軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

幼馴染三人トリオ探索

『はい、スミレから話を聞いたんですが、ダンプル学園長は最近、学園長室にもいないそうなんです。ただ、黙って一週間留守にしたこともあるみたいで、特に気にしていなかったみたいです』

『花蓮ちゃんから聞いたのもそんな感じみたい。文化祭の発注とかで業者の人がダンジョン学園に来ても、学園長が不在で困ってたそうだよ』

アヤメと水野さんからそれぞれ念話で連絡が入った。

アヤメの妹のスミレちゃん、水野さんのところのアルバイトの胡桃里さんがダンジョン学園に通っているから何か知っているかと思って聞いてみたのだが、わかったのはダンプルが留守だということか。

そしてミルクに念話で伝えたところ、彼女は直ぐに俺の家に駆け付けて、青木に送られてきたダンプルからのメッセージを見た。

「青木へのメッセージが日本語じゃなくてダンポンとダンプルにしかわからない文字だということ。何より青木にメッセージを送っていることからして、泰良へのメッセージであり、あまり世間に知られたくないメッセージなのかもしれないよ」

ミルクがそう推理する。

「世間に知られたくないっていうのはどういう根拠で?」

「ダンプルはあれでもダンジョン学園の学園長だよ? 青木以外にも、学校の関係者にも連絡を取れるはずなのにわざわざ青木を選んだのは、泰良以外にはメッセージの内容を知られたくないからだと思うの。ただ、一つだけ気になることは、なんで他のダンプルに助けを求めなかったかってことだよね」

ダンプルは一人ではない。

例えばキングさんと一緒に行動しているダンプルもいるし、世界中のダンジョン学園にもいる。もしかしたら富士山の黒のダンジョンにも管理人としてずっといるのかもしれない。

「んー、わからん。とりあえず、ダンジョン学園のダンジョンに行ってみないとわからないかもな」

「罠ってことはないか?」

そう言ったのは青木だった。

「俺も半分も理解していないんだけど、壱野や牧野たちってダンプルと生駒山上遊園地で敵対していたんだろ? 俺と話しているときは悪い奴には見えなかったけど、でも今回の件は壱野に自分への救援メッセージだと見せかけてダンジョン学園に誘い込む罠って可能性はないか?」

「その可能性は絶対にないとは言えない。でも、それならそれでいいと思う。これが罠だというのなら、それはそれで考えがあってのことだと思う」

ダンポンとダンプルの狙いは根本のところは同じ。ダンジョンを通じて人々の成長を促し、万が一終末の獣が訪れたときにそれらに抗う力を身に付けさせること。

どちらもダンジョンを使って成長させるという点は同じだが、しかし大きく異なる点がある。

ダンポンはダンジョンに安全を求め、危険なく人々が成長できるようにしている。

ダンプルは逆に、ダンジョンは生と死が隣り合う場所と言い、人々を危険に晒して急激な成長を促す。

まぁ、そのダンプルもいまは絶対に安全な死なないダンジョン学園のダンジョンを経営しているので、変化がないとは言えないが。

「問題は、ダンプルが本当に助けを求めていたときだ。俺はあいつに――あいつらに大きな借りがある」

エルフの世界に迷い込んだ時、ダンプルが自分の所有するエネルギーを使って俺を助けてくれなければ俺はこの世界に戻って来られなかった。

もっとも、元々エルフの世界に行った原因はダンプルに廃世界を再生させる方法を教えてもらったからであって、若干マッチポンプな気がするが。

それでも助けてもらったのは確かだから、その借りは返したい。

「ダンジョン学園のダンジョンに行ってみるよ」

「だったら私も行くよ!」

ミルクが言う。

彼女ならそういうと思った。

今日は姫はダンジョン局との商談、アヤメは姫路のお婆ちゃんの家に行っていて居ないから、今空いてるのは二人だけなんだよな。

「いいな、久しぶりに幼馴染三人トリオでダンジョン探索をするか!」

「トリオは三人組って意味だから頭痛が痛いみたいな表現になっちゃってるよ」

ミルクが変なところを指摘する。

「青木も来るのか?」

「いいだろ? 俺だってダンジョン学園に興味あるんだし、あそこは絶対に死なないダンジョンなんだろ? そもそも、俺に来たメッセージなんだ。俺を呼んでいる可能性だってあるじゃないか」

青木にメッセージが来たから、一応青木に助けを求めている可能性もあるのか?

