軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

楽しかった配信と二度目の万博公園ダンジョン

配信を終了してダンジョンの外に出る。

これで帰ったらPDでドラッグトードを倒して、カエル印の丸薬を集めよう。

カエル印の丸薬には種類があって、経験値上昇、体力回復、体力継続回復の三種類の薬の素材になるらしい。

だいたい、これでできる経験値薬は3000ポイントくらいなのだが、利点は丸薬なので複数個を一度に飲めることか。

アスクレピオスのゴブレットは丸薬でも効果があるのだろうか?

後で確かめないとな。

「なんだこれっ!?」

と思っていたら、青木が更衣室で着替えながらスマホを確認して、目を見開いた。

「どうしたんだ?」

「なんかスマホの通知が凄いことになってる。なんだ? 柴田が電話って初めてじゃないか? 荻や出口、それに女子からもメッセージが来てる」

「俺もだ……」

シャツに袖を通して、スマホを確認する。

着信履歴が凄いことになってた。

中には電話帳に登録していないものも。

「青木、この番号誰かわかるか?」

「ん? えっと、これは……あぁ、菊池だよ」

「菊池? ほとんど話したこともないぞ」

不良グループの一人で、俺とは関わりのない。

どうなってるんだ?

と着信が。

水野さんだ。

電話に出る。

「水野さん、ちょうどよかった――」

『大変! 壱野くんがベータだってクラス中の噂になってる!』

「そうなの?」

『青木くんと配信してたんでしょ? それで、青木くんと幼馴染であんな風に仲が良くて探索者っていうと壱野くんしかいないって――』

「まぁ、そうなるかな?」

『そうなるかなって、別にいいの?』

「どうせ11月にはメディアに顔出しすることになってるから、それまでにみんなに言うつもりだったし――」

ミルクやアヤメも自分たちがデルタ、ガンマであることを一部のクラスメートには知られているらしい。

二人は髪の色とかでわかりやすいからな。

『ちょっと待って――え?』

「どうした?」

『えっと、クラスのグループメッセージに、壱野くんがベータであることはSNS等で絶対言わないように、あと壱野くんに聞いたりしないようにって高橋先生から……他にも学校のお知らせで、こっちは壱野くんのこととは具体的に書いてないけど、SNSの個人情報の取り扱いについて注意事項が……』

前に政府から俺の公欠について圧力が掛かっていたから、先生たちが気を回したのだろう。

まぁ、徒に情報が流出するより、ある程度制限が掛かっていた方がいいか。

「うん、わかった。あ、そうそう、水野さんの新しい経験値薬を開発予定だから楽しみにしててね」

『え? 新しい経験値薬ってどんなの?』

「帰ってからのお楽しみってことで」

と通話を終了。

青木もスマホで情報を入手したらしい。

「悪い、壱野。俺のせいでベータの正体がバレたみたいだ」

「いいよ。さっき水野さんにも話してたけど問題ないよ」

とはいえ、これは新学期が少し面倒そうだな。いまが長期休暇中でよかったよ。

夏休みの間に少し騒ぎが落ち着いているといいのだが。

「それより、配信楽しかったな。また今度やろうな」

「おう……ただ、変な質問が多いのはさすがに気になったな」

そうだな。

でも最後の質問。

あれってもしかして響さんじゃ……いや、憶測で語るのはよくないか。

※ ※ ※

そして、別の日。

俺とアヤメは二人で万博公園ダンジョンに来ていた。

以前からの約束だったが、ただの夏休みだけでなく、お盆期間のため、さらに人が多い。

こういうときはEPO法人の優先入場特典が役に立つ。

「アヤメ、今日は式神は出さないの?」

「はい。今日は壱野さんと二人きりでダンジョンに来たかったので。いざというときにはいつでも出せますが」

「さすがに危ないことはしないよ」

万博公園ダンジョンの21階層から先の階層は草原らしく、美味しい肉のある魔物が出てくるって聞いた。

ダンジョン産の肉は金を払えばいつでも手に入るってわけじゃないからな。

自宅でいつでも食べられるようにしておきたい。

と俺はロッカーの中に入れてある例の小箱を思い出す。

今日の目的は、アヤメに婚約指輪を渡すこと。

そっちがメインなんだから、ダンジョンに夢中になり過ぎないようにしないとな。