作品タイトル不明
63話 ゴーレム
それなりの期間をかけ装備も整え、トップギルドが共同で、ダンジョン深層へのアタックを始めた。
ギルドの数は4つ。
それらが抱えるトップランカーを出して、攻略を行う。
トップギルドといえども、深層に潜れるほどのメンバーは少ない。
通常のパーティーならば、アタッカー【攻撃】、タンク【防御】、魔導師【攻撃】、魔導師【回復&補助】という構成になったりするが――。
今回は、その役目をこなす高レベル冒険者が足りない。
そこで、ギルドの垣根を超えて、大パーティーを組むわけだが、補助や回復を行う魔導師は、多少レベルが低くても参加をしている。
■ギルド桜姫――姫【アタッカー】、カオルコ【攻撃&回復】、俺【アタッカー】
■ギルドゴーリキー ――オガ・イロハ【アタッカー、タンク】、女性魔導師【補助】
■ギルド黄金の道――ゴリラ【アタッカー、タンク】、女性魔導師【攻撃&回復】
■ギルドローリング・ストーン――幽鬼【攻撃&回復】、女性魔導師【攻撃】、女性魔導師【回復】、女性魔導師【回復、補助】、女性魔導師【補助】
やはり、一番強力なパーティーは、俺の所だな。
頭2つぐらい抜けている感じ。
アイテムBOXもあるし。
幽鬼の所は、魔導師中心のギルドだけあって、魔導師だらけ。
それでも、高レベルなのは幽鬼と、もう1人だけで、あとの3人はレベルがちょっと低く、サポート役。
戦闘では後方待機だろう。
今回のアタックの情報を隠したりしていなかったので、ダンジョンのエントランスホールなどで冒険者たちに囲まれてしまった。
俺たちはいち早く人混みを脱出して、他の面々とはここ――4層の入口で待ち合わせることにした。
走ってきたので腹が減る。
軽く腹ごしらえをしたのだが、暇なのか姫が狩りに出かけてしまった。
暗闇の中、カオルコと一緒に他の冒険者と姫を待つ。
俺たちは、暗くても目が見えるから平気だが、そうじゃない冒険者は結構たいへんだな。
明かりの魔法がなければ、ケミカルライトのわずかな明かりを頼りになんでもしないといけない。
今回高性能なカメラを購入したが、果たして写りはどうだろうか?
一旦外に出ないと、映像が確認できないのが、もどかしい。
「姫と2人で潜っていたときにも、あんな調子だったのかい?」
とりあえず、彼女が突っ走って、カオルコがあとからついていく――そんな展開だったらしい。
「ええ、そうですねぇ」
カオルコと2人で待っていると、上から鳴き声が聞こえてきた。
「ギャギャッ!」「ギャーッ!」
多分、また、あいつらか。
「ハーピーだな」
「あの子たちでしょうか?」
「多分な、よく俺のいる場所が解るな」
「おそらく、においだと思いますが……」
ハーピーの鼻を見ても、人間のような普通の鼻だ。
嗅覚細胞が特段多いようにも見えない。
魔物にしかない、マッピング機能みたいなものがあるとは考えられないだろうか?
