軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

VS.西条虎

なんとかギリギリ間に合ったな。

結構ヤバかった。

23階層から梅田ダンジョンに入ろうとしたのだが、中で繋がっていなくて、結局24階層からダンジョンに入ることにした。

22階層ではなく、24階層から入ったのは、導き玉――火を点ければ出入口の方に煙が流れていく使い捨ての魔道具――を使えば最短距離で23階層に行くことができるからであることと、トゥーナが24階層から下に向かっていたら、その臭いをクロが追うことができるからである。

ただ、トゥーナは24階層に来ていなかったらしく、クロの嗅覚の出番はなかった。

23階層への階段は直ぐに見つかったのだが、その入口を巨大なスライムが塞いでいた。

影獣化をして一気に倒そうとしたら、

「解放:スライムデス」

アヤメがスライム専用の即死魔法を放つと、巨大スライムが一瞬で弾けとんだ。

そして、巨大スライムの中から人間が現れた。

この人達、月見里研究所の人たちだ。

溺死していると思ったが、まだ生きているらしい。

それより、トゥーナはっ!?

と思ったら、なんか複数の人にトゥーナが囲まれていた。

それをミコトが守っていたようだ。

「待たせたな、トゥーナ。助けに来たぞ」

「……ん、待ってた。泰良様」

俺は影獣化を解除してミコトを見る。

満身創痍って感じだ。

トゥーナを守ってくれていたんだな。

「ミコト、助かった」

「気にするな。一宿一飯の恩義を果たしたまでじゃ。まぁ、一食では済まんくらい世話になっておるがのぉ」

軽口を叩いてミコトは言うが、限界だったようで、少し休ませてもらうと言って腰巾着を使ってトゥーナの背中に戻った。

「驚きました。どうやってここまで来たのですか?」

「わざわざ言うわけないでしょ。それより、トゥーナ、どういう状況? こいつらなんなの?」

クロと、姫、そして姫の分身がホワイトキーパーのメンバーらしき男たちと戦いを始める。

ただ、彼らの様子は明らかにおかしい。

「……操られてる、西条に」

「そう……じゃあ、殺すのも躊躇われるわね」

と言いながら、姫は相手の腕や足にクナイで傷つけていく。

トップランカーのメンバーのはずだが、動きが悪く姫でも十分に対処できている。

「俺も聞きたいな。西条に渡した捕獲玉は鳥、虫、獣の三種類だったはずだ。どうやってスライムを操っていたんだ?」

「さて、どうやってでしょうね?」

と西条が大きな葛籠の蓋を開けると、中から今度はメタルスライムが七匹現れた。

あの葛籠の中に魔物が入っているのか?

魔物が出てくる葛籠って、まるで舌切り雀の大きな葛籠だな。

そういや、西条は俺たちの配信見てただろ?

こんなメタルスライム、俺にとっては経験値にしかならないぞ。

俺は前に出て、布都斯魂剣を抜きメタルスライムに攻撃を仕掛ける。

全てを一撃で倒していく。

これで――

「終わりです」

姫の投げたクナイを避けた西条は半回転して宙を舞いながら、俺の頭上で言った。

西条の右手のホワイトが何か灰色のブレスを吐き出した。

「泰良様っ!」

全身に灰色のブレスを浴びながら、トゥーナの声を聴く。

あいつ、大きな声を出せたのか――と思った。

そして――

「何故だ、何故石にならない!」

西条が初めて顔を歪める。

「逃げ出した研究員から、ホワイトが石化ブレスを使うって聞いていたからな。対策くらいするだろ」

「対石化装備だと、そんなもの直ぐに用意できるものではないぞ」

あぁ、確かに対石化装備は用意できなかったさ。

だが、俺たちには八尺瓊勾玉という全ての状態異常を無力化する装飾品がある。俺がわざわざ影獣化を解除したのも、この勾玉の効果を有効化するためだ。影獣化していると全ての装備品の効果が無効になるからな。

普段はミルクが使っているが、今日は俺が使わせてもらっている。

肩代わりスキルと併用して仲間の状態異常も全て俺が肩代わりすることで、仲間全員への状態異常攻撃の全てを無効化できるからな。

「だったらこれはどうだ!」

と今度は別の色のブレスを吐き出すが今度は避ける。

氷や炎のような攻撃とは思えないがが、わざわざ食らってやる義理はない。

俺が絶対的な強者であれば、わざと攻撃を食らって、「ん? 何かしたか?」のような演出をしてもいいのだが、今の俺はそうではない。

こっちが石化以外の状態異常の対策を済ませていることをわざわざ伝える必要はない。

「解放: 火薬精製(クリエイトガンパウダー) 、解放: 火薬精製(クリエイトガンパウダー) 、解放: 点火(イグニション) 」

「解放: 雷竜巻(サンダートルネード) 」

さっきまで月見里研究所の研究員の介抱をしてくれていたミルクとアヤメが戦いに加わる。

ミルクの炸裂弾が爆炎を上げ、さらにアヤメの雷竜巻が西条を呑み込む。

だが――

西条はまだそこに立っている。

体力は削れているかもしれないが、致命傷には至っていない。

と、西条のホワイトが細剣の形に変化した。

俺に斬りかかって来る。

「剣技: 白龍閃(はくりゅうせん) 」

高速の刺突が俺の左肩に刺さる。

咄嗟に致命傷は避けたが、躱しきれなかった。

それに、なんて威力だ。

防刃のはずの火鼠の外套を貫通するなんて。

さらに、剣の先から紫色の煙が噴き出した。

俺は布都斯魂剣で西条の腹を切り裂こうとするが、即座に後退して避けられる。

「体内に直接猛毒のブレスを流し込んでも効果がありませんか……」

はっ!? 体内に直接猛毒のブレスって、なんて技を使うんだ。

八尺瓊勾玉が無かったら死んでたぞ。

「泰良っ!」

ホワイトキーパーのメンバーを止めている姫が叫ぶ。

「ああ、行くぞ、みんなっ!」

琴瑟相和を使った。

反撃開始だ。