば四十階層の魔物数匹倒す程度の効果はあるわけでしょ?』

理屈の上ではそうか。

とはいえ、もうちょっと強い人たちがいてくれたらいいんだけどな。

レベル50や80っていうのは、一般的に考えると強い部類に入るんだけど、それでも一般レベルの話。

どうせなら20階層より下で戦える人材が欲しい。

「ちょっと、あなた! なにうちの妹と見つめ合ってるのよ!」

妃さんが文句を言ってくる。

「妃、あまり煩くしてると店から追い出されるわよ」

姫がサラダを食べて言う。

自分たちが閉店後に押し掛けた客だとわかっているからか、追い出されたら困ると口を噤んでコーヒーを飲む。

「来るのは妃たちだけじゃないわよ。今回は天下無双総動員で事に当たる必要が出て来るわ」

「妃さん以外の天下無双のメンバー?」

「それってたしか――」

ミルクとアヤメが首を傾げる。

うん、ホワイトキーパーの元メンバーたちだ。

西条虎さんの件でEPO法人が取り消しになった結果、残りのメンバーをうちが受け入れた。

そうか、彼らなら20階層より下でも戦えるか。

そう思ったときだった。

彼が現れた。

「――あなたはっ!?」

「やぁ、久しぶりだね、壱野くん」

「西条さん!?」

そこには銀髪の貴公子、EPO法人ホワイトキーパーの元理事長であり、同名のパーティメンバーの西条虎さんがいた。

前に見たときは入院していてかなりやつれていた表情だったが、いまはすっかり最初に会った時と同じように戻っている。

同じ――

「西条さん、その手袋――っ!? もしかして――」

「ああ、これは俺の魔法の補助となる手袋だよ」

西条さんが右手の真っ白な手袋を取って俺に見せた。

【白の手袋:光属性の魔法の威力が上昇する手袋】

終末の獣ではないようだ。

「西条さん、天下無双に入ったんですか?」

「うん、本当は一人、一からやり直すつもりだったんだけど」

「西条さん、俺たちのリーダーは西条さんだけっす!」

「西条さん以外のリーダーはありえません!」

「そうです。何があったかは詳しくは知りませんが、でも西条さんには何度も助けられたんです。今度は俺たちが西条さんを助ける番です! これからも東京支部を一緒に盛り上げていきましょう!」

「みんな! ありがとう!」

なんか青春漫画みたいにホワイトキーパーの元メンバーと、西条さんが手と手を取り合ってる。

感動だな。

「西条虎以外のリーダーはありえないって、理事長は私なんだけど――」

「東京支部の支部長はわたくしなのですが――」

押野姉妹が文句を言っていた。

こうして、西条虎が天下無双に合流した。

「あの、そろそろ閉店なので食べ終わったら出ていってください」