作品タイトル不明
青木とコラボ配信
今日はダンジョンオフ日のはずだったのに、女性陣が結託してPDの中に。
俺一人になってしまったので、青木の家に遊びに行く。
「女子会で除け者だから、壱野一人なのか」
「そういうこと。まぁ、女性陣が仲がいいのはいいことだ」
ギスギスされるよりは遥かにいいんだけどな。
ということで、俺は青木の家で、ひたすら経験値薬を作りながら、ス〇ブラで遊んでいた。
「よくもまぁ、調合しながらゲームできるな」
「調合っていってもずっと身体に触れていたらいいだけだからな」
胡坐を搔いて、膝の上にキノコを乗せていれば勝手に出来上がる。
その間はゲームをしていてもいい。
「それ、何作ってるんだ?」
「経験値薬だ。だいたいスライム1000匹分」
「そんなのがあるんだ」
「ああ、水野さんに飲んでもらってる」
青木には、水野さんが天下無双の専属鍛冶師であることは伝えている。
「羨ましいな。ダンジョンに入らずにレベル20超って」
「まぁ、俺が無理に誘ったわけだし、水野さんには助けられてるよ」
主に捕獲玉とミルクの武器で。
と話していたら、俺の操っていたフォッ〇スが青木が操るドン〇ーコングにぶっ飛ばされた。
「そういや、なんでキノコなんだ? お前なら、もっといい素材で経験値薬作れるだろ?」
「いい素材って何かあるか?」
「若草山ダンジョンの5階層に薬仙人っていう極まれに薬の素材を落とす魔物がいるらしいぞ」
若草山ダンジョンか。
そういえば行ったことがなかったな。
「じゃあ、青木も一緒に行かないか?」
「いや、俺はまだレベル15だし、一緒だとお前、2階層までしか潜れないだろ?」
「じゃあ、手っ取り早くレベルを上げるか? 経験値薬飲んで」
「いや、何本飲む必要があるんだよ。さすがに飲みきれないよ」
青木がそう言ったので、俺は経験値薬とゴブレットを取り出す。
「この経験値薬は特別製で、スライム10万匹分の経験値が手に入る。このゴブレットも特別製で、これに入れて薬を飲むと経験値薬の効果が2倍になる」
「おい、それってマジか?」
「ああ。一緒にダンジョンに潜ろうぜ! ついでにベータと青きゅんでコラボとかどうだ?」
「いいのか?」
「お前さえよかったらな。響さんにはベータの正体がバレるかもしれないけど、まぁバレてもその時はその時で」
妃もそうだけど、ガチで調査すればチーム救世主の正体は直ぐにわかる。
政府がマスコミに圧を掛けてくれているので公になっていないだけだ。
既に明石さんには許可を貰っている。
青木に俺の正体をバラした時点で、コラボ配信とかしてみたいってちょっと思っていた。
「待ってくれ! 響さんに許可もらってくる」
※ ※ ※
俺と青木は近鉄奈良駅に到着。
よく遠足で来た場所だ。
とりあえず、昼前なので商店街にあるトンカツ店に行く。
「京都の伏見稲荷もそうだったけど、こっちも外国人だらけだな」
「そうだな」
客の半分が外国人だ。
見たところ英語や中国語のメニューが用意されている。
とりあえず、999円のサービスランチを注文。
二人で胡麻を擦って、トンカツソースを入れ、それを付けてトンカツを食べる。
うん、チェーン店だけど普通にうまい。
「壱野、結構稼いでるのにサービスランチでいいのか?」
「サービスでも150グラムだし、この後動くことを考えるとあんまり食えないだろ。腹八分目でいいよ」
「それもそうだな……ところで、ご飯おかわり自由みたいだけど、どうする?」
「当然食べる」
「だな!」
てことで、腹八分目どころか十分目を超えた状態で店を出た。
その後、中金堂や興福寺、五重塔の横を通っていく。
途中、鹿せんべい屋さんがあった。
「青木、鹿せんべい食べるか?」
「腹いっぱいだからパス。壱野こそデザートにどうだ?」
「俺はかき氷食べて帰るからやめておくわ」
なんて馬鹿なことを言いながら、東大寺を横目に若草山に移動。
若草山の麓は柵で覆われていて、中に入るには入山料(150円)がいるんだけどダンジョンの入り口は柵の外にあるので問題ない。
青木のステータスの内容証明の発行に少し時間がかかったが、受付を済ませた。
更衣室へ。
「お客様、女性用更衣室はこちらになります」
と青木がスタッフ呼び止められていた。
青木は「俺は男ですから!」と訂正する。
「お前、なんか年齢重ねるごとに女性に間違えられる確率上がってないか?」
「……言うな」
「たぶん、この後の配信も間違えられるぞ。一応、明石さんに頼んで、青木の性別を男性にしてもらってる。で、青木の名前は青木でいいのか?」
「いいよ。えっと、俺が壱野って言ったら、自動的にベータって変換されるんだよな?」
「ああ。だからお前はいつも通り呼んでくれていいぞ」
と着替えを済ませる。
今日は五階層までしか潜らないので、火鼠の外套ではなくスポーツウェアだ。
青木も似たような感じ。
三階層に移動し、ダンジョン配信をスタートする。
「こんにちは。ダンジョン配信始めます」
〔始まった!〕
〔来た、待ってた!〕
〔あれ? アルファたんは?〕
〔女の子がいない……だと?〕
文字が壁に映る。
やっぱり女性陣がいないことが気になるか。
「今日はいつも一緒にいる仲間が女子会でいないんでチーム 救世主(メシア) は俺一人です」
〔はい、解散〕
これは明らかに冗談っぽいけど、同接数が少し減ってる。
まぁ、俺だけだったら華がないってのは事実だ。
「今日はコラボ配信ですので、ゲストと一緒にダンジョン探索をします」
「どうも――青木です」
〔美少女来たっ!〕
〔これは浮気ですか?〕
〔いや、これだけの美少女だから、むしろこっちが本命〕
……おかしい、ちゃんと青木のアバターは男性設定にしてもらっているはずなのに、いまだに美少女認定されるだと?
アバター化したらたとえ男性用でも女の子に見えるってことか。
これにはさすがの青木も怒って、
「俺は男です! そこんとこよろしく!」
と訂正したのだった。