うーん、その可能性は低い気がするが。

「死なないっていうより死ねば生き返るって感じだな。ただ、その場合レベルが1に戻るんだぞ?」

「そのくらいはわかってるよ。体験学習で行ったことあるし」

一応、EPO法人におけるダンジョン学園の利用規約では、外部からの協力者を同行させることができる。

青木が同行しても問題ない。

そして、ダンジョン学園のダンジョンには安全マージンがないからどこまでも一緒に行ける。

だが、今回の事態を考えると――

「それに、俺、実は人探しにはもってこいのスキルを覚えたんだぞ?」

「え? どんなスキルだ?」

「それはな――」

と青木の覚えたスキルは、確かにダンプルを探すには使えそうなスキルだった。

無理だと思ったら、青木にはダンジョン学園ダンジョンの一階層に戻ってもらい、普通にそこで魔物退治でもしてもらえばいいか。

「じゃあ、行くか。幼馴染三人トリオで」

※ ※ ※

ダンジョン学園に到着した。

正門からは入らず、裏口に移動。

裏口には警備員が立っていたが、天下無双のオフィスから俺が来ることを伝えてもらっていたので問題なく中に入る許可を貰った。

今日は日曜日なので、抽選で当選した一般人百人もダンジョンの中にいるらしい。

念のため、警備員さんにダンプルと連絡が取れないか尋ねてみたが、不在で連絡が取れないと教えてもらった。

更衣室で着替えた後、入り口でスタッフから身代わりの腕輪を受け取り、三人とも装着してダンジョン内に入る。

「ここがダンジョン学園のダンジョンか。他のダンジョンとあんまり変わらないんだな」

「基本は同じだよ。生駒山上遊園地のダンジョンだって、似たような感じだったぞ」

さすがに他のダンジョンに闘技場はないけれど、それ以外変わりはない。

「で、どこから探すんだ?」

「そうだな。一般参加の人がいる場所にはいないと思うから、とりあえず21階層を目指すか」

「いきなりハードだなっ!? 俺死ぬぞ!」

「大丈夫だって。肩代わりスキルで青木のダメージを全部引き受けることができるし、21階層くらいの魔物なら俺たち余裕で倒せるから」

「回避タンクと斥候役の姫ちゃんがいないから慎重に行動する必要はあるけどね」

青木は21階層に行ったことがないので、俺の魔法、 迷宮転移(ダンジョンワープ) で少しずつ降りていき、最終的に21階層の入り口に到着。

ダンジョン学園ダンジョンの21階層は極寒の雪原だ。

「はい、泰良、青木。スパイスドリンク」

「ありがとう、ミルク」

「サンキュ、牧野」

寒さを軽減することができる飲み物で、寒さ対策のために購入してインベントリに保存していた。

だいたい一本で一時間くらい効果がある。

「っていきなり魔物がいたな」

俺はそう言って、近くの木の陰にみんなを誘導し、インベントリから銃を取り出してミルクに渡す。

「え? どこに?」

青木が木から顔を出して魔物を探すが、ミルクが既に動いていた。

あっという間に銃を構えて撃った。

銃弾は真っすぐ進み、匍匐前進して近付こうとしていた真っ白なリザードマンの眉間に命中、一瞬で倒した。

「スノーリザードマンだね。アイスブレスはスパイスドリンクでも防ぎきれないから気を付けないと」

「泰良の戦ってたところは前に淡路島で見てわかってたけど、牧野も本当にデルタなんだな」

「当然でしょ」

とミルクが言ったとき、木に積もった雪が彼女の頭上にドサっと落ちてきた。

大した量ではないが――

「そういうところは全然変わっていないな」

という青木の意見には少し同意した。