軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

117話 イニシエーション

サナが紋章隊に襲われたり、姫のひいおばあさんと取り引きしたりと、イベントが目白押しだ。

異世界からやって来たというテツオのために、アレコレと世話を焼いているが、もちろんタダではない。

彼の能力を使えば、俺たちが足踏みをしている7層の突破も簡単にできるからだ。

彼の相棒のシャザームに、100mの高さの出入り口まで、連れていってもらえばいい。

上まで行ければこっちのもんだ。

ロープでも縄梯子でも垂らせば、誰でも登れる。

事前に、幽鬼が持っていた 固定(フィックス) の魔法をかけてもらえば、ダンジョンに吸収されることもないだろう。

八重樫グループとの取り引きで、テツオの国民カードもお願いした。

そいつができ上がってきたので、早速ダンジョンに向かう。

再度ステータスオープンにチャレンジしたのだが、やはり彼にはステータス画面がでなかったらしい。

途中で知り合った外国人と一緒にホテルに戻る。

彼は外国の有名配信者らしい。

俺たちと同じホテルに宿泊しているというので、一緒に戻ってきた。

ホテルに到着すると――黒いスーツのお客だ。

俺ではなく、テツオの客だという。

「OH~!」

巨乳美人の登場に、一緒に帰ってきた金髪の男が喜んでいる。

彼は、テツオと話している間に、神さま――イザルの信徒になったらしい。

外国は文化や生活の中に宗教が入り込んでいるから、他の神さまの信徒になるのは難しいかと思ったら、そうでもないらしい。

それよりも、眼の前の女だ。

黒髪は深い漆黒で、艶やかに光を反射しながら肩まで流れる。

前髪は長く、一方の目を覆い隠し、見えている方の瞳は鋭くも妖艶な輝きを放っていた。

肌は白く滑らかで、黒髪とのコントラストが際立つ。

黒いスーツは体にぴったりとフィットし、胸元はボタンを少し外して、豊かな膨らみを際立たせる。

歳は――アラサーか。

ミニスカートはタイトで短く、太ももが眩しい。

この黒いスーツは紋章隊のものに似ているのだが、奴らはみんなパンツスタイルだった。

まぁ、戦闘があったりするから、スカートだと困ることもあるのだろう。

この女性がスカートということは――戦闘をしない立場の女性ということになるのかな?

テツオが女性に近づく。

「俺がテツオだが、なにか用か? あいにく知り合いではないようだが」

「私は、紋章隊が所属している部署の課長をやっている、三条と申します」

彼女が深々と礼をした。

いきなり襲ってきた下っ端とは違い、礼儀はわきまえているようだ。

「また、紋章隊かぁ? このホテルにいる女の子には手を出さないって、そう決まったんだろ? 聞いたぞ?」

「長谷川サナの件ではありません」

「ん? それじゃなんだ?」

「……ぶ、部下から聞いたのですが、そちらは我々の能力を強化することができると……」

「ああ、そのことか」

ホテルで紋章隊に襲われたときに、テツオがそう言っていた。

聖刻を育てることができると。

「本当なのでしょうか?」

「本当だ。お前も紋章隊ってことは、身体のどこかに聖刻があるんだろ?」

テツオが女の身体を舐めるように見ている。

「聖刻?」

「黒い模様だよ」

「あ、あります」

なんだか、彼女がモジモジしている。

なにか理由があるのだろうか?

