軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ネオキューブ狩り対決(その1)

てんしばダンジョン26階層。

自己最深層だ。

相変わらず金属の無機質なダンジョンという感じだが、前の階層みたいなベルトコンベアだったり機械が動くモーター音が鳴ったりはしない。

雰囲気が少し変わった感じがする。

「ここにネオキューブってのがいるんだよな。他の魔物は?」

「ここにいるのはネオキューブとキューブキラーの二種類だけよ。キューブキラーはロボットの剣士みたいな感じの魔物で、ネオキューブを追いかけて倒そうとするの。ネオキューブはキューブとほとんど同じ。逃げるだけだけど、その俊敏値は遥かに高いわ」

「ここのダンジョンの20階層以上先の魔物の情報はあんまりないんじゃなかったか?」

「いままではね。元ホワイトキーパーのメンバーに東京に帰る前に調査してもらったのよ。彼らなら西条抜きでも30階層までなら調査できるから」

なるほど、だから知っていたのか。

「まずは二人でキューブキラーを探しましょ?」

「ネオキューブが目的じゃないのか?」

「キューブキラーの強さがわからないと、前みたいに泰良とキューブ狩り対決できないじゃない」

やっぱりキューブ狩り対決したかったのか。

まぁ、そんなことだろうと思ったけど。

「魔物の気配は?」

「あっちからするな」

魔物の気配のする方に歩いていくと、銀色の立方体の箱が浮かんでいた。

ネオキューブの方か……ってもう逃げだし――と思ったら姫の分身に追いつかれて仕留められていた。

ネオキューブ、めっちゃ速かったが姫の方がさらに速かった。

落ちていたのは銀色の箱。

「トレジャーボックスNよ。一発目で出るなんてラッキーね! 最低幸運値は120だから今の私だとドロップ率10%くらいだもの」

「姫の幸運値っていまどのくらいだ?」

「83よ」

姫の幸運値は俺に次いで高いが、まだ2桁か。

やっぱり俺の幸運の初期値100は異常過ぎなんだよな。

とりあえず鑑定してみる。

【トレジャーボックスN:開けると様々なアイテムが出てくる魔法の箱】

トレジャーボックスやトレジャーボックスTと似たような感じだ。

とはいえ、中身はいい物が出るんだろうな。

開けてみたいが、いつも通り地上に戻ってから一度に開けよう。

次の魔物を探す。

現れたのは黒い鎧武者だった。

動く日本甲冑って感じかな?

「よし、次は俺が――」

「何言ってるの。私が倒せるかどうか試すんでしょ。肩代わりも使ったらダメよ」

そうだった。

姫の戦いっぷりを見たら身体を動かしたくなったんだけど、ここは譲るか。

姫が分身を七体生み出し、そのうちの二人がかりで戦う。

「 注目の的(アテンションプリーズ) っ!」

分身Aが囮スキルを使った。

回避に専念するようだ。

そう思ったとき――

キューブキラーが持っていた日本刀で姫を斬った。

姫が避けきれないなんて。

分身Bが撤退する。

「ちっ」

姫が舌打ちをする。

「俺が代わる!」

「いえ、まだよ!」

そして分身B、C、Dと今度は三人がかりで突撃。

Bが一番前に出た。

先ほどと同様、分身Bはキューブキラーの攻撃を避けきれずに倒された。

そして、そのまま分身Bへと下ろした剣の切っ先を変えて上に振り上げるが、分身Cはそれを紙一重で回避。

分身CとDの二人がかりでキューブキラーに短剣技を使って倒した。

「姫、大丈夫か?」

「ええ。分身の体力は本体の2%くらいだから分身が一人や二人死んだところでちょっと痛い程度よ」

と姫が汗を流して言う。

「ポーション飲んでおけ」

「……ありがとう」

姫はそう言って俺が渡したポーションを飲む。

「この感じだと三人がかりで一人を犠牲にしたら倒せるわね」

「その戦い方はマズイだろ」

「仕方ないでしょ。あの一撃目の攻撃が避けられないんだから」

「避けられないのか?」

「うん。たぶん、あれは必中剣よ」

必中剣――基礎剣術か。

そういえば、必中剣の後に使ってきたのは燕返しだった。

基礎剣術スキルは基本、連続して使えない。

ただ、必中剣、燕返し、薙ぎ払い、真向斬りと順番に使うことで連続して使用できる。ただし、相手に躱されたら途切れてしまう。

「こりゃキューブ狩り対決は中止か?」

「いいえ、問題ないわ」

「いや、お前分身倒されたじゃん」

「分身が倒れただけなら問題ないわ。キューブキラーよりネオキューブの方が多いんだし」

「しかし」

「じゃあ、本体の私はずっと泰良と一緒に行動するわ。キューブ狩り対決に参加するのは分身だけ。それならどう?」

確かに、それなら姫が死ぬことはない……か。

分身とはいえ姫が死ぬことは看過できないんだが。

この階層の敵だと身代わりの腕輪を装備しても体力100くらい削ってくるだろうな。

「泰良が断るのなら、私一人でも分身を作って勝手に狩りをするわよ?」

「あぁ、わかったよ。でも、分身が倒れたらそのたびにポーションを飲むんだぞ」

「心配性ね。でも本体は暇だからわかったわ」

ということで、久々のキューブ狩り対決だ。

七体の姫の分身は一体は本体に付けて三チームに分かれて移動を開始。

俺は影獣化を使用。

「全力で走るがついてこれるか?」

「誰に言ってるの? 余裕に決まってるでしょ」

俺は走った。

気配探知を使う。

分身の姫の気配がない方へ。