ゲームみたいなダンジョンなら、ゲームみたいな機能があってもおかしくない。
もしかしたら、俺たちにもそういう機能が使えるようになったりして――。
7層にあった彼らの巣に冒険者が行ったから、ちょっと心配だったんだよな。
大丈夫だったわけだ。
それに、今回足場を使って道を作ってしまうから、完全に彼らの住処を奪ってしまうことになるな。
ちょっと可哀想だが、いずれは攻略のために避けられない。
暗闇の中に白い影が現れ――バサバサと羽ばたく音が近くに降りた。
ひょこひょこと歩いて、ハーピーたちがやって来た。
「やっぱり、お前らか」
いつものハーピーと、あとから仲良くなったボサボサヘアーの巨乳のハーピー。
「ギャギャ」「ギャー」
「はいはい」
俺はアイテムBOXから食い物を出した。
「「ハグハグ」」
彼女たちにパンやお菓子をやると、脚を使ってうまそうに食べている。
こいつらのお陰で色々と助かったから、大切に扱ってやらんと。
「さて、こいつらに会うと解っていたから、いいものを用意してやったぞ」
俺はアイテムBOXから、あるものを取り出した――それは、理容用のハサミ。
こいつを使うと、ある程度不揃いに髪を切ることができる。
普通のハサミで髪を切ると、線を引いたように一直線になってしまうが、それを防げるわけ。
「ギャ」
ハーピーを抱いて、髪を櫛で持ち上げると、ジョキジョキ――暗いダンジョンの地面に、塊になった髪の毛が落ちる。
とくにボサボサヘアーのほうは、髪が伸び放題になっていて、見にくいだろう。
ちょっと多めに切って、スッキリとさせた。
「こんなもんか」
「それにしても、随分と大人しく、ダイスケさんのなすがままですね」
ハーピーたちの格好に、カオルコが笑っている。
2匹に増えたんで、そろそろ名前がないと不便だな。
最初に知り合ったハーピーは、ギャギャとうるさいから「ギギ」、髪の黒いハーピーは、「チチ」にした。
まぁ、単に胸がデカいからだが。
デカい胸は飛ぶときに邪魔にならないだろうか。
「こいつらがおとなしいのは、俺が害を加える存在じゃないと解っているんだろう」
綺麗になったハーピーたちを抱っこしてしばらく待っていると、姫が戻ってきた。
「ダーリン! オークを仕留めたぞ! アイテムBOXに入れておいてくれ」
「わかった」
姫がオークを担いで血まみれで戻ってきた。
自分で 洗浄(クリーン) の魔法が使えるようになったからといって、無茶しているな。
ダンジョンで自給自足するつもりか。
いや、オークは美味いからいいけどさ。
「! また、お前らか!」
俺に抱っこされているハーピーたちに気がついて、姫が声を上げた。
「ギャギャ!」「ギャーッ!」
「魔物は魔物らしく、冒険者を襲っていろ!」
「まぁ、それが普通なんだろうけど……」
彼女たちが騒いでいると、キャンプのほうからデカい声が聞こえてきた。
あれはイロハだな。
やっと到着したか。
ギギを抱いて、チチを頭の上に載せると、冒険者たちを出迎えた。
「イロハ! 遅かったな」
「ダーリン――って、なんだそりゃ!」
彼女が驚いているのだが、俺が抱いているハーピーのことだろう。
それにしても、やっぱりダーリン呼びのままなのか。
「なんだそりゃって、ハーピーだよ」
「つ、捕まえたのかい?」
「違う違う、こいつらは俺となかよしなんだよ」
「はぁぁ?!」
彼女が呆れているのだが、本当だから仕方ない。
「生け捕りなら、そいつを売れば金になるぜ?」
やってきたゴリラが物騒なことを言いだした。
「なかよしだって言ってるだろ? こんなに可愛いのに売るはずがない」
俺はハーピーをなでてやると、気持ち良さそうに目を細めている。
「魔物が懐くなんて信じられねぇ」
「まぁ、こいつら特殊なのかもしれないが――俺と姫たちが深層から戻ってこられたのも、こいつらのお陰なんだぞ」
「はぁ、どういうことだい?」
イロハにハーピーたちのことを説明してやる。
「彼女たちに、上の階層への道のりを案内してもらったんだよ」
「そうなのかい?」
「ああ――100mの高さにある、7層の入口もハーピーに教えてもらった」
そこに幽鬼もやって来た。
「空を飛べるハーピーなら、どんな場所でも出入りできるでしょうから」
「まさか、あんな場所に入口があるとは思ってなかったからな。そこはハーピーたちの巣になっていたんだが、今回の攻略で荒らされてしまうのは、ちょっと可哀想だが」
「所詮魔物だろ!」
ゴリラの言葉にも一理ある。
