軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ダンジョン学園ダンジョンの30階層

ダンジョン学園のダンジョン30階層。

やはり、通常のダンジョンより難易度が高いのだろう。

身代わりの腕輪のお陰で死ぬことはないが、死ねばレベルが1に戻る。

そして、レベル1になったとき、スキル玉で覚えたスキルがどうなるかは明言されていない。スキル玉の存在はその時、世間に知られていなかったので、そのあたりがあいまいになっている。

スキル玉の存在が明らかになったことで、今後そのあたりの説明が追加されると思うが、いまのところはわからない。

まぁ、スキルがそのままだろうが、無くなろうが関係ない。

死ぬつもりはない。

死んだら終わり――そう思っている。

「30階層のボスはどんなボスなんだ?」

「知らないわ」

「え? ボス情報は出回ってるんだろ?」

ダンジョンの情報はあまり出回っていない場所も多いが、ボスに関してはダンジョン局が公開している情報がある。

ボス部屋のボスは一気に強くなる。30階層のボスだと、だいたい35階層の雑魚一グループくらいの強さだ。

何の情報もないまま、自分の実力を過信して30階層でギリギリ戦える人間が突入したら逃げ出す前に殺されてしまう可能性もある。

そのため、ダンジョン局はボスに関する情報をかなり詳細まで公開している。

そのあたりを調べるのはいつも姫に任せていた。

彼女はダンジョン局の情報だけでなく、海外の情報だったり会員制サイトの情報も知っているから。

姫が理由なく調べないとは思えないが。

「壱野さん、ダンジョン学園のダンジョンのボス情報は公開されていないんです。ダンプルが情報の公開を禁止しているんですよ」

「え? なんでまた」

「ダンプルが言うには、敵に臨機応変に対応する力を身に付けさせるには、情報の公開は邪魔でしかないんだって」

アヤメの説明をミルクが引き継ぐ。

「ゲームを純粋に楽しむには、ゲームプレイ動画は見ないでほしいみたいな感じの話か?」

「ゲームとかあんまりしないからその感覚はわからないわね」

姫の共感は得られなかった。

俺も最近はダンジョン攻略ばかりでゲームは全然できていないけれど。

むしろ、ダンポンの方が話が合うのかもしれないな。あいつは暇なときはずっとゲームをして……あ、ダメだ。あいつのしているゲームは古すぎて世代が合わない。ポ〇モンに関して言えば、俺より水野さんと話が合うんじゃないか? 彼女は150匹集めてたし。

しかし、情報無しか。

死なない代わりにそういうデメリットもあるのか。

「じゃあ、アヤメ。補助魔法だけかけておいてくれ」

アヤメの魔法で俊敏値、俺自身もヒートアップを使って攻撃値を上げた。

「琴瑟相和はどうする?」

「必要に応じて使う感じで」

琴瑟相和のクールタイムは一時間もあるから、あれは切り札だ。

ボス部屋の中に入る。

「なるほど――こう来たか」

ボス部屋の中にいたのはマンモスだった。

雪のダンジョンによく似合う。

マンモスは鼻を大きく振り上げると、その鼻を振り下ろすと同時に氷の粒を噴き出した。

めっちゃ冷たい。

寒いじゃなくて冷たい。

「 暖気の風(ウォームウェア) が通用していない!?」

「 暖気の風(ウォームウェア) で防げる範疇を超えています」

「泰良、その吹雪の中にいたら氷漬けになるよ! 急いで移動して!」

「氷漬けって――って靴が凍ってるっ!?」

くそっ! 靴が床にくっついて剥がれない。

「解放: 火の矢(ファイアアロー) !」

自分の足下に火の矢を放って熱で脆くなった氷を力づくで引き剥がし、吹雪から逃げる。

「くそっ、まさかあんなに簡単に凍るなんて」

「私に油断するなって言っておいて、何してるのよ」

姫が分身とともにマンモスに向かっていきながら言う。

広範囲過ぎて避けることはできなかったが、しかし直ぐに移動するべきだったのは確かだ。

「姫、頭上に 氷柱(つらら) が生まれた! 落ちて来るぞ!」

今の吹雪で天井に氷柱ができたことに気付き、姫に注意を促した直後、氷柱が落ちて来た。

俺たちは氷柱を避けるが氷柱の数はまだまだ多い。

その時だった。

「解放: 竜巻(トルネード) 」

アヤメが風魔法を使い、天井に生み出された氷柱を呑み込むと、竜巻はそのままマンモスを呑み込む。

竜巻とともに飛んできた氷柱がマンモスに突き刺さった。

マンモスは雄叫びを上げながら体当たりしてくる。

速い――が姫の分身たちはしっかり避けた。

真っすぐ俺に迫って来るが、次の瞬間、ミルクの放った銃弾がマンモスの眉間に刺さると、みるみるその速度を落としていく。鈍重弾が命中したのだ。

「チャンス!」

二刀流応用剣術――

「月影双龍剣」

マンモスの鼻が千切れ、その牙が折れた。

それでもまだ死なない――しかし。

さっき身をかわした姫が分身とともに既に追いついていた。

『鬼哭閃影断』

分身九体と伴に放った応用短剣術の一撃がマンモスを沈める。

「よし、30階層のボス撃破! 最初はビビったが余裕だったな」

「最初は油断したけど――の間違いでしょ」

「悪い、次から気を付ける」

ドロップアイテムの確認をする。

銅の魔石、毛皮、角、切り株みたいな巨大な肉。

一体、どこを斬ったらこんな形になるのだろう?

鑑定をしなくても、マンモスの肉だと思うのだが、念のために鑑定する。

『マンガ肉B:漫画やアニメに登場しそうなマンモスっぽい獣の肉。焼くとジューシーでとても美味しい』

違った。

マンモス肉じゃなくてマンガ肉って名前だった。

でも、変だな。

「マンガ肉って、普通、両端から骨が出ていて、手掴みで食べやすい肉だよな? なんでこれがマンガ肉なんだ?」

俺の問いに、みんなも首を傾げる。

わからないみたいだ。

さては、ダンプルの奴、間違えてるな?

うまそうな肉だからこれはこれでいいか。

次は31階層だ。

きっと、これまで以上に寒く辛い場所になるだろう。

気を引き締めていこう。

そう思って階段を下りていく。

転移用魔法陣があった。

これで一階層にいつでも戻れる。

そしてさらにその先の扉にあったのは一枚の貼り紙だった。

【改装中に付き立ち入り禁止。詳しくはダンプルまで連絡をお願いします】

改装中?

まぁ、連絡をしようにも、そのダンプルを助けるためにここを通る必要がある。

俺は貼り紙を無視して扉に手を掛けた。

そしてその先にあったのは過酷な――

「……え?」

雪山ではなく、そこはお城の謁見の間のような場所だった。

そして、そこにはやっぱり王様がいて、彼はこう言った。

「おぉ、よくいらっしゃった! 異世界の勇者様! どうかこの世界をお救い下さい!」

……はい?