軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

87話 サナの背中

イロハの妹さん――カガリの捜索と救助をするために、ダンジョンに潜っていたが、無事に救出することができた。

モグラと冒険者に犠牲者が出てしまったが、生存者がいたことは、まずはめでたい。

今回は迷宮教団絡みではなかったが、最後に襲撃を受けてしまった。

もう、相手がどんなやつか知っているから、手加減をする必要もなく先制攻撃で仕留めた。

――と、思ったのだが、すんでのところで逃げられたようだ。

逃げられはしたが、確実にカオルコとサナの魔法が命中していた。

死んでないにしても、かなりの大ダメージだろう。

しばらくは行動できないはず。

俺たちは、一休みするために6層の安全地帯まで戻ってきた。

なにしろ、夕方にイロハがやって来て、そこからすぐにダンジョンに潜って完徹してしまったからな。

カオルコの時計によれば、今の地上は朝ごろらしい。

高レベル冒険者だけなら、強行軍も可能だろうが、今回は救助者たちがいる。

彼らのレベルは高くない。

俺たちと同じ速度での帰還は無理だろう。

自転車を出したとしても、人数的に乗り切れないし――となると、徒歩での移動になる。

「とりあえず、飯にしよう」

魔導師たちに魔法の明かりを出してもらう。

仮眠か、本格的なキャンプか解らんが、飯を食ってから考えよう。

「腹減った! ダーリン、飯はなんだい?」

イロハは、さっきパンを4つも食ってたのに。

「う~ん、焼きそばはどうだ?」

「いいねぇ!」

ダンジョン用の食事は基本大量に作るから、あまり凝ったものは出せない。

簡単に大量に作れるってのが、基本だ。

学校の給食のメニューが参考になるかもしれない。

焼きそば、肉野菜炒め、カレー、シチュー、豚汁――などなど。

ソフト麺なら、ラーメンやそば、うどんも可能だろう。

あとは、スーパーで買った大量の弁当があるが、毎回あれだとすぐに飽きるからな。

「あとは、おにぎりは好きなだけ食ってくれ」

アイテムBOXから、デカい鍋に入った山盛りのおにぎりを出した。

「「やったぁ!」」

イロハとカガリが同時におにぎりに飛びついた。

ここらへんは姉妹なのか、やはりよく似ている。

「う、うまい!」「ダンジョンの中でこんな飯が食えるなんて!」

助かった男たちも、食事を食べている。

食料が尽きて腹ペコ状態だったので、心配していたのだが、大丈夫のようだ。

「ギャ!」「ギャギャ!」

ハーピーたちもやって来たので、飯をやる。

こいつら、なんでも食うからな。

甘いものも好きなので、甘いという味覚もあるのだろう。

「さて、俺も食うか」

俺の両隣は、姫とカオルコが押さえている。

サナも俺の隣を狙っていたようだが、姫はともかく、カオルコも譲るつもりはないらしい。

「でも、まぁ――妹さんが無事でよかったな」

「皆に心配かけやがって……」

「ごめんよ、ねーちゃん」

「だいたい、準備不足だろ。6層以降の階層に潜るってのに、冒険者が2人じゃ」

「腕自慢ってことだったんで、信用したんだ」

カガリの言葉に、姫が割って入った。

「その腕自慢とやらで、本当に腕が立つやつに会ったことがない」

「ははは! そうだよなぁ」

「だが、身を挺して、仲間を逃したのは称賛に値する」

姫が焼きそばを持ってつぶやいた。

「帰ったら、雇ったやつらのギルドにも挨拶に行けよ」

「解ってるよ、ねーちゃん……」

ちょっと重い感じになってしまったので、話題を変えよう。

「今回、サナを連れてきてよかったな」

「私も、ダイスケさんと一緒に来られてよかったです」

「それにしてもよぉ、よく圧縮光弾を一発で習得できたな。なにかコツがあったのかい?」

「う~ん、もしかして――と、思ったことが上手くいったって感じですかね」

「そうなんだ。どんな感じなんだろうか」

「ダイスケさん、タオルあります?」

「ああ」

