作品タイトル不明
第六章 登場人物紹介
《第六章 伝染病襲来・あらすじ》
アカデミーに戻ったレベッカとユリアをある日、父フランツが外出に誘う。
訪ねた場所は、国立大学農学科。フランツは、レベッカとユリアが作った『水飴』の製造と普及を、農学科に依頼していた。
生キャラメルやキウイやイチゴをご馳走になりご満悦なレベッカ。
帰りの馬車でレベッカは父と『製菓学校』を作りたい。という夢を語り合うのだった。
それから間もなくして、友好国シンフィレアの王都で大火が起こる。シンフィレアに食料や薬を送るため、海沿いの領地は備蓄食料を売るよう国から命令がある。天然痘の流行まで、もう時間が無い。不安を感じたレベッカは、今までコツコツと貯めてきた貯金で大量の米や芋を買い領地に備蓄する。そして春。収穫祭を目前にした時期に天然痘がついに西大陸に侵入した。
その情報を教えてくれたのは、医療大臣のリヒャルトだった。更にリヒャルトは、ジークとコルネ、そしてユリアの家族がグラハム博士を流刑地から逃走させ、『種痘』の専売権を手にしていた事を教えてくれる。
種痘を緊急に確保する為、リヒャルトはコンラートとジークを連れ、ブルーダーシュタットに旅立って行った。
領地に防疫体制を敷くため、フランツもエーレンフロイト領に向かう。国境や都市が封鎖される事で食料不足が起こる事を心配していたフランツだったが、領地の管理人であるカイにレベッカが買い込んだ食料が十分にあると告げられる。
シンフィレアにボランティアに行っていた人達が種痘を持ち帰って来てくれ、安心したのも束の間、エーレンフロイト領に天然痘が発生した。
徹底した、発症者と濃厚接触者の隔離、そして種痘の接種によってフランツは感染を押さえ込んだ。
リヒャルトも追加の種痘を運んで来てくれて、最小限の被害で発症は封じ込められていた。しかし、感染は他の領地にも広まり、発症者自体は増え続けていく。
隣国、トゥアキスラントから助けを求めて難民がエーレンフロイト領に押し寄せて来たり、政敵である王妃派から嫌がらせをされたりしながらもエーレンフロイト領は天然痘の封じ込めに成功。フランツは領都で終息宣言を出し、リヒャルト達は感染が広がっている、ブルーダーシュタットに移動して行った。
王都では、食料が不足する事態に備え、レベッカが農学科の生徒であるリーバイとニコールに教えを乞うて野菜作りを始めていた。
一番に不足するであろう、葉物野菜が作りたいレベッカだったが、リーバイ達に反対され芋やニンジン、ネギを作る。数ヶ月が経ち、野菜作りは大成功。レベッカは採れ過ぎたニンジンとネギを、困窮している人達に配った。
食べ物を配って、王都で名を挙げているレベッカを妬み、かつて手紙を巡ってレベッカと揉めたアーベルマイヤー家のコンスタンツェがパンと肉の配布を計画する。しかし、知識と準備が不足していた事から配布は大失敗。失敗の責任をレベッカに押し付けようとした為、怒った国王にアーベルマイヤー伯爵と伯爵夫人は役職を取りあげられてしまう。
王都へと戻って来たフランツは、物価の上昇と困窮している人の増加に驚いていた。王都の外で、困窮している人達にパンを配っていたデイム・クリューガーとカーテローゼから、地方の村々も口減らしをするほど困窮しているという事を教えられる。
天然痘の影響と、そして天然痘そのものが、王都に迫って来ていようとしていた。
《登場人物紹介》
【リツハルト・ハイネ】
国立大学農学科の教授。フランツから水蜜(水飴)の情報を聞き、水蜜の製造と量産を勧める。
珍しい果物も作っていて、レベッカとユリアにいろいろ食べさせてくれた。
【リーバイ】
農学科の生徒。アズールブラウラントからの留学生。ガラスの温室を農学科でも所有するのが夢。
畑で野菜を作り始めたレベッカにいろいろとアドバイスをしてくれる。大学が休校になり、バイトもクビになったので、毎日レベッカの畑にやって来て、土壌の検査をしたり農薬を撒いたり、レベッカにできない事を積極的にやってくれる。
【ニコール】
農学科の生徒。シンフィレアからの留学生。数学科のアーレントミュラー教授に憧れてヒンガリーラントにやって来た。「女に教育は必要無い」という考えの父親だったので、家出同然で大学にやって来た。本当は数学科を希望していたが数学科は落ちたので、農学科に通っている。リーバイと共に、毎日レベッカの畑に来て畑作りを手伝ってくれる。
【カイ・ベルトラム】
エーレンフロイト領の領地管理人で、フランツの乳兄弟。王都の館で侍女長をしているゾフィーの夫。
フランツと共に、天然痘を封じ込める為領地で奮闘する。
【エデラー】
エーレンフロイト領在住の医者。年齢は62歳。シンフィレアで大火が起こった時にボランティアで、シンフィレアに行く。その時、天然痘の濃厚接触者になってしまったので、種痘を接種した。エーレンフロイト領に戻って来た時、種痘を持ち帰って来てくれた。
