軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

温泉今日レレドレ~二度目~①

さて、温泉の町レレドレに到着した。

最初に向かったのは、不動産ギルド。

そこに、飲み友達のグロリアの弟、ハンクさんがいる。

受付でハンクさんを呼ぶと、にこやかな笑顔を浮かべて手を差しだしてきた。俺はその手を取りしっかりと握手する。

「お久しぶりです、ゲントク様」

「どうもハンクさん。今年も来ました」

「はい。別荘の管理は完璧です。いつでも使えますよ。もちろん、ブランシュ様も」

「うふふ、嬉しいですわ」

『もあぁぁ』

温泉の町レレドレにある『 鮮血の赤椿(スカーレット・カメリア) 』の別荘は、ブランシュが所有している。抱っこされたテプロドトンのエリザベスも嬉しそうに鳴い……いや、嬉しいのかどうかわかんねぇ。このもふもふウォンバットめ!!

俺とブランシュは別荘の鍵を受け取る。

すると、サンドローネとリヒターが来た。

「失礼。私、アレキサンドライト商会のサンドローネと言います。別荘を買いたいのだけれど」

「なんと、アレキサンドライト商会とは。初めまして、不動産ギルド副所長、ハンクと申します」

サンドローネにペコペコ頭を下げるハンクさん。

俺はサンドローネに言う。

「おい、別荘ってなんだ? お前、別荘買ったんじゃないのかよ」

「レレドレにはないわ。以前は、スーパー銭湯関連で忙しかったからね。アレキサンドライト商会支店の別宅で寝泊まりしていたの。そろそろ、別荘も買うつもりだったからね……リヒター」

「はい、お嬢」

リヒターは、ハンクさんと別荘について話はじめた。

とりあえず長引きそうなので、俺とブランシュは連結馬車へ。

まずは俺の別荘へ向かった。

「あたし、お姉様がいろいろ決めるまでゲントクのところいるから」

「私もお世話になるわ」

「師匠の別荘、楽しみです!!」

俺の別荘前で降りたのは、イェラン、トーラス、テッサの三人だ。

残りはみんなブランシュの別荘へ。

「おっさん、あとで遊び行くね!!」

「……いっぱい遊ぼうね」

「ではおじさま、また」

「じゃあね。ば~い」

「にゃああ」

ロッソ、アオ、ブランシュ、ヴェルデ、テプロドトンを抱っこしたユキちゃんは別荘へ。

俺は荷物を持ち、別荘へ続く小道を歩き出す。

すると、大福が俺の前に出て先に歩き出した。

「わ、大福さん、行っちゃいました」

「ここ、あいつの故郷でもあるからな。寒い国だけど、懐かしいんだろうさ」

『……にゃ』

「ねえ、この子さむがってるし、早く行きましょうよ」

『ほるるる』

「おわ、なんだなんだ。あたしの肩に」

トーラスはきなこを抱っこし、イェランの肩にバニラが止まる。

そして、小道を抜けて久しぶりの別荘玄関へ。すると、初めて大福に出会った石の上に、大福が香箱座りしていた……デジャヴを感じるなあ。

大福を撫で、俺は玄関を開ける。すると、大福はするりと中へ。きなこもトーラスの手から抜け出し別荘の中へ入っていった。

「おおお~、デカいわねぇ」

「これが師匠の別荘!!」

「そういやあたし、初めて来たかも」

キャッキャする女性陣。

二階に荷物を置き、エアコンを入れてリビングを温める。

毛布を敷くと、大福ときなこがゴロゴロしはじめた。

「お前ら、ゆっくりしてくれよ。大福は故郷だし、出かけたい場所あるなら好きにしていいぞ」

『……にゃ』

『ごろろ』

うーん、通訳いればな。スノウさんを借りればよかった。

さて!! とにかく落ち着いた。

「さ~て!! お前ら、集合!!」

「はーい!!」

「ん、なになに」

「お? 飲みに行く~?」

テッサ、トーラス、イェランがリビングに集まった。

「さて、基本的に好きに過ごしていい。温泉はいつでも入れるし、別荘にあるモンは好きに使っていいぞ!! ところで、予定はあるか?」

「私、師匠とおでかけしたいです。町の観光とか、いろんな温泉とか行ってみたいです」

「私も似たようなものね。そもそも、ゲントクのお礼のためについてきたし……そうね、どこかお酒でも飲みに行く? どんな高いお酒でも好きに奢ってあげる」

「あたしはグルメがメインかな。とにかく、美味しい物たべて、美味しいお酒、あと温泉でのんびりしたい」

それぞれのやりたいことは理解した。

今の話を統合すると……!!

「じゃあ、みんなで温泉巡りして、美味いもの、美味い酒をたらふく食べて飲むか!! トーラスの奢りで!!」

「「やったー!!」」

「全部私の驕りね……まあいいけど」

こうして、スーパー銭湯から温泉の町レレドレへ移動……再び休暇が始まるのだった。

悪いが、今回はマジで仕事なし!! 遊び尽くすぜ!!

