軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第034話 そういうことですか……

「俺は登録する前から剣術をやっていたし、経験者だから問題ない」

「それは良かったです。成果はどうです?」

おっさんがそう言うと、リーエが魔石をカウンターに置いていく。

「ほうほう? かなりの数ですね」

「運が良かったと思う。立て続けに魔物に遭遇したんだ」

「普通のルーキーなら不運ですけど、腕に覚えがあればラッキーですね……え?」

おっさんがテニスボールくらいの大きさの魔石を見て、目を見張る。

「これで全部だな」

「こちらは……オークですか?」

おっさんが大きい魔石を取る。

どうやらあの魔物はオークで合っているらしい。

「ああ。さすがに苦戦したが、なんとか倒すことができた」

自慢はしない。

今は目立っていい時ではないから。

「素晴らしいですね。このサイズですと、オークの中でも上位個体でしょう」

強いオークだったのか。

確かにそれだけの魔力はあったな。

もっとも、俺の前にはすべて同じだが。

「それについても運が良かったな。森の中だったから上手く立ち回れた」

嘘だけど。

「本当に経験豊富な方のようですね。これならすぐにランクアップするでしょう」

ふむ……

「ランクアップの基準とかあるのか? 試験があるとか?」

「ランクアップ基準はギルドの規定にあるんですよ。ただ、それを教えることはできません。また、試験もございませんよ」

試験がないのか。

完全な功績重視だな。

「俺達は真面目に仕事をしておけばいいわけだな?」

「はい。正直、オークを倒せるくらいの実力者ならDランク相当です。上げても良いんじゃないかと思いますが、ある程度の数をこなす必要もあるのです」

まあ、そうだろうな。

たった一度の功績では上げないだろう。

「わかった。地道にやろう」

「ありがとうございます。それでは代金をお支払いしますので少々お待ちください」

おっさんはそう言って、魔石を持って、奥にある部屋に向かった。

「ちょっと期待できそうだな」

「ですね」

俺達が待っていると、トレイを持ったおっさんが戻ってくる。

「こちらが魔石の料金と明細書になります。ご確認を」

そう言われたので明細書を手に取り、見てみる。

コボルトの魔石が1つ1500ソルで小計1万8000ソル、ゴブリンの魔石が1つ1000ソルで小計1万4000ソル、そして、オークの魔石が8万ソルで合計10万2000ソルだ。

「オークが高いんだな」

「通常ですと、5万ソル前後になります。今回は大きさがかなりのものでしたのでその値段になりますね。常設依頼は魔石代しか出ませんので単純な魔石の評価額になります」

討伐依頼ならこれにプラスで討伐料が加わるんだな。

儲けを考えたら断然、そっちが良いが、それには高ランクになる必要がある。

なるほど……夢がある。

「わかった。これからも頑張ろうと思う」

頷くと、金を財布に入れる。

「はい。有望のようですし、私達も期待しております」

おー、有望か。

確かイレーネも有望と評判だったと聞いたし、俺もその道に乗れそうだ。

「わかった。それとちょっと聞きたいんだが、このカードは他所の国でも使えるよな?」

冒険者カードを見せながら聞く。

「ええ。もちろんです。詳しくは言えませんが、ギルドにはデータベースがあり、各冒険者の情報は共有されています。メラニカ王国に行かれても今回の実績はちゃんと残ります」

データベース……魔道具かな?

「カードを失くした場合の再発行もできるのか?」

「ええ。Cランク以上は別途料金がかかりますが、再発行は可能です」

確かCランク以上からカードに色が付くんだったな。

Cが青色、Bが銀、Aが金だったはずだ。

何か特殊なことをしているのかもしれない。

「わかった。そこを目指すとする」

「ぜひともお願いします」

「ああ」

俺達はギルドを出る。

「10万ソルを超えましたね。これで当初の予定の50万ソルになりました」

「まあな。もはやって感じだが」

もうこの町から別大陸に行くことはできない。

「今後のことを考えても大事なことですよ」

確かにな。

「さて、夜までどうする?」

「宿屋に泊まる意味もないですしね……とりあえず、逃亡の準備をしましょう。食糧の確保です。缶詰は日持ちしますし、念のため、数を用意しましょう」

「そうするか」

俺達は缶詰を買おうと思い、店が集まっている区域に向かった。

人通りが多く、賑わっている中、缶詰を売っている店を探す。

「どこかね?」

「そういうのもわからないんですよね……」

「まったくだ」

イレーネがいないと困るわ。

「――お客さん!」

「ん?」

声が聞こえたので振り向くと、そこにはここまで運んでくれた商人のおっさんがいた。

「あ、商人さんですね」

「そうだな。よう、儲かってるか?」

「あ、ああ。すまん、ちょっと来てくれ」

商人がそう言うのでついていく。

すると、人がいない路地裏にやってきた。

「どうした?」

「連れの女がいただろ。すまん。よくわからないが、軍の連中に捕まった」

ほう……

「何かあったのか? 詳しく話してくれ」

「午前中にあっちの方の道でばったり出くわしたんだ。それで船が出てないから魚が売ってない愚痴なんかを話していたんだが、そうしたら急に兵士が女を拘束して連れていった」

道端で話したことで注目を集め、ミスディレクションが弱まったか。

このおっさん、声がでかいし。

「そうか……兵士に何か聞かれなかったか?」

「ああ。知り合いかと聞かれたから客と答えただけだ。それで問い詰められるようなことはなかった」

まあ、ただの商人だしな。

「俺達のことは?」

「話してない。というか、あっという間にどっかに行ってしまったんだ。ありゃ何だ? 人攫いにしか見えなかったぞ」

俺も話を聞いていて、そう思う。

「実はあの女性は貴族の令嬢なんだ。家出だな」

どうせ明日には発表になるし、嘘をつくところじゃない。

いや、嘘じゃないんだけど。

「そうなのか? それで……」

「すまんが、俺達のことは黙っててくれるか? 俺達も頼まれたんだ。軍や貴族に協力したとか思われたくない」

「それは俺もだよ。そうか……貴族の家出だったのか。犯罪の片棒を担いだのかと思ったぜ。ビビった……」

商人のおっさんはホッとしている。

「そうだな。あ、缶詰を売っている店を知らないか?」

「缶詰? 専門店が奥にあるぞ。青い屋根の店だ」

「そうか。じゃあ、行ってみる。迷惑をかけたな」

「いや、こっちもすまない。じゃあ、お互いに知らないってことで」

商人のおっさんはそう言って去っていった。