軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第032話 森です

俺達は森の中に入る。

森はそこまでうっそうとしているわけでもないし、木々の間隔もそこそこ開いているので歩きやすかった。

ただ、一本一本の木はかなり高い。

「さて、いるか?」

「うーん……この前のコボルトがそうでしたが、魔力が低いとわかりづらいんですよね……あっちから感じないこともないです」

リーエが左斜め前を指差したので俺も感知してみる。

すると、ふわっとだけ魔力を感じた。

「微弱すぎるな」

「絶対に弱いと思います。まあ、行ってみましょう」

「そうするか」

俺達が歩いていく、ほんのわずかにだが、魔力が強くなった。

さらに歩いていると、犬がいた。

「コボルトか?」

「4つ足ですけど……」

普通の犬だな。

しかも、まったくこっちに気付く様子がなく、地面をクンクンと嗅いでいる。

「あー、ミスディレクションか」

俺達はずっとそれをかけている。

「確かに認識をずらす魔法ですが……犬ですよね?」

ミスディレクションは対人間用の魔法である。

嗅覚、聴覚、視覚に優れた魔物や獣にはあまり効かない魔法なのだ。

「解いてみるか」

「ええ」

リーエが頷いたのでミスディレクションを解く。

すると、ものすごい勢いで犬がこちらを見て、さらに慌てて立ち上がった。

「あー、コボルトだ」

「なんか見てはいけないものを見た気がしますね……」

二足歩行のコボルトは普段は四足歩行でした。

「悪いな」

謝ったのだが、おかまいなしにコボルトが突っ込んでくる。

「ほれ」

風の刃を出すと、コボルトの首が飛んだ。

そして、前のめりに倒れる。

「お見事です」

「こればっかりは褒められても嬉しくないな」

あまりにもね……

「まあ、そうおっしゃらずに。初陣を完勝したことを喜びましょう。そして、これが正真正銘の初めての成果です」

「まあな」

「では、成果である魔石は私が回収しましょう」

「頼む」

リーエがコボルトの死体に近づき、ククリナイフで解体を始めた。

その間に周りの魔力を探る。

「ヴェルナー様、お待たせしました。こちらになります」

リーエが魔石を見せてくる。

色は黒く、大きさも小指の先程度しかなかった。

「質は最低ランクだな」

魔石は大きければ大きいほど良いし、色も赤色に近いほど高品質だ。

「あの程度ならこんなものでしょう」

「まあな。しまっておけ」

「はい」

リーエがカバンに魔石を入れる。

実際は入れておらず、空間魔法に収納していた。

こうやって普段から偽装に慣れておくのだ。

「よし、次はあっちだ。コボルトじゃない魔力を感知したぞ」

「おー、期待ですね」

たいした魔力じゃないがな。

俺達がさらに歩いていくと、今度はミスディレクションを切っているので向こうの方から走ってくるのがわかった。

「やる気満々ですね」

「ああ。あれは何だ?」

なんかナイフを持った小さい鬼が走ってくる。

「知りませんが、雑魚ですね」

「そうだな」

頷き、腰の剣を抜いた。

「おや? 今度は剣ですか?」

「ちょっと試しておきたい。屋敷で戦闘になった時のために魔法以外の手段を持っておきたいんだ」

人前で魔法を使うのは憚られる。

それに何より、あんな高いところにあって衝撃で崩れそうな場所で大きな魔法は使えないのだ。

「ヴェルナー様の剣を初めて見ます」

「見ておけ。俺が遠距離魔法だけでないということをな」

そう言って、右足を踏み込むと、一気に魔物に接近する。

「ギャギャッ!?」

魔物は驚いたようで慌ててナイフを突き出そうとするが、それより速く俺の剣が魔物の肩口に入り、一気に両断する。

魔物は何もできずに地に伏した。

「ふっ、こんなものだ」

「おー……お見事です! 本当に剣も使えるんですね! 貧弱ボーイじゃなかったです!」

リーエが拍手してくれる。

「軍属だったと何度も言ってるだろ。武術を使えない魔法使いはすぐに死ぬと言われて、散々鍛えられたわ」

そう言って、クリアダストで剣の汚れを取り、鞘に収めた。

「イレーネさんに見せてあげたかったです。きっと絶賛してくれました」

ホントにな。

まあ、それは次の機会にしよう。

「魔石を頼む」

「はい」

リーエが魔石を採取する。

「しかし、そのイレーネがいないと、この魔物が何なのかもわからんな」

「やっぱり私達にはイレーネさんが必要ですね。そして、それは向こうもです。一人でスピードはできないですし」

魔力障害のこともあったな。

どういう状況かわからないが、手をにぎにぎして魔力を消費していると良いのだが。

「適当に魔物を狩って、昼になったら西の方に行くぞ」

「わかりました」

俺達はその後も魔物を狩っていったが、出てくる魔物はコボルトや小鬼ばかりだった。

それも10匹ずつくらい倒すと、さらに北の方に歩いていき、昼休憩することにした。

「パンだけも味気ないですね」

「金がないんだよ」

残り4600ソルしかない。

魔石がいくらになるかだな。

さすがに泊まれるだけの金にはなると思う。

「獣でも出ませんかね? そしたら焼肉です」

「獣を捕まえたりする魔法も技術もないからな。我慢しろ」

「そうします……何か来ますね」

「ああ」

これまでとは質の違う魔力がこちらに近づいていた。