◇◇◇◇◇◇

さて、さっそく町に出た。

ガイドマップ(玄関に置いてあった。ハンクさんの気遣いかも)を片手に歩き、レレドレの各所にある珍しい温泉へ。

以前は入れなかった温泉とかいっぱいあるし、今日はスパ銭での作業疲れを癒すために、ひたすら温泉に入るのも悪くない。

マップを眺めていると、イェランが気付いた。

「お? ねえゲントク、この『酒豪風呂』ってなんだろ?」

「なぬ。そりゃ気になるな」

酒豪風呂。

ここからけっこう近い。トーラスとテッサも「いいよ」と言うので行ってみた。

到着したのは……なんというか、すごかった。

テッサ、トーラスが鼻を押さえる。

「さ、酒くっさ……」

「よ、酔いそうです……」

そう、酒豪風呂の建物は……かなり酒臭い。

岩造りの建物に、暖簾が掛けられている。ドアはなく暖簾をくぐるだけだ。

「どうする? 俺は行きたいけど」

「あたしも興味あるかも」

「「…………」」

テッサ、トーラスが顔を見合わせ、テッサが気付いた。

「あれ? トーラス様、あそこ」

「ん? お……あっちは賑わってるね」

酒豪風呂の反対側の建物に、『果実風呂』と看板があった。

そっちの方はけっこう人が出入りしている。二人は顔を見合わせた。

「師匠、私……あっちがいいです」

「私も。果実とか、いい予感しかないわ。じゃあ、あとでね~」

テッサとトーラスは、キャッキャしながら行ってしまった。

今気づいたが……この酒豪風呂、誰も人の出入りがない。

なんかイヤな予感がしたが、イェランが俺の背を叩く。

「なんでも挑戦!! 魔道具技師っしょ?」

「そ、そうだな!! よし、行くぞイェラン!!」

というわけで……俺とイェランは酒豪風呂に入るのだった。

◇◇◇◇◇◇

暖簾をくぐると、岩造りの受付があった。

そこに座っていたのは、どこかふんわりした女将さん。

「いらっしゃいませ~、酒豪風呂にようこそ~……確認ですが、成人してますよね?」

「バリバリのおっさんです。あたしもお酒飲めるんで」

イェランが言うと、女将さんがニコニコしながら頷いた。なんか酔ってるのかこの人?

料金を支払うと、説明してくれる。

「うちはその名の通り、お酒の温泉です~。浴槽のお酒は飲めるけど飲んじゃダメ。飲むなら『お酒』って書いてある方の蛇口からお酒を飲んでくださいね~」

「これはマジなやつだな……」

えー、今のうちによい子のみんなに言っておく……お風呂でお酒、危険だからやらないようにな!!

そして、専用のデカいバスタオル、湯着、さらに酒用の湯飲みを受け取った。

「うちは混浴なので、湯着の着用をお願いします~」

「こ、混浴」

「なんだイェラン、俺と混浴は嫌か?」

「イヤだけど、湯着あるならまあいいか……」

「んふふ。今日は貸し切りですねぇ。誰もいないので~……では、あっちが脱衣所です~、ごゆっくり~」

さて、脱衣所へ。もちろん男女別な!!

俺は服を脱ぎ、湯着を着る。

かなり薄手の湯着だ。色は白く、薄手の浴衣みたいなやつだな。

そして、手ぬぐいと湯呑を手に温泉へ。

大浴場のドアを開けると、思わず顔をしかめた。

「さ、酒くっせぇ……むせかえりそうだ」

こんな酒の匂いが漂う空間、酒蔵なんてレベルじゃないぞ。

女子脱衣所からイェランも来た。

「さ、酒くっさ……あ、ゲントク」

「おう。すげえなここ……」

でかい大浴槽、シャワー、水道、かけ湯、んで大き目の酒樽がいくつか並んでいる。

なぜ酒樽? と思ったが……どうやら壺湯みたいに、酒樽に満たされた湯に浸かるみたいだ。

シャワー、蛇口からは普通にお湯が出た……ちょっと安心。

「あ、ゲントクあれ見て」

「ん? おお、酒だ」

『飲料用』と書かれた酒樽があった。

酒樽に、どこから流れているのか蛇口から酒がドバドバ出て常に補充している。

さっそく湯飲みで掬い、飲んでみた。

「うっま!! てかこれ……ドブロクじゃねぇか」

「なにそれ? ん~おいしい!! 甘めのお酒だぁ~」

真っ白なドブロクだ。

浴槽も真っ白だし、まさかと思ったけど。

とりあえず、シャワーで身体の汚れを落とし、浴槽へ。

「「ああぁぁぁ~……」」

ややぬるめ……酒だ。本当に酒、酒の湯舟だ。

「すっごい……ねえゲントク、あたしたちってすんごい馬鹿なんじゃないか、って思ってきた」

「……同感。こんな贅沢、いいのか? てか贅沢……なのか?」

気持ちいい!! チョー気持ちいい!! って感じじゃない。

はぁぁ~きもちいい~……って感じの気持ちよさ。

ぼんやりしていると、意識がもうろうとしてきた。

「「…………」」

スパ銭での疲れかな……ねむくなってきた。

ふんわりと、あまい酒の香りに包まれ……やわらかな、酒の味に。

「…………ッ、ッッ!! っぁ!! っぶっは!? やばい、寝そうに……って!?」

「…………」

イェランが沈んでいた。

俺は慌ててイェランの湯着を掴んで起こした。

「おい、おいイェラン!! 死ぬ、死ぬぞ!! って……うおお」

や、やべえ……湯着を無理やり引っ張ったせいか、胸が出ちゃった。

綺麗な先っぽ……じゃなくて、今はそれどころじゃない!!

「ううぅぅん、もう飲めなぃぃぃ……」

「起きろ、おい起きろ!! 酔って死ぬ!!」

俺はイェランに水をぶっかけ、自分も水をがぶ飲み……なんとか意識を覚醒させた。

酒豪風呂……これは長湯すると死ぬやつだ。ほんと、あっぶねえ!!