軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

恐竜人間

「……なぁおっさん、アレ、見たことあるか?」

「ねぇな。リザードマン亜種かもしれんがあのサイズは……」

ゲートの所までの撤退は、特に問題もなく済んだ。俺が感知をしつつ全員が身体強化をかけて駆け抜けた結果、モンスターと遭遇することもなく一気に駆け抜ける事ができた。

そう、ゲートの所までだ、順調だったのは。

そ(・) れ(・) は、すでに途中から見えていた。

恐らくは全高15m近くはあるであろう、人型の巨人。その肌は緑色の鱗を纏っており、ぱっと見は藤原さんの言う通りリザードマンのように見えるけど、よく見るとトカゲといより恐竜が人型に近くなった言うな様相をしていた。進化途中の 恐竜人間(ディノサウロイド) といったところだろうか。

そいつが、ポータルの前に陣取っていた。いや、というより──あいつ、ポータルに腕突っ込んでね?

ポータルのサイズはそれなりに大きいとはいえ、アイツに比べれば遥かに小さいため通り抜けれるようなものじゃない。にも拘わらず、アイツは腕を突っ込んで体を震わせている。むりやりねじ込もうとしているのか?

というか本来下層のモンスターがゲートを通過して移動しようとすることはほぼないとされているが……

《久遠、あれよくないわ》

どういうこと?

《少しずつだけど、ゲートの大きさが広がっているわ。放っておくといずれ奴はあのゲートを超えて中層に向かうわ》

マジかよ。

《それに、アイツの抱えているマナがこの世界にとっては異質な上に内包量が多いわ。あれが中層に行くと影響が大きくでるわよ》

放置はできないってことか。まぁアイツがポータルを塞いでる以上どうしたってなんとかする必要があるわけだが。

とりあえず状況を全員に説明すると、皆は顔を顰めた。

「まともに術を使えない状況でアレを相手にするの? 厳しいわね」

「感じるマナだけでもあのデカブツはかなり強いハズだ。それにデカブツの周りにもかなりの数のモンスターがいる。トワちゃんの結界があるとはいえ、あそこを突破してアイツを倒すのは骨が折れそうだが」

藤原さんの言葉通り、あの場にいるのはデカブツだけではない。あのデカブツをそのまま小さくした(それでも3m位はあるが、これくらいならモンスターとしては珍しいサイズではない)ような奴とそのまま恐竜のような奴が全部で数十いる。皆が全力を出せるならなんとかなる相手だろうが、今の状況下だと厳しいだろう。俺がいなければだけど。

「俺が突っ込みます。数を減らしますがさすがにあの数を一掃はできないので、皆さんは少し遅れて突っ込んできてください」

「……すまんが頼めるか」

皆も今の状況下だと俺に頼らざるをえないのは理解しているようで、特に異論はでない。俺は藤原さんの言葉に頷いてから、藤原さんと各務さんに声を掛ける。

「すみません、お二人の武器を出してもらえますか?」

「構わないけど……」

各務さんがやや怪訝そうにしながら頷き、武器を差し出す。俺はその刀身に触れて、刃の周りに結界を張る。同様に、藤原さんの武器にも同じ処置を行った。

「これで武器は折れる事はないですし、切れ味もそこそこ担保できると思います」

「……本当に便利ね、貴女の能力。でも助かるわ、これで最低限は戦える」

「あの鱗にマナを付与していない武装じゃ攻撃が通るとも思えないからな」

「皆さんに貼った結界と同様で、効果が薄れてくると色が薄くなるようにしてありますので注意してください──それと泊さん」

「おう、なんだいトワちゃん」

「あのデカブツを吹っ飛ばすほどの魔術は使えますか?」

俺の質問に彼は少しだけ考えてから

「残りの魔力をぶち込めばあのサイズでも行ける。ただ踏ん張られると確実性が薄い」

「充分です。俺がアイツを殺したら、あの巨体を弾き飛ばして下さい。そしたら皆さんゲートに飛び込んで。最後に俺がゲート周囲に結界を張って飛び込みます」

「倒せるのか?」

自信をもって頷く。残りの力を変に出し惜しみしなければ問題なく行けるはずだ。アイリスからも同意する意思が返ってきている。

ただ、アイリスからは、

《これで女の子期間がまた伸びちゃうわね~》

という楽し気な意思も伝わって来たけど。まぁ状況的にやむを得ない。……戻ってきてから3か月しか男期間が維持できてないけど、魔力の蓄積速度も速くなってきてるし、数日伸びるだけで済むだろう。済むよな?

まぁそんな事を考えるのはここを脱出した後だ。

「行きます!」