俺はアイテムBOXからタオルを出すと、サナに手渡した。

「最初は、ぎゅっと潰したりするのかな? と思ったんですけど」

彼女がタオルを丸くして、おにぎりのように潰した。

「それだと、小さくはならないように思える」

「はい――だから、こうだと思ったんです」

サナがタオルを雑巾を絞るように、捻った。

「おお! なるほど!」

「ああ、そういうことだったんですねぇ」

それを見ていたコエダも、サナの言いたいことが解ったようだ。

「はぁ……」

カオルコが、大きなため息をついた。

「どうした?」

「私は――幽鬼さんのことからヒントを得て3日ぐらい真剣に考えて試して、やっと見つけたのに……」

「3日で会得できるカオルコも凄いんだが……サナ、やはり天才か」

「ふん……たまたま、上手くいっただけだろう」

どうしても姫は、サナのことを認めたくないようだ。

「姫はそう言うけど、彼女はひたひたと君の背中に迫ってきているぞ」

「ありえんな!」

「サナ、ダーリンの所が駄目なら、ウチに来な?」

天才肌の魔導師が、イロハからスカウトを受けている。

「ありがとうございます。でも、自分のギルドもありますし……」

「ギルドはキララがリーダーになると思ってたが、どうみてもサナがリーダーだなぁ。接近戦もできるし……」

「魔導師で接近戦ができるのはすごいですよぉ!」

コエダも、サナの戦いかたに驚いていたしな。

「い、いえ、ダイスケさんがいてくれたから……」

あくまで、控えめなサナだったが、そこにカガリが割って入った。

「そんなことより、ねぇちゃん! ダンジョンでヤルのは止めてくれよ!」

「し、しょうがねぇだろ?! バフの影響で我慢できなくなっちまったんだから……」

「なんで、ダンジョンでねぇちゃんのアへ声を聞かなきゃ駄目なんだよ!」

「あ、アヘってねぇし……」

「いや、アヘってたね!」

なんちゅう会話をしているんだ。

イロハたちの会話を聞いていたサナが顔を赤くしている。

突然の急展開に、そんな話をしている暇がなかったのだが、今になって色々と思い出して、恥ずかしいのだろう。

そんな顔をされると、こっちも気まずいのだが。

「あ、あの……ダイスケさん」

「なんだい?」

「私は、どうでしたか?」

「さっきも話したけど、魔法のセンスはすごいんじゃない? マジで天才かもしれない」

「そ、そうじゃなくて……私の裸……なんですけど」

彼女の顔が一段と赤くなって、湯気が上がっているのが見えるようだ。

「あ~そっちね。とても綺麗だったよ。おっぱいは大きいし、ははは」

マジで、そういうことを聞かれると、オッサンの俺でも恥ずかしいぞ。

「ぐぬぬ!」「おほん!」

両側から、姫とエンプレスの体当たりを食らう。

「お、お尻はどうでしたか……?」

「丸くてムチムチで最高じゃないか」

「ダーリン!」

姫のペチペチ攻撃がやってくるのだが、隣にカオルコがいるから、逃げられない。

「背中も……」

俺は背中のことを言いそうになって、口を閉じた。

彼女の背中には、黒い模様があったからだ。

あれに言及するべきではないだろう。

「背中? 背中がなんですか?」

「え? え~、いや綺麗だったよ」

「なんですか? なにか隠してます?」

「いやいや、隠すだなんて――君にも色々あるんだろうし」

「なんですか? わかりません! はっきり言ってください!」

え~? ちょっとまってくれ……言ってもいいことなのか?

まぁ、彼女自身はそんなに気にしてないのかもしれないし……。

「背中の模様なんだけど……」

「模様? 模様ってなんですか?」

「え?!」

「え?!」

俺とサナが顔を見合わせる。

なんだか、会話が噛み合っていないような気がする。

ここははっきりと話したほうがいいかもしれない。

「君の背中に黒い模様があるんだけど……俺は気にしていないから」

「え?! 私の背中に模様なんてありませんよ?」

「え?!」

「え?!」

また、サナと顔を見合わせる。

どういうこと?