「聖刻を育てることができれば、よりデカい力が使える――それで? それを知って、いったいなにが目的なんだ?」

「……わ、私にもそれが使えますか?」

「聖刻を育てるってやつか?」

「は、はい」

なるほど、彼の報告を受けて、それを確かめに来たのか。

「話に割り込んで悪いが、紋章隊の連中ってもっとすごいものだと思ってたな。あれなら、特区外で力が使えるだけで、高レベル冒険者に太刀打ちできるとは思えないが……」

「そのとおりです」

俺の言葉に彼女が下を向く――一応、現状の把握はできているんだ。

「はぁ~、なるほどな。より凶悪な冒険者崩れの犯罪者に立ち向かうために、能力の強化が必須だと……」

「そのとおりです」

「それなら、ダンジョンに潜って、高レベルになればいい」

一応、冒険者としての意見も言わせてもらった。

「そういう訓練も行われてはいるのですが」

「紋章隊の仕事もあるのに、中々時間が取れないんだろうよ」

テツオの言葉とおりだろう。

「おっしゃるとおりです」

「それで――手っ取り早く、俺の力を借りたいと」

「はい」

部下を実験台にするわけにはいかないから、責任者の彼女がやって来たのか。

それだけではない気もするが……。

「ははは! 話は解った。まぁ、ここじゃ無理だから、俺の部屋に行くか」

「は、はい」

テツオが女性の腰に手を回す。

まるで、仕事の部下をラブホに引きずり込むオッサン仕草だ。

まぁ、たとえ罠だろうが、彼なら余裕で躱せるはず。

――と、思ったが、聖刻があるってことは、イザルって神さまの信徒だ。

テツオに逆らえないってことか。

それなら、心配いらないな。

「それじゃな!」

「Yeah See you again」

金髪の男は、普通の部屋に泊まっているので、ここでお別れだ。

関係者以外立入禁止の通路を進み、エレベーターに乗る。

俺たちの部屋がある階に到着した。

「よし、ここなら誰もいないからな。聖刻を確かめてみようぜ」

通路に出ると、テツオがなにやら言い出した。

「ここでか? そりゃ、ここは特別室の住民と従業員しか通らないが……」

「わはは――よし! それじゃ、パンツを下ろして、スカートをめくれ」

「え?! え?! て、手が勝手に……」

前に、ここにやって来た、紋章隊の連中と同じだ。

しっかりとショーツを降ろして、スカートをめくった。

なるほど、パンツスタイルじゃ、この光景は拝めない――というか、こんな場面を姫やサナに見られたら言い訳できんだろ。

「よし、ケツを向けろ」

「い、いや……」

――と言いつつ、尻をテツオに向けている。

まぁ、逆らえないんだろうな。

彼が、なにかを広げて確認している。

「くっくっくっ……思ったとおりだ」

なにが、思ったとおりなのだろうか。

これで聖刻があるのが確実になったわけだが――こんな目に遭っても、女性はテツオが行う秘密の儀式を受けるようだ。

テツオの前に現れた信徒の女性も、彼が聖刻に指を触れると、その模様が育っていた。

彼によると、もっと効率のいい方法があるようだが……。

俺の部屋の前まで来たので、彼らと別れる。

女性とテツオはそのまま、彼の部屋の中に消えていった。

この絵面だけ見ると――どう見ても、使徒の秘密の儀式には見えず、部下の女性と不倫に走るオッサンにしか見えない。

まぁ、いいか。

冒険者の俺には関係ないのだが、聖刻が育ってどうなるのか? ――それは、ちょっと興味がある。

――部屋に戻った。

姫が太ももを放り出して、ソファーに寝転がり、タブレットを読んでいた。

ピチピチの太ももが眩しい、触りたくなるじゃないか。

「テツオとダンジョンにまた行ってみたが、やっぱり駄目だったよ」

「そうですか。でも、あの能力だけで高レベル冒険者並の力があると思いますけど……」

カオルコがコーヒーを出してくれた。

「そうだよなぁ。ただ、耐久値などはどうなんだろう? やっぱり神の力などで強化されているんだろうか? こんど、聞いてみるか」

「私は、ダンジョンの他にも、そういう能力を目覚めさせるファクターがあったのが、驚きです」

「私は好かんな。あの男はどう見ても女の敵だし」

「ははは、まぁな」

彼女はいつもタブレットを読んでいるのだが、なにを読んでいるのだろう。

ダンジョンニュースを読んでいるのは知っているが。