「魔物と仲良くしろとは言わんが、この2匹は勘弁してくれ。俺たちの命の恩人でもあるしな」
「「「……」」」
冒険者たちからは、即答は返ってこなかったが、仕方ない。
まぁ、危ないようなら、近づかないようにハーピーたちに言うだけだ。
なんとなく、言葉は通じているようなので、解ってくれるだろう。
近くにいると、冒険者たちに襲われそうなので、ちょっと離れた場所でハーピーたちを離した。
「しばらく近づくんじゃないぞ~」
「ギャ」「ギャー」
まぁ、俺の近くに見知らぬ冒険者がたくさんいるんだ。
彼女たちも警戒はするだろう。
さて、メンバーが集まったので、アタックを開始する。
俺たちだけなら、可能な限り突っ切ってしまえばいいのだが、今回はレベルが低いサポート役もいる。
あまり無茶はできない。
大所帯だと、こういうのが大変だよな。
総リーダーは、当然姫。
レベルが一番高いのは俺だろうが、あいにくオッサンにはこれだけの人数を束ねるだけのカリスマがない。
悲しいけど、これって現実なのよね。
俺もそんな責任は持ちたくないし。
人を引っ張っていくことができる人に任せるのが一番。
早速、オークの群れとエンカウントしたのだが、もちろん瞬殺。
俺の出る出番もない。
普通なら、深層へのアタックがメインなので、途中の雑魚は放置――みたいなことになるのだが、今回は俺がいる。
全部アイテムBOXに収納する。
それにオークは結構いい値段で売れるしな。
もったいない。
魔物には、仕留めたギルドのタグをつけてから、収納する。
これで、どこのギルドが仕留めたのか、一発で解るってわけだ。
共同で仕留めた場合は、その割合もタグにメモる。
「 洗浄(クリーン) !」
オークとの戦闘で汚れてしまった姫が、自分の魔法を使った。
「げ! 桜姫が魔法を!? いつの間に!?」
姫の魔法に、イロハが驚いている。
「ふふふ、驚いたか」
「そんなにレベルが上がったあとでも、魔法を覚えることがあるのか?」
「みたいだな。私も驚いた」
「あ~あ、あたいも、洗浄かライトの魔法ぐらい覚えたいぜ」
「マジかよ……」
姫の魔法に、イロハだけではなく、ゴリラも驚いている。
最初に魔導師以外のタイプになってしまうと、魔法は覚えないというのが普通だからな。
「さすが、高レベルの集団だな。この階層じゃ準備運動にもならないか」
「わはは、まぁそのとおりだな!」
イロハも余裕といった感じだが、同行している低レベル冒険者たちがちょっと不安そうだ。
「大丈夫だよ。敵が強くなったら、俺が遮蔽物を出してあげるから」
「しゃ、遮蔽物ですか?」
「ああ――」
俺は、アイテムBOXから岩を取り出した。
「わっ!」
若い魔導師たちが、突然現れた岩に驚いた。
「こういう岩を出すから、この陰に隠れていればいい。敵に目視されなければ、ターゲットにもなりにくいと思うし」
障害物を透過して認識してくるとか、そういうことはないだろう。
「こ、これなら、安心ですね」
「多分な――それでも周囲に警戒して、回り込まれないようにしてな」
「「「はい」」」
幽鬼のところの魔導師たちは、いい子ばっかりみたいだな。
「あの~」
その魔導師の中の1人が手を挙げた。
「なんだい?」
「アイテムBOXのオジサンって、強いんですか?」
「ははは、まぁ、そこそこだと思うがなぁ……」
そこに、イロハが笑いながらやってきた。
「バーカ! あたいたちが、束になってもダーリンには敵わないと思うぞ?」
「え?! 本当ですか?」
「ああ」
「ええ?」「でも、ダーリンって?」「ねぇ」
女の子たちが顔を見合わせている。
「なぜか、オガさんも俺のことをダーリンって呼ぶんだよ」
「だって、ダーリンじゃねぇか!」
「まて! 私のダーリンだぞ!」
いつものように、姫もやって来た。
「まてまて」
またにらみ合いになりそうなので、止める。
「「「ひそひそ……」」」「三角関係……」「オッサンの取り合い……」
女の子たちが集まって、ひそひそ話をしている。
「違うから!」
「「「ひそひそ……」」」「オガさんのこと、遊びなんだ……」「ひどい……」
「まてまて!」
女の子たちから、白い目で見られてしまった。
まぁ、今回のアタックが終わったら、絡むことはないだろうけど。
「……」
皆でワイワイしているのを、面白くなさそうな顔をしている男がいる。
ゴリラである。
合同パーティは、4層を軽く突破して5層に突入した。
