軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

最終決戦! その二十一

「ラ……ラ・フェアリ、ですか?」

「ああ。国から自治権が認められている、数少ない妖精族だ」

「じ、自治権……!」

円らな目で見つめるネズミさん達。

「えーっと、では、ここがどこの国なのか、リオンさんはご存じですか?」

「ここはおそらく、リードバンク王国、リンドリンド領だろう」

「リードバンク王国、ですか」

「地図の北方にある、雪の深い地域ね。この地は、そうでもないみたいだけれど」

答えてくれたのは、ザラさんである。

なんでも、ザラさんの故郷から海を挟んだ先にある国らしい。晴れている日は、大陸が見える日があるのだとか。

「リードバンク王国の最北端の港と私の故郷は比較的近い距離にあるんだけれど、寒すぎて侵攻対象外になったって話を聞いたことがあるわ」

「そ、そうなのですね」

もしも、ザラさんの国が暮らしやすい地域だったら、リードバンク王国と戦争になっていたかもしれない。

「私の祖国セレディンティア王国とは外交のある国だが、そちらのアベラルド国は繋がりはないだろう」

そもそも、妖精が人間界に村を作っている話は初めて聞いた。

服をまとった二足歩行のネズミさんが闊歩する村なんて、絵本の中の世界みたいだ。

「リオンさんは、よくご存じでしたね」

「ああ。ここの最後の領主が、私の一族の遠い祖先となる」

「っていうことは、シエル様にとっても、関係のある場所だと」

「そうだな」

ここで、女の子のほうのネズミさんの耳が、ピクンと動いた。

『あ、あの、シエル様と、お知り合いなのですか!?』

愛らしい声で、問いかけてくる。

ルードティンク隊長のほうを見たら、手をぶんぶん振った。

「俺が話しかけたら、怖がるかもしれないだろうが」

「あ、そうですね。では、私が」

自分で怖がるかもしれないと言ったのに、承諾するとムッとしている。

なんというか、難しいお年頃なのかもしれない。

「あの、すみません。私達、シエル様の、知り合いです。こちらの女性は、シエル様のお孫さんになります」

『チュ!?』

どうやら、ネズミさん達はシエル様を知っているらしい。

「あの、シエル様が、ここにいるのですか?」

『は、はい! おります! 村長の家にいるのですが』

「案内していただけますか?」

『もちろんです』

振り返って報告する。どうやらここに、シエル様がいるらしいと。

リオンさんはホッとした表情を見せていた。

「あ、そうだ。メルヴもこの村に入って行ったので、できたら一緒に行きたいのですが」

『メルヴというのは、世界樹と繋がるメルヴ・メディシナルでしょうか?』

「えっと、たぶん」

驚いたのか、長い尻尾がピーンと立つ。

「あの、メルヴがどうかしたのですか?」

『メルヴ・メディシナルは、世界を救ったと言われている大精霊です』

「え、そうなんですか!?」

世界樹と繋がる精霊とは聞いていたけれど、まさか世界を救っていたなんて。

『数百年前の話なのですが、この国では知らない人がいないくらい、有名なお話なんです』

「あ、私達、実は、別の場所から飛ばされたみたいで」

『そ、そうだったのですね。実は、村長が、邪龍を退治するために、勇者召喚を行ったのです。もしかしたらその影響で、引き寄せられてしまったのかもしれません』

「な、なるほど」

勇者召喚を行い、召喚したのはシエル様だったのだろう。それにつられて、私達もこの国へ降りたってしまったと。

『村の中心に、大精霊メルヴ・メディシナル像と勇者像があるんです』

ネズミさんが案内してくれる。

『あちらなのですが――』

青年と少年の像があり、その足下にメルヴを模した像があった。

「あれが、勇者像ですか」

像の周囲には、人集りができている。耳を澄ましてみたら、『メルヴ・メディシナル様~!』という声が聞こえた。

「もしかしてあそこに、メルヴがいるんですか?」

『かも、しれないですね』

再び、ルードティンク隊長を振り返る。が、またしても拒絶するかのように、手を振っていた。

「俺が近づいたら、襲われると勘違いするだろうが」

「そうですね。では、私が行きます」

またしても、隊長は自分で襲われると勘違いするとか言ったくせに、私が肯定するとムムッと顔を顰めていた。

多感なお年頃なのだろう。

『メルヴ様~~!』

『メルヴ・メディシナル様~!』

『ワア~~!』

メルヴの声が聞こえた。確実に、ネズミさん達の輪の中心にいるだろう。

「メルヴー!」

『ココニイルヨー!』

メルヴはぴょんぴょん跳ねて、存在感を示してくれた。

私達の存在に気付いたネズミさん達は、メルヴが通れるようにササッと避けた。

メルヴはテポテポと、こちらに向かって走ってくる。心細かったのか、私の足下にヒシッと抱きついていた。

そんなメルヴを抱き上げ、話を聞く。

「あの像はメルヴなんですよね?」

『ウン、チョット思イ出シタ。メルヴハ、ココノ村ニ、住ンデイタノ』

「そうだったのですね」

混乱していた記憶が、村にやってきたことによって戻ってきつつあるのだろうか。

「この村に、探していた人が、いたんです。今から会いに行くのですが」

『ウン、ワカッタ』

そんなわけで、ネズミさんの案内で、シエル様のもとに向かう。

だが、やっと会えたシエル様は、信じられない姿でいた。