ちょっと気になるので、聞いてみた。

「小説だ」

「好きな小説家とかいるのかい?」

「……篠原コノミ先生……」

「へ~、結構お歳の先生だと思ったけど」

「うん……最近新作が出なくて寂しい」

「あれ? 八重樫グループと付き合いがあるとか、なにかのニュースで見たような……」

カオルコが説明をしてくれた。

「コノミ先生のお母さんが、新田川賞作家の篠原ヒカルコ先生なんですけど」

「あ、知ってる知ってる。超有名な先生だ」

「実は、ヒカルコ先生と、ひいおばあさまが友人でして」

「そうなんだ」

「先生のお孫さんと、サクラコさまのお母さんも友人でして、家族ぐるみのお付き合いをしていました」

「へ~、コノミ先生の子どもはいないんだよね」

「ええ、先生は独身ですし」

「延命はしてないのか?」

八重樫グループと付き合いがあるなら、選択肢に入りそうなもんだが。

お友だち価格でやってくれるかもしれない。

「信条的にしないみたいですよ」

「まぁ、そういう人もいるだろうな~」

自然に老いて死ぬのが自然の摂理で、それに逆らうのは間違っている――とか、なんとか。

人生やり遂げた! って実感がある人なら、長生きしようと思わないのかもしれない。

――紋章隊の課長さんという女性が、テツオの所にやって来た後日。

部屋の前の廊下で、彼から話を聞いた。

聖刻のレベルアップは成功したらしい。

すぐにパワーアップするかどうかは、本人次第らしいが。

その前に、神さまへの信仰心がないと駄目らしいし。

「今まで、力をくれた神さまの名前も知らずに力を使っていたんだから、ちゃんと拝めばそれなりにご利益があるぜ」

「けど、心からマジで拝まないと駄目なんだろ?」

「そりゃそうだ」

「それにしても、いくら自分の力を強化できるかもしれないからといって、ちょっとオカルト染みたことに縋るなんてな」

「オカルトじゃねぇんだが……まぁ、藁にも縋るって感じだったんじゃねぇかなぁ」

「冒険者の凶悪犯罪に備えてか?」

テツオが、ちょっと違う――みたいな顔をした。

「まぁ、それもあるんだが……」

「え? 他になにがあるんだ?」

「ほら、上に立つ人間だから、部下に舐められたくないってのも、あったみたいだぜ」

「ははぁ――そういうことか」

ああいう実働部隊じゃ超実力主義だろうし、上に立つ人間にそれ相応の力がないと、統率に問題が生じる――ってことか。

「俺は楽しめたから、どうでもいいけどな、フヒヒ」

彼が、いやらしい顔をしている。

やっぱり、特別な儀式ってのは、そういうものなのか。

ますます、怪しい宗教みたいだが……ずっと、こういうことをしてきたらしいので、神さま公認ってことなんだろう。

テツオと話していると、廊下に足音が響いてくる。

通路を曲がってきた顔を見ると――先頭は、キララだった。

その後ろには、同じギルドのエマ、キララに面倒をみてもらっている、イチローとアオイちゃん。

2人はサナのギルドに入ってダンジョンに潜っている。

テツオは冒険者になれなかったし、そもそもまったく興味がないというのだから、仕方ない。

さすがに、かなりのレベルアップをしてしまったサナは、一緒に潜っていないようだ。

あまりにレベルが違いすぎるからな。

「あ! ダイスケさん、チース!」

こいつは相変わらずだな。

エマとアオイも、お辞儀をした。

「キララ、ご苦労さん」

「キララさん、ウチの若いやつらの面倒みてもらって申し訳ないねぇ」

「……あなたが、冒険者になれなかったんだから仕方ないじゃない?」

「ははは、面目ねぇ」

口ではそう言っているのだが、まったくそう思っていない顔である。

「そんなので、若い子を特区に連れてこないでね」

「俺は冒険者にはまったく興味がなかったし、そいつらが勝手についてきただけだしなぁ。それに、もう国民カードもゲットできたから、そいつらはどうでもいいし」

「兄貴、そりゃないっすよ!」

「俺はな! 神さまからの仕事をとっとと終えて、故郷に帰るんだっちゅーの!」

「はぁ……」

キララが、テツオの言葉にため息をついた。

彼の言っていることを信じておらず、痛いオッサンだと思っているらしい。

まぁ、普通の反応だな。

それを信じろって言うほうが難しい。

俺は最初から、この男は違う――と感じていたけどな。

