軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

126話 あなたは神を信じますか?

7層のアタックから帰ってきた俺たちは、祝勝パーティ。

カオルコの頑張りにより、7層の危険性について、ニュースサイトやトップギルドへの情報の提示も迅速に行われた。

さすが、できる女性だ。

次の日には、冒険者の間でも7層の危険性が話題になっており、十分に周知されたはず。

俺も祝勝会のあとは姫とも遊ばず、撮ってきたデータの整理。

すぐに、動画製作の外注――クアドリフォリオさんにデータを渡した。

動画編集作業する彼女は、7層の映像を真っ先に観られる立場にあるわけだ。

それを知っているから、すぐにデータを取りにきた。

かなり興奮気味だったが、ミスとかしないだろうな。

データを渡したあと、俺は言い忘れたことがあり、彼女にメッセージを入れた。

「動画の中、俺以外のオッサンが映っているけど、全部カットしてください。それから、黒いウネウネが映っている所も全部カットで」

テツオにも、肖像権があるからな。

彼は冒険者でもないし。

『今、拝見してます! すごいですね! この迷宮が7層ですか!』

「そうですよ」

『丹羽さんが言った男性が、壁を切り開いているように見えるのですが……』

「そこもカットで。いきなり開いている所からスタートでいいでしょ」

『承知いたしました……あ、あの……なんか黒いウネウネが……』

「さっき言いましたが、そこら辺もカットで」

『承知いたしました……すごい! すごすぎる!』

文章からも、興奮しているのが解る。

あと、サナが出ている所もカットしてもらう。

イロハは大丈夫だ。

彼女の編集は急ピッチで進み、夜には全部の動画が完成した。

ネットでもらったので、早速チェック。

動画が上がってきたから、姫たちにも回す。

それから、イロハにも送ったほうがいいだろう。

俺もチェックしてみたが、テツオの姿は――大丈夫のようだな。

しばらくして――姫たちに確認を取る。

「問題ないかな?」

「大丈夫だ」「問題ありません」

カオルコの乳暖簾装備も知れ渡ってしまっているので、すでに諦めているようだ。

イロハからも、問題なしのメッセージがきた。

「よし、公開だな――ポチっとな」

「ダーリン! 終わった!?」

「ああ」

「やった!」

姫が飛んで抱きついてきたので、そのままソファーから転げ落ちて床に寝転がる。

どうも、このまま無制限1本勝負に突入するらしい。

昨日はお預けだったからなぁ。

まぁ、仕方ないか。

――動画をアップした次の日。

姫とカオルコとの勝負で徹夜したあと、 回復薬(ポーション) をエナジードリンク代わりにして目覚まし。

早速、動画のコメント欄を確認した。

「おお、すげーカウンター回ってるなぁ」

たった一晩で100万再生ぐらいの勢いだ。

多分、海外が昼なので、海外からのアクセスも多いのだろう。

コメントも、山のようについている。

『スゲー! って、もう人間じゃ無理じゃね?w』

『普通に死ぬだろ、こんなの……』

『Unbelievable! This is no longer in the realm of humanity』

『プロテクションも効かないらしいからな』

『こんな狭い通路でどうやって避けるんだよ』

『無理ゲーw』

『こりゃ、危ないって言われてもトップギルド&トップランカーしか、どうやっても無理やろw』

『すでに、人外の領域だな』

人外とかえらい言われようだが――まぁ、すでに人間離れしているのは、認める。

それにすっかりと慣れてしまっている自分も周りも恐ろしい。

この動画を観て「スゲー! 俺もトップランカーになりてぇ!」ってやつがいるのかなぁ。

午後から、ダンジョンニュースが取材にやってきた。

対応は、姫とカオルコに任せる。

ホテルの部屋で、冒険者装備をつけて取材を受けていると、すごいシュールなのだが、仕方ない。

ダンジョンニュースの女性は俺も取材したいらしいが、断る。

あまり興味はない。

取材の邪魔をしちゃ悪いと廊下に出ると、テツオとばったり。

「よぉ、ダイスケ」

また、紋章隊の部長だか課長だかの女性と一緒だった。

毎日来てるわけじゃないよな?

