軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

激辛スパイス

無事に黄金の寿司折を入手した俺たちは続いて激辛スパイスを手に入れるため、二十八階層を目指す。

激辛スパイスは魔物が落とすらしい。

マンドラトラという真っ赤な虎の魔物が落とすらしいが、これまでにない強敵だ。

〔今の攻撃は辛い〕

〔ベータさん悶死してる……再起不能じゃないか?〕

〔さすがに死んではないだろうが、俺が同じ立場だったらもう立てないよ〕

俺はマンドラトラを相手して、敵の思わぬ一撃にその場に倒れ、涙を流していた。

ダンジョンの魔物相手にこれほど痛い目を見たのは随分久しぶりな気がする。

「これは厄介だな、近づけない」

何しろ、頭の上に赤い花が咲いていて、そこから出る粉が唐辛子のような激辛の粉なのだ。

さっき、赤い粉を毒だと思った俺は、ミルクから八尺瓊勾玉をこっそり借りて突撃したのだが、その時に唐辛子の粉を思いっきり吸い込んでしまい、口の中が「ヒィっ!」となった。

どうやら、状態異常を無効化する力があっても辛味を消し去ることはできないようだ。

ダンジョンの中だと痛みに強いはずなのに、まだ辛い。

口の中はもちろん、目も死んでいる。眼球を取り出して洗浄液にぶち込みたい。

とりあえず辛さを和らげるために、魔法の水筒からミックスジュースを出して飲む。

あぁ、まだ辛い。

舌を取り出して表面だけ削りたい。

「泰良、大丈夫? 回復薬を飲む?」

「そうか、辛味の正体が痛みなら、回復薬で治療できるかもしれないな」

回復薬には痛み止めのような成分も含まれている。

ミルクが魔法で出してくれた回復薬でうがいをして、顔を洗って、さらに鼻うがいまでして、ようやく痛みが治まった。

「ふぅ、手強い敵だった」

ちなみに、マンドラトラはアヤメが魔法で倒してくれていた。

激辛スパイスの正体はマンドラトラの花粉だった。

マンドラトラスパイス。

透明の薬瓶に入っていて、その中身は真っ赤。

さて、鑑定してみる……って、うえ。

めっちゃ辛いスパイスってことはよくわかったが、それ以上はよくわからない。

「マンドラトラスパイスってそんなに辛いの?」

「さっきの粉と一緒なんだとしたら、興味本位で試したら死ぬレベルで辛いぞ」

俺が身をもって体験した。

〔ネット情報によると、マンドラトラスパイスのスコヴィル値は570万。発見されたのは8年前で、当時ギネスに記録されていたキャロライナ・リーパーの数値、160万を3倍以上更新〕

570万――フ〇ーザの戦闘力の10倍!?

とド〇ゴンボール好きの俺は思わず声を上げてしまいそうになる。

〔ハバネロの何十倍も辛くて、少しでも触れたら赤くただれ、少量でも目に入ったら失明の危険があり、2gを口にしたら死に至る〕

なんでそれで毒認定されないんだよっ!

こんなん猛毒中の猛毒じゃねぇかっ!

ダンジョンの中じゃなかったら、失明していたし死んでたぞ。

もはや兵器だ。

〔ダンジョン局はこのマンドラトラを用いたダンジョン用兵器の開発を計画している。今回の依頼はその一環だと思う〕

……本当に兵器だったのか。

すまん、トゥーナ。

これはお前に納品してやれない。

これは素人が扱っていいスパイスではないようだ。

ていうか、なんで今日のリスナーはダンジョン局の裏側にそんなに詳しいんだ?

ダンジョン局からの依頼の内容は公表されているし、調べようと思ったら調べられるのかもしれないが、でも20階層より下の魔物やドロップアイテムの情報って滅多に手に入らないはずなんだが。

こうしてダンジョン局の依頼は無事に達成し、配信も終了した。

しかし、ここからが本番だ。

まだミコトからの依頼が残っているからな。