軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

想定外の中層突入

「うわっ」

あまりに強い衝撃にさすがにバランスを保てず、俺は地面に膝をつく。

「地震か?」

最初に感じたのは突き上げるような強い衝撃。それに続いて前後左右に大地が激しく揺れる。立ってられるような状態ではなく、俺は地面に手もついてなんとかその揺れに耐える。

ヤバイどころじゃない揺れだ。震度が……それこそ7とかじゃないのか?

「崩落とかしないだろうな……」

地震でダンジョンが崩落したなんて話は聞いたことないが、さすがにこの規模の揺れとなると怪しいのではないだろうか? 天井を見上げる限りその気配はないけど……

《これが地震なのであれば多分ダンジョンは大丈夫だと思うけど……って、久遠! 足元!!》

「足元? ……うわっ!」

アイリスの言葉に従い視線を下に移すと、俺のいる場所も含めて周囲の地面にひびが入っていた。上じゃなくて下かよ!

慌てて体を起こして移動しようとしたが──そこで特に強い揺れがきてしまい、俺は再びバランスを崩し尻もちをついてしまう。

それが最後のトドメとなった……というわけではないだろうが、そのタイミングで足元が崩落した。

《やばっ、久遠、 転(・) 身(・) を!》

いや、この状態でそれは無理だ! バランスを崩しているので体勢を立て直すのも無理! 最後の抵抗として体に対して全開で魔力で強化を入れるのが精いっぱいだった。

《久遠ーーーーっ!》

脳裏にアイリスの声が響く中、俺の体は周囲の土と一緒に闇の中に飲まれた。

「あたた……」

落下した時間はそう長くなかった。

俺は周囲の崩れる土と同時に落下したはずなのに気が付けばその土塊は消失していて、俺の体は斜面に叩きつけられた後、その勢いのまま坂道を転がり落ちることになった。傾斜と勢いで止まれるような状態ではなかったのでなんとか頭部を護りながら勢いに身を任せて転がり落ちた結果、数秒の時間の経過の後俺の体はようやく傾斜のない場所に辿り着き、勢いが止まった。

《久遠、大丈夫!?》

「なんとか、ね」

あれだけ勢いよく地面に叩きつけられたしその後転がり落ちたのもあって体の節々は痛むが、最大限強化を入れていた恩恵だろう、大きなダメージを受けている感じはなかった。ひとまずそれに関しては一安心──なんだけど。

俺は周囲の光景を見回してため息を吐く。

「これ……中層まで落ちた感じか」

《みたいね》

周囲に広がる光景は先ほどまでとは大きく様変わりしていた。

先ほどまでは広いとはいえあくまで"洞窟"という感じの景色だった。だが今の場所は全然違う。背後に土壁はあるが、天井は遥か頭上にあり、更に前方に広がる景色の中には岩や小山の他、見たことがないような木々や植物も生えている。離れた所に見える崖には滝のようなものすら見える。

天に空がない以外はとても地底と思えないような光景だった。まるで物語に出てくる地底世界みたいな景色。これはダンジョンの中層以降でのみ見れる光景だった。

上層は洞窟、中層は地底世界、そして下層以降は空も含めて地上と変わらない景色が広がっている。普通に考えればありえないことだが、ダンジョンというのは半ば異世界化した場所であり地球の常識は通用しない場所なのだ。深く考えてはいけない。

「これ、協会に救援信号出した方がいいかな」

先ほど述べた通り、中層になると魔物のレベルが跳ね上がる。例えば先ほど倒したウェアウルフは中層を進んでいくと量産型の雑魚のようにわらわら出てくるそうだ。感覚で言えば中層の魔物は倒せないというわけではないのだが、さすがに群れで襲い掛かられると広範囲の攻撃手段を 今(・) は(・) 持(・) っ(・) て(・) な(・) い(・) 俺には流石にしんどいのでとっとと中層からは脱出したいところだった。

ただ俺は正規ルートでこの中層にやってきたわけではないので、上層へのルートがどこだかさっぱりわからんのである。後ろの壁はまるで俺が落ちてきたことなどなかったかのようにただの壁になっていたし。

まぁ中層なら未踏の地という事はないハズなので、協会に問い合わせればルートは教えてもらえるだろう。ドローンと同様協会から供与される多機能インカムを操作すれば協会に直通で連絡を入れる事ができる。

とりあえず近場に出口があればいいなと思いつつ、インカムを操作しようとしたその時。正面の背の高い木々の向こう側から数人の人影が現れた。