軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第070話 いつまでキス止まりなんですかね?

俺達は順番に風呂に入ると、ソファーに腰かけ、ワインとぶどうジュースをそれぞれのグラスに注ぐ。

「ランクアップに乾杯」

「「乾杯」」

イレーネの掛け声でグラスを合わせ、ワインを飲んだ。

「いやー、今日は良い日だったわ。火魔法を覚えたし、昨日よりも成果は良い。それでいてランクアップだもの」

イレーネはご機嫌だ。

「今日の成果は宿代などを差し引きますと、10万6500ソルです。これにより現在の所持金は50万ソルとちょっとです。このままのペースを維持すればブレイナに着いた時には十分に目標金額に届くと思われます」

確かに良いペースだ。

「トカゲと鳥の山は良かったな」

「ええ。森なんかよりずっと良いわ。簡単に見つけられるもの」

見つけてしまえば楽だしな。

イレーネもやったが、一撃だった。

「ランクアップがやけに早かったな。俺は3回目だし、イレーネに至っては2回目だぞ」

「それだけトカゲと鳥に難易度があるってことでしょ。ランクアップの基準は明確になってないけど、十分な実力は示したし、ギルドのお願いも聞いた。そんなところでしょう」

薬草採取が大きいのか。

「イレーネさん、Eランクになると、どうなります?」

「うーん、正直、あまり変わらないわね。Fランクは初心者のランク。要は初心者を卒業し、一人前になりましたってことだから。ここからDランクになれば依頼の話が来始めると思う。Cランク以上はもう一流よ」

Eランクになったからといって収入が上がるってことはなさそうだな。

「そんなものですか」

「まあ、地道にやっていけば良いわよ。あなた達と一緒ならこのままのペースでいけば半年以内にCランクにもなれるでしょ」

「頑張りましょう。それで明後日に出発ということになりましたが、明日はいかがしますか? 昨日、今日と働きましたし、休みにしても良いと思いますが……」

うーん……

「私は明日もやるべきだと思うわね。そんなに疲れてないし、山は私達と相性が良いから稼いでおきたい」

「それで良いんじゃないか? 明日は昼過ぎに切り上げれば良いだろ」

それで休めば十分だ。

「では、そのように致しましょう。明日は早めに起きた方が良いかもしれませんね」

そうだと思う……

「頼むわ……」

「お願い……」

「早く寝れば良いんですよ」

正論ホムンクルス。

「わかってるよ」

俺達はその後も話をしたり、トランプをしながら過ごしていった。

そして、22時くらいに『早く寝てくださいよ』というありがたい言葉を残したリーエがベッドに行ったのでイレーネと共に魔法の練習をする。

イレーネは魔法の矢を作る練習をしており、俺は銃弾を防ぐ魔法の開発だ。

「うーん……微妙」

イレーネが作った光の矢を眺めながら首を傾げる。

「そうか? 結構、良い矢ができてると思うけど」

見事なものだ。

やはりセンスがある。

「魔法としてはね。自分で良いじゃんって思える。ただ、実戦で使うには歪みが大きい。矢ってちゃんと作らないと本当にどっかに飛んでいくからね」

遠距離魔法を覚えれば良いと思うが、イレーネ程の腕があるならば矢の方が射程距離が長いからな。

それに慣れた武器で戦うのが一番だ。

「矢を作れるようになっても普通の矢も持っておけよ」

「わかってるわよ。こんな矢なんか見たことないし」

光ってるもんな。

「まあ、最悪は魔導具って言い張ってくれ」

「ええ。あなたは何をしているの? ずーっと腕を組んでるけど」

「魔法の開発。研究機材がないし、紙も少ない。頭の中で考えてる」

まあ、そこまでの魔法じゃないからなんだが。

そう言うと、かっこいいじゃん。

「へー……朝起きられるようになる魔法を作ってよ」

「早めに寝れば良いんじゃないですかね?」

「リーエの真似? 似てないわよ」

だろうな。

俺も絶対に似てないって思ったし。

「やってみ?」

「うーん……私の仕事を取らないでください」

おっ、ちょっと似てた。

「人をダシにしてイチャイチャするならさっさと寝てください。続きはベッドでどうぞ」

やっぱり起きてるし……

「寝るか」

「そうね」

俺達は暖炉の火を消すと、それぞれのベッドに行き、就寝した。

翌日、リーエに起こしてもらい、早めの朝食を食べる。

時刻は7時前なのだが、すでに多くの冒険者が食堂にいた。

「皆、この時間なんだな」

「早い人は日が昇り始めたら始動するからね」

「皆さん、精力的に働きますよね」

リーエがなんかちくっとしたことを言ってくる。

「お金は大事だしね。それに冬になったらどうしても稼ぎが少なくなるのよ。寒いから外での仕事も辛くなるし、数も減っちゃうのよ。だから今が一年で一番働く時なのよ」

寒いと外に出たくなくなるもんな。

「防寒器具とか揃ってそうですけど」

「あれも高いのよ。それにいくら防寒器具を持っていても寒いものは寒い。雪なんか降ったらたまらない」

嫌だな。

「そんなものですか」

「そうそう。だから冬になる前にこの大陸を出るわよ。私達が目指すメラニカ王国は暖かい気候だから冬もそこまで冷えない。そこで冬を過ごして、北上していくのが良いかしら? まあ、その辺はまた相談ね」

寒さを避ける方向か。

良いな。

「わかりました。それでは稼ぎましょう」

「ええ」

俺達は朝食を食べ終えると、受付で弁当をもらい、山に向かった。