俺に見られてバツが悪いのか、恥ずかしそうにしている。

スーツの上からでも胸のデカさが解る姿と、恥ずかしそうなポーズで、エロいの2乗だ。

「仕事の合間に来てるわけじゃないよな?」

「俺がいなかったので、休暇を申請して、まとめ撃ちって感じみたいだぞ」

「その、ナントカイニシエーションとやらで、本当に黒い模様が成長するのか?」

「するする――マジだ。おい、ちょっと見せてやれ」

「は、はい」

彼女が胸の谷間を開くと、見事な幾何学的な黒い模様が現れた。

前に見たときには、こんなに大きくなかったはず。

彼が言うとおり、イニシエーションとやらをすると、聖刻という黒い模様が成長するのか。

「異世界じゃ、レベルアップがないから、こういうのでレベルアップする感じなのか?」

「とりあえず、ウチの神さまはそうだな」

他の神さまがどうやってるのかは不明らしい。

彼が女性の模様をなでると、ムチムチの脚がガクガクし始めた。

気持ちいいらしい。

「それって、男にもやるのか?」

「いや、前に話したかもしれんが、男に触ると聖刻は成長する効果は同じだが激痛になる」

「男は不利だな……」

「思うに、ウチの神さまは女のほうが好きなんじゃなかろうか」

「そうなんだ」

「依り代に使う女も、巨乳ばっかりだし……」

「元々の自分の姿に近いほうが、依り代に向いているとか、そういうのじゃないか?」

ハーピィの色が黒くなったのも、それっぽい。

「なるほど――そういうのはあるかもしれんな……」

俺たちが話している間も、女性が倒れそうだ。

彼の布教の邪魔をするのも悪いが――そうだ、彼女に伝えることがあったのだ。

「あなたは、紋章隊の偉い人なんでしょ?」

「そ、そうだが……」

「その紋章隊の力の源が、イザルという神さま由来のものだと、彼から聞きました?」

「聞いた。それゆえ、私も神の使徒たるテツオさまから力を分けてもらえるのだと」

テツオさまときたか。

まぁ、彼女も信徒なのだから、神の使徒に敬意を払うのは当然だとも言えるが……。

「いままで紋章隊は、ダンジョン以外で魔法を使える人間を確保していたのでしょ?」

「そうだ」

「これから、イザルの信徒が沢山増えるから、そういう必要もなくなりますよ」

「そ、そうなのか?」

彼女がテツオを見たのだが、彼が黙ってうなずく。

女性に不安の表情が見える。

そういう人間が増えれば、紋章隊が解体されるかもしれないと、心配しているのかもしれない。

普通の人間に警察があるように、紋章隊がなくなることはないと思う。

イザルの信徒の中に犯罪者が出る可能性だってあるし。

それを取り締まる公的機関が必要だ。

もしかして、さらにデカい組織に改変されるかもしれない。

相手がイザルの使徒なら、テツオがいれば一発で制圧できるのだろうが、彼は異世界に帰ると言っているしな。

「ダンジョン以外で魔法を使える人間が増えるとは思いますが、紋章隊がなくなることはないと思いますよ」

「そ、そうか……」

「テツオがいなくなれば、強力な聖刻を保持している紋章隊がどうしても必要になりますでしょうし」

「わはは、俺がいなくなる前に、お前がイザルの信徒の中で最強になればいいんだよ」

そうすれば、どんな犯罪者が出ても、抑え込めるってわけだ。

女性もうなずいた。

そのあとは、彼女が指導者として後継を育てればいい。

テツオがいないと、聖刻を簡単に強化できなくはなるがな。

俺はテツオたちと別れ、姫たちの取材が終わるまで、1階のカフェにいることにした。

------◇◇◇------

――俺たちがダンジョンから帰ってからしばらくあと、各ギルドの7層アタックが始まったのだが、苦戦を強いられているようだ。

一つは、やはり補給の問題。

俺のようなアイテムBOXがなければ、大量の物資を運び込んで各階層のキャンプに備蓄する必要がある。

溜め込んだ物資には、警備をする冒険者も必要だろう。

深層にたどり着けるのは一部のトップギルドだけだが、浅層なら沢山の冒険者もいる。

そのまま放置するのは危険だし、ハーピーたちのように安全地帯でも潜り込んで荷物を荒らす魔物もいる。

7層の攻略を始めたパーティも、強力な魔物を攻略できずに、一進一退を繰り返している。

要は、レベルが足りないのだ。

RPGのように、なんとか倒せるモンスターを数多く倒して経験値を稼ぎ、レベルアップをしてからクリアしないといけない。

ステータス画面でも、経験値って数値が表示されていないので、本当にあるのか微妙だが――多分、あるはず。

時間はかかるが、地道に攻略するしかないだろう。

各ギルドが苦戦していると――「桜姫のパーティは本当にクリアしたのか?」なんて嫌味も聞こえてくる。

それは、俺がサイトにアップしている動画を見れば一目瞭然だし、カオルコがマップまで公開しているのだ。

そんなのは、ただのイチャモンにしかすぎない。

いまのところ、犠牲者は出ていない様子だが、無理をせずに安全第一でアタックしてほしいものだ。

そういう職業と言われればそうなのだが、知り合いがいなくなるのは、やはりつらい。

気になるのは、迷宮教団の動向だが――。

俺たちが撃退してから、その姿を見せていない。

もしかして、あのときの傷が致命傷になったのでは……?

人が死んで嬉しいとは言いたくはないのだが、向こうは確実に命を狙ってきている。

実際にやつらの手にかかった冒険者もいるのだから、仕方ない。

よく言われる――殺っていいのは、自分も殺られる覚悟があるやつだけってアレだ。

それと――俺たちがダンジョンで拾った金色の弓の能力が少し判明した。

弦を弾くと、音楽を奏でる……。

「なんだよ! このクソゲー!」

と思ったのだが、この音楽は眠気を誘うようだ。

某PRGのラ◯ホーみたいなもんか?