息子が二人いて、二人共医者になっている。次男はブルーダーシュタットで商船の船医をしており、長男はエーレンフロイト家の王都の館で主治医をしている。長男は、親戚の娘のフローラという少女を養女にしている。
【ベンヤミン】
ブルーダーシュタットの開業医。ジークの父親の乳兄弟。元々は王都で、貧しい人々を相手に無償治療していたが、そのせいで王都の医者達に睨まれ、命まで狙われるようになったので、ブルーダーシュタットに移動して来た。ブルーダーシュタットでもボランティア医療をしており、シンフィレアで大火が発生するとすぐさま、シンフィレアにも向かった。
エーレンフロイト領で天然痘が発生すると、エーレンフロイト領でもボランティアをしてくれた。
【ノア・コール】
ローテンベルガー家の主治医。ローテンベルガー公爵の姉テレージアの夫。アカデミーの通っているリーゼレータを含む五人の子供がいる。子供から届いた手紙を見るだけで涙が止まらないほど子煩悩。
大火に見舞われたシンフィレアにボランティアに行き、その後エーレンフロイト領で医療行為に携わった。
【ミヒャエラ・フォン、ヴァルトラウト】
トゥアキスラントの貴族の少女。シンフィレアでボランティアをした後、国に戻り天然痘患者の治療にあたる。天然痘に感染した患者が隔離されて焼棄される事になったので、患者達を連れてエーレンフロイト領に亡命して来る。
リヒャルトの従姉妹アントニアの夫だった男の庶出子。
正妻になりたかった母親に、男の子として育てられていた。母親から虐待を受けていたが、祖母に救われ、母親は流刑にされた。
トゥアキスラントには戻れないので、天然痘が治まるまでエーレンフロイト領に留まり、終息後は王都の国立大学医学科に留学した。
【ハインリヒ・フォン・ガルトゥーンダウム】
司法大臣の従甥で、司法省の役人。司法大臣直属の部下。13議会の決定を伝えにエーレンフロイト領にやって来る。
客人用の離れを「魚の干物臭い」と言って拒絶し、隔離施設にされているホテルのスイートルームに泊まるが、ジークが掃除とシーツのアイロンがけをわざとしなかったので、ダニに全身を噛まれた。そのせいで、天然痘の耐性菌が出たのかとエーレンフロイト領をパニックに陥れる。
エーレンフロイト領への嫌がらせに失敗した為、王都に戻った後、フランツとジークに監禁され焼き殺されかけたと嘘の報告をして二人を訴えた。
【ゲルハルト・フォン・カロッサ】
エーベルリン男爵一族の人間。13議会の決定を伝えにエーレンフロイト領にやって来る。
レベルの低いアウグスティアンで、ヒルデブラント家を陥れエーレンフロイト家と仲違いさせようとするが失敗。報復に、ジークに半年くらい洗っても落ちないトゥアキスラント伝統の染料で顔に落書きをされた。そのせいで、王都に戻った後も人前に出られないでいる。
【アーベルマイヤー伯爵】
13議会のメンバーの一人。娘が起こした事件のせいで、13議会を辞職させられる。
【アーベルマイヤー伯爵夫人】
王室の衣装室侍女長。美しい女性で、卓越した美的センスと権力で自分の嫌いな女に嫌がらせをする性格の悪い女性。娘には甘く、娘の失敗の責任をレベッカに押し付けようとして国王の怒りを買い、侍女長の職を辞職させられた。
【グラウハーゼ】
『森影』の一人。『灰色ウサギ』の意味。
ルートヴィッヒの担当で、ルートヴィッヒが欲しい情報を集めて来てくれる。黒ウサギと白ウサギのパペット人形を持ち歩いていて、人形を使って他人の会話の再現をしたり、グラウハーゼの本音を代弁したりする。
《用語説明》
【国立大学農学科】
理学部の中の学科の一つで、農業や食べ物に関する勉強をする学科。同じ理学部の薬学科の予算の十分の一しか予算が無く、薬学科が持っているガラスの温室を自分達も持つのが夢。その為に『水蜜』や『生キャラメル』を作って売りまくろうと思っている。イチゴやキウイといった珍しい果物を育てている。
【トゥアキスラント】
ヒンガリーラントの南にある国。エーレンフロイト領が国境を接している。
歴史的な敵国で何度も戦争をしてきた間柄。その為、ヒンガリーラント人にはトゥアキスラント人が嫌いな人も多い。
西大陸で一番最初に、天然痘が発生した。
トゥアキスとは『ターコイズ』という意味。
【13 議会】
13人の高位貴族によって運営される貴族議会。
国王も議会は傍聴できるが、口を挟む事はできない。国王の命令を否定し覆すことさえできる、唯一の立法機関である。
議員の年収は金貨一千枚にもなる。その為、議員になりたい人達の、既に議員である人達への賄賂合戦がすごい。
【森影】
王室直属の情報機関。
いろいろな組織や領地に入り込み、数多の情報を集めている。大人になった男性王族には専任の情報官が一人つけられる。