「多分、姫とイロハも見てるし――なぁ?」

「ああ」

「確かにあったな」

姫もやっぱり、見ていたか。

「あたいは、サナも中々やんちゃなことをやってるなぁ――と思ってたが、ははは!」

「なんですかそれ!? 私、知りませんけど……」

「いや、確かに黒いのが――幾何学模様だから、病気や怪我の痣ではないと思ったけど」

「そうだなぁ、翼が広がるようなデザインだったな。あたいもてっきりさ」

そりゃ、普通はみんなそう思う。

「ええ~?! ダイスケさん!」

「はい」

「もう1回見てください!」

彼女がベルトなどの装備を外すと、背中を向けて黒いドレスを捲った。

「ん~」

やっぱり――彼女の白い背中に翼を広げたような文様がある。

他の女の子たちも集まってきて、見物している。

やっぱり気になっていたのだろう。

「サナ、やっぱりあるよ」

「ほ、本当ですか?!」

彼女の様子だと、マジで自分の背中がこうなっていたとは知らなかったようだ。

「ミオちゃんもなにも言わなかったのかい?」

「いいえ」

「――ということは、サナの背中がこうなったってのは、最近ということなのかな?」

「ええ? そうなんですか?!」

「もしかして、ダンジョンの影響とか?」

「ダーリン、そんな話は聞いたことがないぜ?」

ベテラン冒険者のイロハが聞いたことがないということは、俺が知るはずもないか。

「あの~」

一緒にサナの背中を見ていたコエダが手を挙げた。

「なんだい?」

「これって紋章隊の紋章みたいなものなんじゃ……」

「紋章隊?」

ダンジョンで魔法を使えるようになった魔導師は、ダンジョンの近くでしか魔法を使えない。

ダンジョンから離れるほど、力が減衰するのだが、紋章隊という連中にはそれがないという。

ネットの噂によると、ダンジョンの力とまったく別な力で魔法が使えるようになった連中のようだ。

「紋章隊の話は聞くけど、彼らの身体にも、こういう模様があるのかい?」

「噂ですけど――誰も見たことがないみたいですし」

組織は秘匿されていて、まったく情報公開されていない。

たまに一般人が隠し撮りした画像がネットに上がるくらい。

その画像に映る紋章隊は――黒いスーツに黒いネクタイをした、男女の混成チームらしい。

「それじゃ――もしかして、サナもダンジョンの外で魔法が使えるようになったとか?」

「ええ?! 本当ですか?!」

「今度、試してみようぜ」

「はい!」

「ぐぬぬ……」

なぜか、姫がサナを睨んでいる。

「サクラコ様、アドバンテージがなくなりつつありますねぇ」

「う、うるさい! お前はどっちの味方なんだ!」

カオルコの言葉に姫が声を荒らげた。

「私は、ダイスケさんの味方です」

「ぐぬぬ……」

自分の新しい可能性にはしゃいでいたサナだが、突然しょんぼりとなって、下を向いている。

「どうした?」

「……ごめんなさい……」

「なんだ? なんかあったっけ?」

「……ダイスケさんがレンちゃんを探しにいって、桜姫さんと帰ってきて――なんて冷たい人だろうって……」

「それに関しては、弁解しようがない。実際にそうだし」

「でも、実際に自分で深層に潜るようになって――ダイスケさんが無理なら、他のどんな人でも無理なんだろうと思いました」

「言い訳になってしまうが、迷宮教団の連中はダンジョン内を自在に移動できて、本拠地がどこか解らんし――現状、冒険者は7層を突破できずにいる」

「……はい」

「俺も、姫たちと深層から帰ってくる途中で諦めてしまったんだ」

「……」

「冷たいと言われるのも解るよ。世界が静止したときに、ウチの集落でも人が死にまくったんだ。それで、人が死ぬことに慣れてしまっているんだろうと思う」

俺たちの会話に、イロハが入ってきた。

「人が死んだのは、東京でも同じだよ。あたいらの親もそうだったし」

「うん……」

カガリが、お姉さんの言葉に頷いた。

「ジタバタしても駄目なものは、駄目だから――諦めるのが、早くなっているのもあると思う」

それを冷たいと言われるのも仕方ない。

「……違うんです」

「ん? なにが違うんだ?」

「ダイスケさんのことを冷たいなんて言っておいて、結局私もダンジョンに潜るのを楽しんでました……それに、ダイスケさんと、あんなことだって……ううう」

彼女が泣き出してしまった。

自分で生きていて、楽しいことをしているということに、良心の呵責があるのだろう。

いや、それが普通で、俺がおかしくて、冷たい人間になってしまったのかもしれない。

俺は立ち上がると、サナの所にいき、彼女を抱きしめた。

残念ながら――装備越しでは、彼女の温かさや柔らかさはよく解らない。

「サナはそう言うがよぉ――冒険者をやってれば、仲間が死んだりいなくなるなんて、日常茶飯事だぜ?」

「イロハの言うとおりだ。泣いて冒険者を続けるより、生き残った連中で明るく楽しくやろうじゃないか」

「さすがダーリン! いいこと言うねぇ。そうじゃなきゃ、冒険者なんてやってられないぜ?」

そこら辺の切り替えができないと、冒険者を続けられないのだろう。

「今回だって、モグラが2人、冒険者も2人、犠牲者が出てるしな」

「ふう……悲しいけど、これがダンジョンだし……おかしい、狂っていると言われれば、返す言葉もないね」

カガリも、犠牲者が出たことに落ち込んでいる様子はない。

もちろん、今回の計画や準備不足によってピンチになったことに対する反省はあるのだろうが。

「どうする? お前は冒険者を辞めるのか?」

姫の厳しい視線と言葉が、サナに向けられると、彼女は涙を拭って答えた。

「いいえ――辞めません」

「そうか」

姫は食事をしながら、笑っている。

サナのことを少しは認めてくれたのだろうか?