どうにも使い道がありそうに思えない。

――数日あと、1本の動画が俺のサイトで公開された。

出演しているのは俺ではなくて、サナとカオルコ。

場所はダンジョンではなく、人気ない海沿い。

「「 光よ!(ライト) 」」

2人が、海辺で魔法を使ってみせた。

これは、彼女たちの魔法がダンジョン由来ではなく、イザルという神さま由来のものゆえ、こういうことができるわけだ。

魔法が終わると、カオルコが前に出てきた。

「このように、ダンジョンがなくても魔法を使うことができるようになります」

彼女が、イザルの信徒になれば、ダンジョンがなくても力を与えられるようになる――と、説明をする。

要は、イザル教への勧誘動画なのだが、視聴者が多い俺の動画サイトで公開することにした。

こういう動画を公開することに批判は出るかもしれないが、日本の有益に繋がる情報もある。

「それだけではありません!」

カオルコが一歩カメラに近づいた。

「いまなら! なんと! 信徒になると、魔力を込めた魔石から魔力を取り出す知識をゲットできます」

「ほい」

彼女に魔力を込めた大きな魔石を手渡した。

俺が魔力を込めているので、たっぷりと中身が詰まって、青く光ってる。

カオルコが魔石を握ると、精神を集中する。

彼女の周囲に、静寂を破るように、青白い光の粒子がふわりと浮かび上がった。

ひとつ、またひとつと、その粒は空気中に舞い上がり、やがて無数となって彼女を取り囲む。

「仇なす敵を引き裂け―― 連なる雷光!(チェインライトニング) 」

彼女の前から放たれた青白い雷光が、鋭い音を伴って宙へと奔った。

雷は一本ではなく、無数の分岐を繰り返しながら、蜘蛛の巣のように空間を駆け巡る。

稲妻の連鎖は瞬時にして空気を裂き、周囲に金属の焼けるような匂いを漂わせた。

閃光は目にも止まらぬ速さで走りながら、空中に光の軌跡を残していく。

まぁ、普通ならダンジョンから離れた場所でこんなデカい魔法を使うなんて不可能だ。

彼女が自分のゲットした力を誇るように、もう一度チェインライトニングの魔法を使って見せた。

「どうです?! 魔石から魔力を取り出すことができれば、このように大魔法を連発することも可能になるんですよ! ハァハァ……」

カオルコの顔が赤らみ、興奮しているように見える。

魔石から魔力を取り出せばもっと魔法が撃ててしまうかもしれないが、少々危険な感じがする。

以前に倒れたときのように、魔力酔いの兆候かもしれない。

「ちょっと、ちょっと、そこら辺で止めておいたほうがいいよ」

「は、はい――このように、イザルという神さまの信徒になれば、素晴らしい力をゲットできるチャンスです!」

ここで動画は終了――なんか、怪しい勧誘動画みたいになってしまったな。

コメント欄にも沢山の書き込みがあるが、戸惑いが見られる。

『なにこれ? 宗教の勧誘動画?w』

『フェイク動画?』

『これって、エンプレスだろ?』

『おそらく……』

『でも、ダンジョンから離れても魔法が使えるようになった、という動画を見たことがある』

『魔石に溜めた魔力を取り出せるってマジか? マジなら、すごいぞ?』

『そうそう、余裕があるときに魔力を溜めておけばいいんだからな』

『マジなら、革命だ』

信じてない連中と、マジなら凄い――というのが、半々だ。

外国語のコメントも沢山あるのだが、やはり拒否反応があるらしい。

ほとんどが、否定的な意見だ。

詐欺や、フェイクだと断じているコメントも多数ある。

やっぱり、宗教的には相容れないのかもしれない。