廊下で話していると、スマホが鳴る。

見ると――クアドリフォリオさんだった。

「おっ?! 映画の公開が決まったようだぞ」

俺の金だけじゃなくて、八重樫グループがスポンサーになったんで、全国上映になったようだ。

当初は、俺のチャンネルだけで公開する、趣味の映画のつもりだったのに。

「映画?」

俺の言葉に、テツオが不思議そうな顔をしている。

「俺が金を出して、本物の冒険者に戦闘させて、映画を作ったんだよ」

「なんじゃそりゃ、酔狂がすぎるだろう」

「ははは! でも、楽しかったぞ」

まるで学校の文化祭のノリってやつだ。

今の若い子は、ここ10年それどころじゃなかったから、イマイチピンとこないかもしれないが。

映画の制作費を回収できたら、今度はアニメを作ってみたい。

金があればなんでもできる。

夢が広がるな。

「私も出たかったのに……」

キララが拗ねている。

そういえば、最初に話が出たときに出たいと言っていたな。

申し訳ないが、キララよりエイトのほうが美人だし――男だけど。

キララを出すぐらいなら、サナを出したほうがいいに決まっているだろ。

おっぱいもデカいし……ゲフンゲフン。

――後日、完成した映画が公開された。

話題性も十分にあり、かなり興行成績がよいらしい。

主人公のイロハは無骨で無口な性格――という設定だったので、素人演技も上手く誤魔化せている。

まぁ、素人演技なので、そこら辺はイマイチなのは致し方ないが、アクションは折り紙付き。

ど迫力の戦闘シーンがスクリーンいっぱいに繰り広げられる。

話題は、カオルコの悪魔大将軍のハマりっぷりと、エイトの男の娘っぷりだ。

話題が話題をよび、ジリジリと観客動員が伸びている。

娯楽作品として十分に楽しめるできになっていると思う。

すくなくとも「金返せ!」レベルではない。

当初は、スポンサーが俺だけで余計な横槍もなく、監督さんの実力が十分に発揮できたからではなかろうか。

これが普通の映画ならば、複数のスポンサーやら、ナントカ委員会からの要望やら、余計な雑音がそれだけ増えることになる。

そうなれば、監督さんがやりたいこともできなくなることもあり得るし。

制作費は余裕で回収できそうだ。

映画館での上映が終わったら、配信も始まる。

そうすれば、海外で観るユーザーも増えるだろうし、さらなる収入が見込めるってわけだ。

映画を作った監督さんの評判も上々だ。

これから、彼女も活躍していくことだろう。

売れたし評判もいい――ということで、広告代理店からパート2の話が早くも来ている。

俺の所ではなくて、監督さんや八重樫グループの所にだが。

映画界の理事だかなんだかが、ホテルにやって来て俺に圧力モドキをかけてきたせいで、俺の所には来ていない。

一応、版権は俺が持っているから、俺の許可がないとなにもできんはずだが。

イロハやエイトの所にも来ているようだが、彼女たちは映画スターではなく、冒険者だ。

引退したのなら、アクションスターの人生もあるかもしれないが、まだそんな歳でもない。

彼女たちもそんなつもりはないだろう。

突然人気が出たエイトは、ちょっと調子に乗っているようだが、映画界やら芸能界は魑魅魍魎が跋扈している所だぞ。

見た目どおりの煌びやかな所ではないと思う。

今回、俺のわがままでイロハには映画出演をしてもらったが、次はないだろう。

俺とて、次があるのならアニメを作りたいしな。

――映画のことが落ち着いた頃、俺はテツオを部屋に招いた。

「実は、頼みたいことがあってな」

「ダイスケには世話になったから、なんでも言ってくれ」

彼にダンジョン7層のことを話す。

「ははぁ――その高さ100mの入口も、シャザームならクリアできるからな」

「そうなんだ。そいつを頼みたい。一度、クリアしてしまえば、なんとかなると思うんだ」

「いいぜ」

「途中の魔物などは、俺たちで片付けるからさ」

「まぁ、俺が倒してもいいけど、冒険者じゃないから経験値ってやつにならねぇからなぁ、わはは」

「そうなんだよ。素材なら外で売れるとは思うが……」

「いらんいらん! 金なら八重樫グループからもらったしな」

「あの話も片付いたのか?」

「ああ」

グループに魔法のアイテムを売却したことだ。

その代金として、金銀の地金と、エメラルドドラゴンの宝石をもらう――ということになっていた。

