軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

導かれて琵琶湖ダンジョン

庭にPDを設置した俺は、手の中に水の玉を生み出した。

やっぱりこの程度か。

「……泰良様もダンジョンの外で魔法が使えるの?」

トゥーナが俺の魔法を見て尋ねる。

「かなり威力が落ちてるけどな」

ダンジョンの中でしかスキルが使えないとされているが、正確にはダンジョンの周囲も僅かにだがダンジョン判定がある。

例えば富士山の黒のダンジョンから溢れた魔物に対して牛蔵さんが戦っていたときのように。

とはいえ、かなり威力が落ちる。

ダンジョンの中の数割程度だ。

そして距離が離れれば離れるほど、その効果は落ちていく。

牛蔵さん、よくこんな状態でダンジョンから溢れた魔物と戦いを続けたな。

いや、こんな状態だから魔物の侵攻を防ぎきれなかったのか。

実際、俺の水魔法もほとんど威力がない。

と手の中にある水の球を花壇に向かって投げた。

本来の威力だったらこの 水球(ウォーターボール) ですら地面を抉るくらいの威力があるのだが、いまは土に潤いを与える程度の力しかない。

もしもPDの入り口に片足でも突っ込めば本来の威力の魔法が使えるんだけどな。

「……なんで試してる?」

「今度ダンジョンの外に魔物が溢れるかもしれないから、ダンジョンの外だとどれくらい戦えるのか試してるんだ」

「……トゥーナなら戦える。手伝う?」

「ありがたい申し出だが、上松大臣が認めてくれないだろ」

トゥーナはこの世界でたった一人の異世界人であり、そしてエルフの女王だ。

いまでも土日は閑さんの研究所でいろいろな研究の協力をしているらしいし、研究所に世界の外交官らしい人が表敬訪問することもあるらしい。

俺たちが通っている学校やこの家まで訪れないのはせめてもの救いか

「……泰良様が死んだらトゥーナの世界救われない。泰良様の命の方が大事」

「いやいや、死なないって。俺たちが戦う場所は普通のダンジョンの40階層から50階層の間だから。40階層までなら何とか戦える」

ミルクと相談した結果、とりあえず今度の休みに琵琶湖ダンジョンまで遠征に行くことになった。

ただ、ダンジョンのボスの情報って40階層のボスまでしか公表されていないから、50階層のボスと戦うのは少し怖いな。

そういえば――

と俺はPDに入って、一つのD缶を取ってきた。

「……泰良様、そのD缶は?」

「俺が詳細鑑定を覚えて初めて鑑定した未開封のD缶だ」

【開封条件:琵琶湖ダンジョン23階層の祭壇に供える】

琵琶湖ダンジョンに行く機会がなかったのでこれまで放置していた。

これを開ける時が来たようだな。

と俺が開封条件を説明すると――

「……琵琶湖……湖」

「どうした? まさか、琵琶湖カレーが食べたいとか言うんじゃないだろうな?」

「……ん、琵琶湖のカレーはびわ湖ブルーという鮮やかな青色のカレー」

「あるのか、そんなカレー」

ダンジョンドロップの中にはびわ湖ブルー味のダンジョンドロップもあったけれど。

「……青いカレーはびわ湖ブルーカレー以外にも、茨城県のネモフィラカレー、北海道のオホーツク流氷カリー、和歌山の由良ブルーカレー、山梨県の青い富士山カレー等あり、むしろ青いカレーはメジャーになってる」

「え? 青いカレーってメジャーなの?」

「……割と」

マジか。

青い食べ物なんて青魚とブルーハワイのかき氷、あとはガリガリくんソーダ味くらいしかしらないぞ。

「レトルトカレーを土産に買ってくるから我慢してくれ」

「……そうじゃなくて、泰良様に用事があった」

「俺に用事? なんだ?」

「……これ」

トゥーナが持ってきたのは水晶玉だった。

俺の部屋の神棚に飾っていた水晶玉だ。

そして、それはただの水晶玉ではない。

【導きの水晶玉:極まれに使用者に必要なものが映し出される】

そこに何かが映っている。

建物だ。

道の駅びわ湖大橋米プラザ?

琵琶湖の道の駅……って、ここって!?

俺はスマホで調べる。

間違いない、琵琶湖大橋にある琵琶湖ダンジョンの入り口がある施設じゃないか。

「トゥーナにもこれが見えてるんだよな?」

「……ん、泰良様にも見えてる?」

「ああ、バッチリだ」

導きの玉は使用者に必要なものが見えるという。

つまり、俺とトゥーナの両方に見えているということは、俺たち二人、どちらにも必要なものがここにある。

エルフの世界を救う手がかりとなるアイテムがあるのかもしれない。

……その道の駅にびわ湖ブルーカレーが売っていてトゥーナが欲しがっているだけとかそういうオチはないよな?