軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第036話 多分、合ってる!

俺達は町中を歩いていく。

すっかり暗くなったのだが、町は明るく、いまだに活気がある。

飲食店からは笑い声が漏れているし、歩いている人達も楽しそうだった。

俺達はそんな町中をミスディレクションをかけて静かに歩いていくと、北にある屋敷への門がある広場にやってきた。

「警備は変わらないな」

門の前には門番がいるし、広場を巡回している兵士もいる。

それに坂の方にも歩いている兵士達がいた。

「夜勤ですか。大変ですね。おそらく、上の方にも兵士がいると思います」

「さすがにミスディレクションは効かないな」

ミスディレクションは消えるわけじゃないし、堂々と侵入できるほど万能ではない。

「まあ、どうとでもなるでしょう。最悪は強行突破です」

そうなるな。

「あの兵士達、朝までいると思うか?」

「いると思います。ただ、もう少し遅い時間に行けば油断していると思います」

単純に疲れるし、何よりも暇だから集中力が続かなくなるからな。

町の様子や演習をしていた兵士達にも緊張感はなかったし、平和な町なんだろう。

実に好都合だ。

「よし、行くか」

「ええ」

俺達は午前中にも通った左の方の道を進んでいく。

そして、北西の角のところまでやってきた。

「門は閉じているよな?」

西門の方を見る。

「間違いないでしょう。飛びますか?」

「ああ。行くぞ」

俺達はフライの魔法を使い、ふわりと浮き上がると、上昇していき、壁を越えた。

そして、真っ暗な町の外に出ると、地面に着地する。

「何も見えないな」

「少し目を慣らした方が良いですね。向こうが街灯のない森です」

「そうするか」

町の中が明るかったので目を慣らすためにその場でじっと待つ。

すると、徐々に周りが見え始め、奥に暗い森が見えた。

「行くか」

「ええ」

俺達は森に向かって歩き出した。

「最近、暗いところばかりですね」

「そもそもこんなに外に出たのも数年振りだよ」

職場と家を往復する毎日だったからな。

買い物もリーエ任せだし。

「全然、魔法の研究ができませんね」

「それも仕方がない。まあ、時間はあるんだ。ゆっくりやろうじゃないか」

「変わられましたね」

隣を歩くリーエが見上げてくる。

「そうか?」

「ええ。ご主人様に良い人ができそうで安心です」

どうかねー?

それに自分が変わったと思えない。

「変わるのは良いことか?」

「どうでしょう? ヴェルナー様が良いなら良いことです」

「そうかい……」

俺達は森までやってくると、中に入る。

「やっぱり森の中はより暗くなりますね」

「ライトを使うか?」

「屋敷から見られる可能性があります。リスクは少しでも下げましょう」

あんなところに屋敷を建てるなってんだ。

「ハァ……魔物はどうだ?」

「魔力は感じませんね」

寝てるのかね?

俺達は昼に通ったルートで森の中を進んでいく。

すると、オークの死体の近くまでやってきたのだが、オークに群がるゴブリンやコボルトがいた。

とはいえ、ミスディレクションをかけている俺達に気付く様子はない。

「自然だな」

食べてるわ。

「肉食なんですね。つまり魔物に負けたら食べられちゃうわけですか」

あんなのに負けることはないがな。

「ああやって死体を放置したら勝手に魔物が集まってくるな。そうすれば効率的に魔物を狩れる」

「悪くはないと思いますね。普通に探した方が早い気もしますが……何よりも精神衛生上、そちらの方が良いです」

確かに死体の近くにずっといるのも嫌か。

「そうするか。そいつらは無視で良いな?」

ゴブリンやコボルトを見る。

「晩御飯を邪魔するのも悪いですしね。上がって、屋敷の様子を見てみましょう」

「ああ」

俺達はその場でフライの魔法を使い、上昇した。

そして、木のてっぺんから顔を出す。

「灯りがついてますね」

リーエが言う通り、屋敷はまだ明るかった。

「多分、あの灯りは消えないと思う」

灯台の役割をしているなら消えないと思う。

「まあ、明るい側からは暗いところは見えないので都合が良いと考えますか」

そうだな。

「屋敷の外も明るいが、屋敷の中も灯りがついているな。今、何時だ?」

「時計がないのでわかりませんが、19時くらいじゃないですかね?」

まだそんな時間か。

「あの屋敷って何人くらいが住んでいると思う?」

「5階建ての大きな屋敷です。領主、その家族、使用人……2、30人はいるんじゃないですか? それに加えて、警備の兵です」

多いな。

「屋敷の明かりが消えてから行きたいな」

「早くて21時……遅くても23時くらいですかね?」

あと4時間もある……宿屋で待機してたいわ。

「待つか」

「仕方がありませんね」

俺達は地面に降りると、その場を少し離れ、静かなところに移動すると、木に背を預ける。

たまにフライを使って、屋敷の様子を確認しながら待ち続けた。

すると、ぽつりぽつりと屋敷の部屋の灯りが消え始め、大半の部屋の灯りが消えたところでまた移動する。

そして、ひたすら歩き続けると、目の前に壁が現れた。

もちろん、屋敷がある岩山の麓というか、崖下である。

「あー、暇だったな」

「トランプをするわけにいきませんしね」

外だし、2人でやってもな。

「行くか?」

「私の体感時間的には23時を過ぎております。行きましょう」

「よし」

俺達はフライを使い、ゆっくりと上昇を始めた。