「レンのことは、また再会できると信じよう」

「はい」

もちろん、こんな言葉は気休めにしかならない。

踊る暗闇の連中の末路を見てしまっては――正直、もう無理だと思っている。

「とりあえずは――上に帰ったら、サナの魔法が特区外でも使えるのか、試してみようぜ」

「はい」

「面白そうだな! あたいも行っていいかい?」

「女性陣は、センセの所に行く予定は大丈夫かい?」

「おっと、それがあったか……まぁ、大丈夫じゃねぇか?」

魔物の研究をしているセンセの勧めで、卵子の検査と冷凍保存をするという話だ。

「サナの背中の件は秘密にしていたほうがいいのかもな。紋章とやらが本物だとすると、紋章隊という連中からスカウトが来ちゃうかもしれん」

「ありえますね」

俺の言葉に、話を聞いていたカオルコが頷いた。

「そのまま、紋章隊に入ればいいんだ。今どき公務員になれるなんて、滅多にないチャンスだぞ? 生活も安定するだろうし」

姫がちょっと意地悪そうな言葉をサナに投げた。

「そういう話が来ても、断ります」

「お前には、妹もいるのだろ?」

「私をダイスケさんから遠ざけようとしても無駄です」

「ちっ」

サナの所から、姫の所に戻る。

「舌打ちとかよくないよ」

「ふん!」

彼女が乱暴に身体を預けてきた。

「いつものヤキモチですよ」

「いつものって言うな!」

姫がカオルコの言葉に反応する。

「よしよし、ははは――ああ、でもサナの模様のことは、本物かどうか解らんけど――みんな秘密にな」

「もちろん、あたいたちは大丈夫だけど――おい! お前らも人にしゃべるんじゃねぇぞ?!」

「それとも、ここに置いていくか?!」

イロハ姉妹が、男たちを脅している。

「言わねぇよ!」「口が軽いやつは信用されねぇし……」「そうだよな」

危機的状況だったとはいえ、女を襲ってる時点でアウトだと思うのだが――それはさておき。

ペラペラと人の秘密を話したり悪口を言って回るやつは、他でも同じことをするからな。

結局、誰からも相手にされなくなる。

食事をしたことで、皆に余裕が出てきた。

まだ6層なんで、油断はできないんだけどな。

とりあえず、コーヒーなどを飲んだのだが、俺はあることを思い出した。

「そうだ――イロハがデーモンを仕留めたじゃないか」

「ああ、なんか色々とあやふやだけどさ……」

あまり酷くはなかったが、彼女はバーサーカー状態だったからな。

「なんかドロップアイテムが落ちたみたいだったから、拾っておいたんだが……」

「え?! そうなのかい?! すっかり忘れてた!」

「まぁ、そのまま色々となだれ込んだりしたからなぁ」

「その次は――ダーリンが生存者の声がするって言ったから、みんなそっちに意識がいってしまっていたし」

姫の言うとおりだ。

俺も今の今まで、マジで忘れていた。

そのぐらい、慌ただしかったわけだ。

俺はアイテムBOXに収納していたものを取り出す。

なにか黒い布のようなものだったと思ったのだが……。

「なんじゃこりゃ? 布?」

イロハが黒いものを持ち上げた。

やっぱり布だった。

「それで間違いないと思うよ」

「マント?」

彼女が布を見ていると、なにか黒い紐のようなものが垂れ下がっている。

「なんか紐が出てるぞ……」

「なんじゃこりゃ?」

イロハが、黒いものを持ち上げたのだが……なにか見覚えがあるような形で、紐に三角形の布がついている。

