軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ようこそ、アルブム農園へ!

アルブム農園――それは、メルの協力のもと、旧エヴァハルト邸の庭に作った畑や果樹、草花を育てる場所である。

アルブムは小さな農具を握り、日々せっせと畑を耕していた。

『家族ガ、増エタカラネ!』

アルブムの後ろをついて回るのは、世にも珍しい銀山猫の『パンケーキ』。

通常、山猫は果物や蜂蜜など、甘いものしか口にしない。それなのに、パンケーキは乳から卒業すると、アルブムと一緒のものを食べたがった。

今では、肉料理にも尻尾を振るほどの、肉食っぷりを見せている。

アルブムに続くもうひとつの影――竜の子ルーチェである。

ルーチェもまた、アルブム同様食いしん坊で、人間と同じ食べ物を好むのだ。

アルブム、パンケーキ、ルーチェは、少しでもお腹いっぱいになりたいがために、自給自足の生活を行っている。

今日も、野菜を収穫するため、のっしのっしと畝と畝の間を歩いていた。

アルブムが見上げるのは、丸くて真っ赤な実をならした野菜。

『オー、コノ、 赤茄子(トマテ) ハ、イイ熟レ具合ダネ』

真っ赤に熟した赤茄子を、収穫する。

一番大きな体のパンケーキの上にアルブムが乗り、その上にルーチェが跨がって赤茄子を収穫するのだ。

『ルーチェ、早ク、収穫シテネ』

『きゅう!』

ルーチェは小さな腕を精一杯伸ばし、赤茄子を収穫しようとする。掴めたものの、引いてもなかなか採れない。

『ア、モウ、無理~~~!!』

重さに耐えきれなくなったアルブムが、ぺしょんと潰れる。ルーチェは赤茄子を握ったまま、宙ぶらりんの状態となった。

『きゅ、きゅう~~~!?』

重さに耐えきれなくなり、赤茄子ごとルーチェは落下する。そのまままっすぐ、アルブムの上に尻もちをついてしまう結果となった。

『グ、グエッ!!』

ルーチェと赤茄子の重みを受けてしまったアルブムは、潰されたカエルのような鳴き声をあげた。

アルブムのさらにしたに伏せ状態でいたパンケーキは、骨太だからかダメージは受けていないようだった。

大丈夫かと聞かれ、アルブムは遠い目をしながら頷く。

『マア、大丈夫』

目的の赤茄子は手に入った。持ち上げて太陽の光にかざすと、ルビーのようにキラキラ光る。

『ウン! オイシソウ!』

パンケーキの首にぶら下げた籠に、赤茄子を入れて次なる野菜を収穫しに向かった。

畝と畝の間をのっしのっしと歩いていると、思いがけない生き物に遭遇する。

今日は、モグラとコンニチワしてしまった。

『コ、コイツハ、畑ヲ、荒ラス奴!!』

アルブムよりも一回り大きなモグラであった。若干恐ろしく思っていたら、パンケーキが大きな手でモグラを払い、どこか遠くへと飛ばす。

ホッと胸をなで下ろすアルブムであった。

アルブムが『パンケーキ、偉イネ』と褒めると、『にゃうん』と甘えるような声で鳴いていた。

続いてやってきたのは、シャキシャキの葉野菜畑。これは、ナイフで底を切って収穫する。

『アルブムチャンガ切ルカラ、チャント、押サエテイテネ』

『にゃう!』

『きゅうん!』

ルーチェとパンケーキが葉野菜を支え、アルブムがカットする。

『ヨイショ、ヨイショ、ヨイショット!』

切れた瞬間、葉野菜はアルブムのいるほうへと倒れ込んできた。

『ド、ドワーーー!!』

ちょっとした事故があったものの、無事葉野菜は収穫できた。

畑で野菜が収穫できたら、今度は料理に取りかかる。

本日のメニューは、三角牛の炙り肉サンド。

メルが焼いたパンに、アルブムの給料で購入した三角牛のステーキと赤茄子、葉野菜を挟んだものを作るのだ。

まずは、簡易的な竈を作る。大きな石で円を作り、中心に火の魔石を入れた。

魔石の表面に刻まれた呪文を摩って、着火させる。

まずは、鉄網を置いて三角牛を焼く。

分厚くカットされた大きな肉を、三等分にして網の上に置いた。

ジュワ~~っと、たまらない音が鳴る。もう、ヨダレが出てしまいそうなほどおいしそうだった。

そんな三角牛に、塩コショウを振ってひっくり返す。

『ア、熱ッ!!』

油が跳ねる。

遠征で食事を作るさい、メルはよくアルブムに「火に近づかないでください」と注意していた。火のそばは、大変危険なのだ。

まだ赤ん坊と言ってもいいルーチェとパンケーキには、近づかないように言っておく。

肉に火が通るのを待つ間、野菜を水で洗ってカットする。

「赤茄子ハー、分厚スギテモ、薄スギテモ、ダメー」

そんなことを言いつつ、ナイフを使ってサクサクカットしていった。

もう一度肉を裏返す。あと少しで、焼き上がりそうだ。

メル特製の丸パンをカットし、断面にバターを塗る。葉野菜と赤茄子を、パンの上に重ねた。

肉が焼き上がったので、野菜の上に載せる。上から、ザラ特製のニンニクソースをたっぷりかけるのだ。さらにその上にも赤茄子と葉野菜を載せ、パンで蓋をする。

『炙リ肉サンドノ、完成~~~!!』

『きゅう!』

『にゃう!』

ルーチェは拍手し、パンケーキは尻尾をぶんぶん振って喜ぶ。

温かいうちに、食べる。

『イッタダッキマ~ス!!』

大きな口を開けて、がぶりと噛みついた。驚くほど、やわらかい肉だった。

肉汁が、ジュワワ~~と溢れてくる。たまらない。

葉野菜はシャキシャキで、赤茄子はみずみずしい。

パンはふっかふかで、肉や野菜の味をひきたててくれた。

自然豊かな庭で、自家栽培した野菜を使った料理を食べると、ひときわおいしく感じる。

お腹をぽんぽこりんに膨らませたアルブムとルーチェ、パンケーキは、そのままお昼寝へと移行したのだった。

これが、アルブム農園での日常である。