軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

次の目的地(仮)決定

「藤乃宮ダンジョンって……藤乃宮特区の側にあるダンジョンですよね」

「うん」

問い返した俺の言葉に、刹那さんはコクリと頷く。

ちなみにだけど、正しくは藤乃宮ダンジョンの側に藤乃宮特区があるというのが正しい。

藤乃宮ダンジョン。最初期に出現したダンジョンの一つ。そして最も被害を出したダンジョン。

現在はいろいろ環境が整備され人材も揃ってきたためダンジョンのモンスターが外に出てきて民間人に被害を出す事など殆どないが、最初期──特に大魔導がこちらの世界に帰還するまでは何度も怪物が地上へと出現していた。当時はダンジョンの出現も予測できていなかったから避難も間に合わず犠牲者も多数出ている。──ダンジョン排斥派の中にはその当時の被害者の遺族もいるようで、それに関しては気持ちはわからなくもないけど……そういった連中は探索者にも憎悪を持っている奴が多いらしい。当時守ってくれなかったからとかか? だったら逆恨みがすぎるだろ。

モンスターと戦う"技術"は大魔導によってこちらの世界にもたらされたものだ。それ以前で近代兵器がほぼ通用しないモンスター達と戦えたのはダンジョン出現時期以降に不思議な能力に目覚めた"覚醒者"と呼ばれる人たちと、達人クラスの実力を持つ武芸者や軍人だけだった(後年わかった事だったがこういった達人は無意識に自身の武器や肉体、銃弾などに魔力を込めていたらしい)。圧倒的に人手が足りてなかったのだ。

救いは、ダンジョンの中はダンジョン内部から出てくることはあまり多くなかった事。例えば岐阜ダンジョンはかなり少なかったため、早々に覚醒していた"農狂"によって全て倒され、被害を一切出していない("農狂"曰く「畑が荒らされた」らしいけど……)

だが、それ以外のダンジョンはそうはいかず、特に藤ノ宮は特に出現が多かった。だからこそそこに戦えるものの多くが集結し、そのまま探索者をまとめる探索者協会の本部が設立されることになったわけである、

んで、脱線した話を戻すけど、この藤乃宮ダンジョンは日本最大のダンジョンとされている。上層、中層に関しても他のダンジョンより広いんだけど、特に広大なのが下層だ。いやどこのダンジョンも下層は広大なフィールドが広がっているんだけど、藤乃宮ダンジョンは地上から入り組んだ巨大洞窟が広がっている。ようするに下にも広いのだ。

「……下層の洞窟にアタックするんですか?」

「うん、その、だめかな? 無理だったら全然断っていいからね?」

……刹那さん美人さんよりの顔付きなのにそうやって上目使いしてると可愛らしくなるのずるくない?

でもまぁ俺に声を掛けて来た理由は解った。るーだ、これ。

ダンジョンを下層まで潜る場合、数日かけての探索になる可能性が高い、地下に広がる藤乃宮ダンジョンだったら猶更だ。だけどるーがいれば極論日帰りも可能なわけで。そんな人材が知り合いの、しかもそれなりに仲良くしている相手としているのだ。力を借りようと思うのは当然である。

「あ、引っ越しの件はそういつつもりじゃないからね!?」

今度はなんかわたわたしだしたけど、そこは別に疑っていない。能力的に有能だから仲良くしときたいという気持ちはあっただろうけど、それは普通の考え方だし。彼女は俺の連絡先知っているから、最初からそれが目的だったらこんなランダムエンカウントに頼らないだろう。それに、

「一応るーに確認してからになりますけど、別にいいですよ」

「そうだよね、トワさんも予定あるだろうし無理だよね……え、いいの?」

「はい」

そもそも別段断る理由がないからなぁ。燕三条ダンジョンはしばらく利用できなそうだし、協会からの要請も今の所ない、引っ越し先から遠いダンジョンだったらちょいと避けたいけどもし藤乃宮特区に引っ越しできるならご近所だ。わざわざるーの力を使わなくても通える位置。更に言うと今の藤乃宮ダンジョンはとある理由から未知の素材や新規のMADが手に入る可能性がある……これは宝くじみたいなもんだけど。

でもって刹那さんはいい人だし1級ではないけど実力は申し分ないから、断る理由あんまりないよね? これ。

──懸念としては、その藤乃宮ダンジョンの性質上、またトラブルに巻き込まれる可能性があることくらいだけど。今の情勢だとどこのダンジョンでも確率の差はあれど似たようなもんだろうし、別にいいよな。