「それってもしかして――」

俺は、姫のビキニアーマーを指した。

「えええ?! ちょっと勘弁してくれよぉ!」

イロハが絶叫した。

それは、ビキニアーマーというよりは、マイクロビキニだったからだ。

「もしかして、姫のビキニアーマーみたいに、超高性能かもしれないぞ?」

「ええ……マジで?」

彼女が持ち上げた布をじ~っと見ている。

「だって、中ボスみたいなデカい敵からドロップしたんだぞ?」

「そのとおりだな。ダーリンの言うとおりだ」

「この桜姫! お前がそんな格好をしているから、あたいを巻き込むつもりだな!?」

「そんなつもりはないが――超高性能なドロップアイテムを使うか、使わないかは、お前の自由だ」

「ううう……」

「俺も装備しているイロハを見てみたいんだが……」

「ちょっと、ダーリン! マジかよ!」

「そういえば、イロハさん。なんでもするって言ってませんでしたっけ?」

カオルコが俺の言葉に追い打ちをかけた。

「そ、その約束を今出すのかよ!」

「あら、もらったカードをいつ切ろうが、こちらの自由だと思いますけど……」

結構カオルコも言うな。

「ううう……」

俺が見たい見たいと言ったら着てくれることになった。

他の子たちも、レアアイテムの能力を知りたいようだしな。

俺がアイテムBOXから出した毛布に隠れて、イロハが着替えている。

「お前らは見るな! 見たらここに置いていく!」

カガリが、男たちを脅している。

「そ、そんなぁ~」

まぁ、男だったら見たいだろうが、見せるわけにはいかん。

その権利は、今回の救出作戦に参加した俺たちだけにある。

カガリはイロハの妹だしな。

男たちは、どこから見ても部外者だ。

諦めるんだな。

「ど、どうだ?」

毛布から、イロハが顔を出した。

流石に恥ずかしいのか、隠しているのだが、布が小さくて色々なものがはみ出して見えそうだ。

これはまさに、男のロマン。

なにがロマンかと聞かれると困るが、まさしく男のロマンにほかならなかった。

「ほう! こいつは素晴らしいかもしれない。眼福、眼福」

「それで、能力的にどうなんだ?」

「そうですよね」

姫とカオルコは、レアアイテムの能力が気になるようなので、俺が代表してちょっと攻撃をしてみることに。

「よっ!」

彼女の腹筋めがけて軽くパンチを上げる。

「んおっ! 全然ダメージ軽減してねぇんだけど……」

「ええ? そうなの?」

それじゃ、魔法の耐性は?

彼女に魔法の明かりに近づいてもらう。

魔法に耐性があれば、明かりに干渉して変化が出ると思う。

「おい、全然変化ないぞ?!」

「ええ? あんな強い魔物からドロップしたアイテムが、ハズレとか?」

俺のつぶやきに姫が反応した。

「今までの経験から、それは考えづらいが……」

「だってよ~、これって露出が高いだけで、まったくいいところがないぜ?」

彼女は隠すのを止めたので、裸同然みたいな感じになっている。

まぁ、彼女の裸はもう見ているのだが、これは素っ裸よりエロい気がする。

「あとは――パワーとかスピードにバフがかかったり?」

「なるほど!」

俺の言葉を聞いたイロハが、パンチを繰り出したり、走り回ったりしている。

なんかシュールだが、見た目にはスピードアップしているようには見えない。

「おい! これスゲーぞ!」

突然、イロハが大声を上げた。

なにがすごいのだろうか?