ここからはもう、まともなキャンプもないし、俺のアイテムBOXに入っている物資だけが頼りになる。
「5層までやって来たのに、手ぶらというのは、ありがたいですねぇ」
魔導師の幽鬼がボソリとつぶやいた。
「まったくだな!」
幽鬼の言葉に、イロハが同調する。
「姫、今日はどこまで進む予定なんだ?」
彼女に質問してみた。
「6層の入口までだろう。その先は、さすがに魔物も強力になる」
「わかった」
ここ5層でも、レベル30相当ないと、キツイと思われる。
サポートでついてきた魔導師たちは20後半らしい。
本来なら、ここらへんがギリギリなのだろうが、俺たちは、さらに先に進む。
レベルが低い子たちに危険が及ばないように、考えてやらんと。
姫とカオルコもローブを脱いだ。
ここら辺りからは、彼女たちも本気ということだ。
「エンプレス、そいつは新装備かい?!」
イロハが、カオルコの乳暖簾装備を凝視している。
「ええ」
「そんな格好でも着るってことは、すごい装備なんだろうね?」
「はい」
「ははは、男どもには、目の毒だろうけどさ!」
イロハが、幽鬼のほうを見たのだが、彼が目を逸らす。
寡黙で言葉が少ないが――まぁ、彼も男だしなぁ。
今回のアタックで、男は俺を含めて3人だけ。
確かに、冒険者という仕事は、男女の区別はないが、女性のほうが向いているのかもしれないな。
魔導師も、女性のほうが多いしな。
なにか理由があるのだろうか?
そういえば、迷宮教団のあいつも女だったしな。
「ギャギャッ!」「ギャ!」
上でハーピーが騒いでいる。
やつらが、ついてきているらしい。
「敵っぽいぞ!」
「マジか?!」
「どうして解る?!」
イロハは信じているようだが、ゴリラは疑っているようだ。
「……」
俺は黙って上を指した。
「あんな魔物の言うことを信用しているのかよ」
「さっき言っただろ? 俺たちが深層から帰還できたのも、あのハーピーたちのお陰だって」
「……ふん」
総リーダーの姫は、ハーピーのことは当然知っているから、剣を構えて辺りを警戒している。
「なんだ?」
なにか地鳴りのような音が聞こえるような……。
俺だけではない、他の連中も感じたようだが。
「これは――ゴーレムです!」
幽鬼が叫んだ。
彼は、エンカウントする魔物について、心当たりがあるらしい。
「ゴーレムか!」
ゴーレムってのは、岩でできたロボットみたいなやつだろう。
魔法で動く、魔法生物とか言われるやつだ。
俺は初めてエンカウントするな。
ゲームなどでは、主によって作られる人工生物みたいな扱いのことが多いが。
皆で武器を構えて周囲を警戒していると、突然地面が盛り上がった。
そいつが、みるみる人型に変わる。
俺は、アイテムBOXからカメラを出して撮影を始めた。
今回から、いいカメラを使うのだが、写りはどうだろうか?
「ゴゴゴゴ」
目の前に立つのは、まるで大地そのものが形をとって立ち上がったかのような岩でできた人形。
全身が土や石で構成され、無数の小さな岩片や泥が重なり合っている。
表面にはひび割れが走り、その隙間から身体を作る際に巻き込まれたものが顔を出す。
巨体はゆっくりと動くたびに、独特の低音を響かせた。
その音は、何かの駆動音のようでもあり、時には低くうなりをあげる獣の鳴き声のようにも聞こえる。
ゴーレムが動くたびに石と石が擦れ合い、土が圧縮されることで生じる自然のメカニズムのようだ。
魔物の目とおぼしき部分には、淡く光る緑色の輝きが宿っている。
その瞳がこちらをじっと見つめていると、無言の圧力が俺たちを襲う。
こちらが構えていると、その数がドンドン増える。
「 光よ!(ライト) 」「 光よ!(ライト) 」
魔導師たちから、明かりがもたらされた。
「ひふみ~なん体だ? 10か?」
普段より多い数の、巨体が魔法の光に照らし出される。
「10体のようです!」
俺の疑問に幽鬼から返答が返ってきた。
「こちらの数が多いから、魔物の数も増えているのだろうか?」
「あたいにも解らんが、そんな感じに思えるな!」
ベテランのイロハにも初めての会敵らしい。
「岩の人形に弱点ってあるのか? 切っても叩いても効きそうにないが……」
「魔法もあまり効きません」「壊しても復活するからな」
幽鬼とイロハの声が重なる。
「それじゃどうやって……?」
「胸のところに魔石があるから、そいつを壊せばいい」
幽鬼の言うとおり、胸のところに直径20cmほどの魔石が光っている。
売れば結構高いと思うのだが、壊すしかないのだろうか?