「金額は聞かないでおこう」

「まぁ、大金にはまちがいないが――しかし、あのドラゴンの石はどのぐらいで売れるもんか」

「こちらの世界のカット技術を広めるという話は?」

「資料やら、使えそうな知識の本は集めた。ウチの都市が帝国から独立するのに、金になるものはいくらでも必要だからな」

「独立!?」

テツオによると、彼が住んでいる都市は亡国の王族が住んでいて自治権を得ているらしい。

「都市には、門もあるから十分に強力な取引材料になっているんだが……」

「門というのは――異界につながっていて、いろんなものが落ちているという……」

一種の鉱山として、門がある都市が栄えているという。

「そう、それだ」

「そんなにすごいものなら、その帝国とやらが攻め込んできてすぐに奪われそうな気がするが……」

「俺は帝国貴族やら皇族にも顔が利くしな」

「すげーな」

「それに、帝国が侵略などをすれば、俺が門を消すし」

「え?! テツオができるのか?」

「まぁ、今の門を作ったのは、イザルの神さまだし」

かつて門は別の神さまが作り出して、別の都市にあったのだが、それをテツオが滅ぼしたらしい。

「神さまを滅ぼす……そんなことができるのか?」

「だって俺は神の代行者――使徒だし」

その神さまを滅ぼした結果、イザルという神の信徒が増えた。

「テツオの話だと、信徒が増えると神さまの力が増えるんだよな?」

「そのパワーを使って、新しい門を作ってもらったのさ」

「それじゃ、日本でもイザルの信徒が増えれば、その門ができたり……?」

「あるいは、ダンジョンかもしれないな」

彼は、その門と同じことを、この世界のダンジョンでも実行しようとしているのだろう。

「しかしなぁ……」

世界が静止して、ダンジョンができたあと、世界はすっかりその仕組に依存してしまっている。

ここでダンジョンが消えたりしたら、また世界が静止してしまうんじゃなかろうか?

その疑問を彼に話してみた。

「そこは――イザルの信徒の出番ってわけだ」

「イザルの?」

「ああ、ダンジョンが消えると、ダンジョン由来の力はなくなるが、イザルの信徒は魔法が使えるまま――と、いうことは?」

「なるほど――魔法を求めて、さらに信徒が増えるってことか」

そりゃ、そうだ。

目の前に、超常の現象である魔法があるなら、神さまを信じる者も沢山出るだろう。

いるかどうか解らん神さまより、眼の前にいる神さま。

遠くの親より、近くのサラ金。

この時代、サラ金じゃ通じねぇか。

「そうなれば、日本を中心に異世界のような魔法文化が花開くかもしれん」

テツオが腕を組んで、うんうんとうなずいている。

「ここが、剣と魔法のファンタジー世界になるのか」

「いや、ダンジョンがなくなれば、銃火器も使えるようになるだろうから、近代兵器VS魔法兵器って世界かもな」

「それは熱い!」

その会話で、俺の脳裏にちょっとした疑問が浮かんだ。

「異世界の魔法で戦略兵器みたいのってあるのか?」

「研究はされているが――ヤバさから言えば、シャザームは結構ヤバいんだが……」

「え? そうなの?」

「ああ」

まぁ、詳しくは聞かないでおこう。

とにもかくにも、テツオは俺たちのダンジョン攻略を手伝ってくれるようだ。

そのあとは、彼とダンジョンに潜るための打ち合わせをした。

――テツオとの共同アタックが決まった後日。

いよいよ、攻略が進むということで、姫もやる気満々である。

買い物をしたり物資をアイテムBOXに入れたりしていると、イロハとサナがやって来た。

「おい! ダンジョン深層へのアタックをするって聞いたぞ!」

「ずるいですよ!」

「なんだと?! 誰から聞いたんだ?!」

姫が俺のほうを見るのだが、彼女が俺たちだけでやろうと言うので、誰にも言ってない。

もちろん、サナにもだ。

「やっぱりな!」

「イロハさん、私の睨んだとおりだったでしょ?」

「抜け駆けしようとしやがってよ~」

どうやら、カマをかけられたのに、姫が引っかかってしまったようだ。

サナは、俺が慌ただしく買い物やらに出かけているのを見て、ピンときたらしい。

女の勘ってやつか。

「おい、あたいらにも参加させろ!」

「「「ぐぬぬ……」」」

姫、イロハとサナが3人で睨み合っている。

こりゃ、一歩も引き下がらないだろうなぁ……。