早速というか、魔法中心のトップギルドのリーダーである幽鬼が、ホテルに押しかけてきた。

魔導師の装備じゃなくて、スラックスに柄シャツ――なんか普通の格好だ。

慌ててやって来たに違いない。

「エンプレス! こ、これは本当のことなんですか?!」

「もちろん、本当ですよ」

「魔石から魔力を取り出せるというのも?!」

「はい」

「ううう……」

どうにも、彼も信じがたいようなので、ちょっと皆で出かける。

姫も一緒だが、目的地は特区の一番端っこ。

みんな私服なので、冒険者には見えない。

あまり訪れない場所だが、特区内には交通機関がないので、移動が面倒なのもある。

ここら辺まで来ると、部屋などの物価も安いと知った。

そりゃ、移動が大変だから安いのか。

皆の目的はダンジョンなので、ダンジョン周辺が一番高い。

最初はなにも知らない状態で、高い金を払っていた人たちも、徐々に特区の外れに流れて行く。

部屋も安いから、浅層で魔物をそこそこ狩れば暮らしていけてしまう。

そういう人たちも沢山いるわけだ。

俺のアイテムBOXから自転車を出す。

姫の自転車の後ろにエンプレス、俺の自転車の後ろに幽鬼を乗せた。

人で溢れているので、スピードは出せないが、歩くよりは速い。

俺と姫なら、建物の屋根伝いに移動できるから、もっと速いかもしれない。

まぁ、トラブルの元なので、非常時以外はやらないほうがいいだろう。

自転車を漕いで特区の外れにたどり着いた。

賑やかな中心からはかなり離れており、道沿いの風景は次第に変わっていった。

今や建物はほとんど見当たらず、点在するのは錆びたトタン屋根の背の低い建築物が並ぶ。

どの家も窓を閉ざし、ひっそりとしている。

舗装された道路はところどころひび割れ、草が隙間から顔をのぞかせている。

この場所に住むには、利便性を捨ててでも静けさを選ぶ覚悟がいる。

便利とは程遠い、そんな特区の外れだった。

「ここでいいだろう」

「エンプレスの話では、ここでも魔法が使えるということでしたが?」

「幽鬼はどうだ? ここでは使えないか?」

「おそらくは駄目でしょう」

幽鬼の言葉を聞く前に、カオルコが集中し始めた。

すぐに魔法の青い光が舞い始める。

「 光よ!(ライト) 」

彼女の前に明るい魔法の光が浮かんだ。

「マジですか?!」

おおよそ、彼から出てこないような言葉が出てきたことで、彼の驚きっぷりが解る。

本当に目を見開いて、わなわなと震えている。

「本当に本当だよ」

「それじゃ、魔石から魔力を取り出せるというのも?!」

「それも本当」

「いったい、どうすればいいんですか?!」

幽鬼が俺に掴みかかってきた。

「彼女の動画を観たんだろ?」

「観ました!」

「今なら、イザルという神さまの信徒になれば、教えてもらえるよ」

「それです!」

「え? どれよ?」

「神などという存在が本当にいると?!」

「そりゃ、物理法則がひん曲がるダンジョンなんてものができるぐらいだ。人智の及ばぬ神さまがいてもおかしくないだろ?」

「ダンジョンの存在と、神の存在はイコールではないと思うのですが……」

「まぁ、それはともかく、神さまに祈って、信徒になれば身体に黒い模様が出るから解るよ」

彼は当然半信半疑だ。

「そもそも、なぜ神の存在という話が出てきたんです?」

それについては、カオルコが話してくれた。

「神さまの使徒という方がいまして、その方とお話したからです」

「それだけですか?」

「それに――実際にダンジョン内で神さまに出会いましたし……」

「神に?!」

彼が、うさん臭さと疑念の表情で固まっている。

