軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第022話 ディスティニー!

昼になったので昼食のパンと缶詰を食べる。

「あー、疲れた」

「想像以上に疲れてませんか?」

リーエがイレーネに確認する。

「ええ。たいした動きじゃないと思うのに結構疲れたわね」

「それは体力ではないです。魔力を動かしたからです。かなりの魔力を消費しています」

後半はとんでもない手の動きだったからな。

魔力の無駄遣いにも程があると思ったが、今はそれでいい。

「そうなんだ……じゃあ、これで気分が悪くなったりしない?」

「ええ。魔力障害はまず起きないでしょう。一安心ですね」

「それは良かったわ。結構辛かったし」

それだけの魔力を持っていたらな。

「リーエ、どうせ暇だから他のゲームも教えてやれ」

「そうですね。2人でババ抜きという悲しいゲームをしなくてよくなりました」

ホントにな……

「何かあるの?」

イレーネが首を傾げる。

「このカードゲームは色んな遊び方ができるんです。ただ、2人より3人、4人で遊んだ方が遥かに楽しいんです」

「すまんな。家族も友人もいないんだ」

「3人でやれば良いじゃないの。何やるの? 教えて」

良い奴。

クラスに1人はこういう明るい女子がいたな。

「あ、小学生の時にこういう感じで女子に誘われたんだけど、恥ずかしくて拒否した思い出が蘇ってきた。以降、まったく誘われなくなったやつ」

「時々、暗い思い出が蘇るご主人様です……」

「小さい頃の話でしょ? そういうこともあるわよ。ほら、やりましょう」

俺、こいつのことを好きになりそう。

昼食を終えたのでルールを教えつつ、色んなゲームをしながら時間を潰していく。

「早く6を出してください。それしかないんでしょ」

「待ちなさい。いや、待ちなさい……」

他に出せるカードがないんだろうな……ん?

「ちょっと待て」

「ん? どうしたの?」

「おや? 魔力を感じますね。魔物のようです」

リーエがそう言うと、ピーッという笛の音が聞こえてきた。

すると、馬車が止まる。

「魔物だ!」

「落ち着け!」

なんか騒がしくなったなーっと思い、外を覗く。

すると、二足歩行の犬が数匹いた。

「犬人間か?」

「人間犬ですよ」

一緒では?

「あれはコボルトよ。たいした魔物じゃないし、護衛の冒険者が何とかするでしょ」

ふーん……まあ、たいした魔力じゃないな。

「ああいう魔物を倒すのが冒険者なんだよな?」

「ええ。私もよく倒したわ」

ふーん……お、冒険者が行ったぞ。

「3人か」

3人共、男性だが、背が高いし、鍛え上げられている。

武器は2人が剣で1人が槍だ。

「現地民の戦いを見てみましょう」

「そうだな」

3人とコボルトの戦いを見学する。

しかし、特に見せ場なんかなかった。

2人の剣士が斬りかかると、コボルト達は一撃で倒れる。

さらに最後の1人が槍でけん制すると、残っている数匹のコボルト達が逃げていったのだ。

「まあ、こんなものでしょうね。この規模のキャラバンの護衛をする冒険者なんだから最低でもCランク以上よ。コボルトなんか相手にならないわ」

そんな気がしたな。

そのまま見ていると、男達がコボルトから石を取り出し、元の位置に戻った。

「魔石か」

「そのようですね」

「ええ。あれが魔道具に欠かせない材料なのよ。魔物を倒したら基本的にあれをギルドに納品する。それでお金をもらえるわ」

なるほどな。

「ちなみに、あれでどれくらいの値段になる?」

「コボルトなら1000か2000ソルじゃないかしら? 3匹倒したら3000か6000ソルってところ」

冒険者をやれば生活できないってことはなさそうだな。

「出発だ!」

前の方から大きな声が聞こえ、少しすると、馬車が動き出したのでトランプを再開する。

「イレーネ、さっきの3人とお前ではどっちが強い?」

「ブランクを考えなければ私。二つ名持ちのBランクよ?」

まあ、イレーネの方が強いだろうなとは思った。

「御三方共、強化魔法を使っておられましたね」

「え? そうなの?」

「ああ。イレーネと同じで無意識だと思う。魔力的にはそこまで高くなかったが、ちゃんと使えていたし、腕も良かった。高ランクというのもわかるな」

3人の連携も良かったし、経験豊富って感じもした。

「ええ。この世界もやはり魔力を持っている者が強いという認識でよろしいかと思います」

「よくわかんないけど、私もかなりの魔力を持ってるんでしょ? 強くなれる? Aランクとかになれるかしら?」

冒険者ランクの基準をよくわかっていないが……

「イレーネはそういうレベルじゃない」

「あなたは人間兵器2号になれますよ。それだけのポテンシャルがあります」

「あ、そうなんだ。なんか運命的なものを感じるわね」

運命?

「何がだ?」

「だって、ヴェルナーやリーエもそれくらいの魔力を持っているんでしょ? そんな人が私の前に転移してくるなんてすごい偶然じゃないの」

偶然……か?

『リーエ』

『ええ。おそらく、次元転移する際にイレーネさんの高魔力が目印になったんでしょう。それで引っ張られた可能性があります』

そんな気がする。

『全然、運命じゃないな』

『まあ、かっこいい方向でいきましょうよ』

それもそうだな。

「俺はきっとイレーネを救うために来たんだな」

「ロマンチックです。かっこいいです。さすご主ー」

「さすヴェル。物語が1つ書けそうね。よし、次のゲームにしましょう」

いいから早く6を出せよ……