「もしかして魔石を壊すと魔石が回収できないし、肉もないし素材もないんじゃ……」
「だから、最悪の敵だよ!」
筋肉ムキムキの女戦士が、吐き捨てた。
「それじゃ――やっぱり飛び道具か――」
俺はアイテムBOXから、大きめの石と投石機を取り出した。
そいつをセットすると、ぐるぐると回す。
「あ、あの! 筋力強化(フィジカルアップ) の魔法を……」
補助魔法を使う女の子の魔導師から声がかかった。
「俺は要らないから、他のやつに取っておいてくれ」
「は、はい」
俺が投石機を回している間にも、ゴーレムは攻撃を開始する。
質量の暴力による攻撃なので、当たるとヤベーな。
まぁ、赤い某氏の言うように、当たらなければどうということはないが。
魔物の攻撃を皆が飛び退いて躱したところで、俺の攻撃だ。
「おらぁぁぁぁ!」
暗闇の中に、石が飛ぶ軌跡が白く浮かぶと、俺はそれに沿うように手を離す。
猛スピードの石が敵に向かって一直線に飛ぶと、ゴーレムの急所――胸の魔石に命中した。
閃光とともに、魔石が弾け飛ぶ。
放たれた光が、ダンジョンの形を鮮明に映し出した。
曲がりくねった通路、ゴツい岩肌、魔物の中に迷い込んだかと思うぐらいに不気味だ。
ここは人智が及ばぬダンジョンの中――という現実に引き戻される。
「ゴゴゴ!」
魔石を砕かれたゴーレムが、その場に崩れ落ちた。
「やっぱり、ダーリンやるじゃねぇか!」
「す、すごい!」「本当に高レベル冒険者なんですね!」
やっぱり、女の子魔導師たちは、俺のことを疑っていたようだ。
まぁ、自分でもインチキだと思ってるから、仕方ないが。
オジサンは、ちょっと悲しいが。
「ダーリンに続けぇ!」
姫の号令で一斉に攻撃が始まった。
ゴーレムには攻撃モーションだけではなく、防御も設定されているらしい。
魔石への攻撃を感知すると、防御モーションが入る。
デカい手で魔石を隠したり、胴体の部分が盛り上がって弱点をカバーしたりと――色々なパターンがあるようだ。
俺がやったように、魔物が認識できる範囲外からの遠距離攻撃が一番効果的と思われた。
それならばと――。
「光弾よ! 我が敵を撃て!(マジックミサイル) 」
相手は岩なので、ファイヤーボールやら電撃などは効果的ではない。
ここは、魔法矢の一択なのだろうが――対魔法の属性があるのか、攻撃が弾かれている。
「くそ! これだから、ゴーレムは嫌なんだよ」
ゴリラが不満を漏らしている。
普段なら逃げるという手もあるのだが、今回はレベルが低い魔導師なども同行している。
数人なら担いで逃げる選択肢もあるだろうが、数が多ければそれも難しい。
皆が手こずっていると、地面が盛り上がり、新しいゴーレムが出現した。
ゴーレムはなかまをよんだ!
「マジか?!」
なかなか面倒な状況かと思うが――これって、考えようによっては、面白いのではなかろうか?
適当に魔物の相手をするだけで、連続で倒し続けることができるのでは?
あの魔石をゲットできれば、魔石の山ができるような気がする。
「だぁぁぁぁ!」
俺がいい金儲けを思いついてニヤニヤしていたのだが、攻撃が上手くいかない姫が切れた。
魔物の脚に取り付くと、それを持ち上げてひっくり返したのだ。
巨体が地面に叩きつけられると、足元に震動が伝わってくる。
「おおっ!」「スゲー!」
それを見ていた冒険者たちから、歓声が上がった。
「だりゃぁぁぁ!」
ジャンプした姫が、ガードする敵の腕ごと魔石を叩き切った。
閃光が辺りに走る。
「ああ!」
俺は姫の攻撃と、その光を見て、いいことを思いついた。
こいつは金儲けができるかもしれない。