まぁ、当然といえば当然。

「いや、本当に神さまと話をしたんだよ。なぁ、姫」

「まぁな。あれが本当に神と呼ぶ存在なのかは怪しいものだが、超常の存在であることは間違いなかった」

そういう彼女は、絶対に信徒にはなれないな。

「ううむ……」

さすがに、桜姫の言葉を聞いて、彼も真剣に考え始めた。

「相手は神さまだから、真剣に祈らないと聞いてくれないぞ?」

これだけ、未知の魔法技術を追求しているから、そのぐらいはするかもしれんが。

「ダンジョンの外でも魔法が使えるのも興味ありますが、やはり魔石から魔力を取り出す方法ですよ」

「私もそれが決め手になりました」

カオルコが、微笑んでいる。

「ふぅ……解りました。色々とありがとうございました」

彼が頭を下げた。

本当にイザルの信徒になるかどうかは、彼次第だが――おそらくは、なるだろうなぁ。

それぐらい、魔導師としては抗えない魅力があるだろう。

『お主も 悪(わる) よのぉ』

神さまにもそう言われてしまったが、よく考えるとそうかもしれない。

ちょっと日が傾き始めた特区の中を、俺たちはホテルに戻った。

――カオルコの動画がアップされて、しばらくすると――ダンジョンから離れても魔法が使えるようになったという、ネットの書き込みが増えてきた。

それを動画にして公開する者もいて、最初は半信半疑だった人たちも真剣に考え始めたようだ。

イザルの信徒になれば、冒険者じゃなくても魔法が使えるようになるかもしれない。

やはりそれは魅力的に映ったのだろう。

冒険者たちは――やはり、魔石の利用方法が見つかったというのが大きい。

魔石に蓄えた魔力を使えるようになれば、ダンジョンの攻略に大きなアドバンテージになる。

いざというときに予備の魔力があるというのは大きい。

日本での流れを受けて、海外でもイザルの信徒がで始めた。

さすが神さま――日本だけじゃなくて、この地球規模で力が及ぶんだ。

そういや、ダンジョンもそうだしな。

地球規模で、物理法則がひん曲がってるし。

外国でも現れ始めたイザルの信徒だが、異端として迫害されることもあるらしい。

まぁ、日本ほど他の神さまに寛容じゃないしなぁ……。

ひどいことにならんことを祈る。

徐々に、ダンジョンの外でも魔法が使える人が増えて、政府関係者もざわついている。

それらを取り締まる紋章隊を強化しないと駄目になる可能性が高いからだ。

社会が変わるというのは、そういうことだからな。

そこは公僕として頑張ってもらわないと。

新しい組織のトップは、当然テツオが相手にしていたあの女性――ということになるだろう。

彼女の選択は間違ってなかったわけだな。

――幽鬼と会った次の日。

俺は買い取りのオッサンを訪ねたのだが、やはりデーモンなどは売れるかどうか解らんらしい。

ドラゴンなどは、誰もが知っているファンタジーな魔物で人気もあるのだが、デーモンはなぁ。

当然、海外でも人気がない。

魔石は1個で200万円ぐらいになったが、あんな死ぬような目に遭ってその値段じゃ、ちょっと悲しい。

俺がゲットした立派な角などに、なにかの効能などがあれば、そのうち値段も上がってくるかもしれないが、現時点では価値はない。

アイテムBOXの肥やしにしてても仕方ないので、魔物の研究をしているセンセにあげた。

彼女も飛び上がって喜んでいたので、これが一番いいだろう。

もしかして、食ったらめちゃ美味い――なんてことがあるかもしれないが。

もしくは、熊の胆のように内臓にすごい効能があるとかな。

そんな日――俺たちは、新たな8層の攻略のための準備を始めた。