軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ザナドゥの国王ハボリム

さて、ザナドゥの国王ハボリム、そして十二星座の魔女『水瓶座』のラスラヌフの三人で飲むことになった……まさか国王だったとは驚きだぜ。

バーなのでカクテルを注文。おススメを頼んでみた。

出されたのは、キラキラした黄色いカクテル。マスターに聞くと「ザナドゥの固有樹木であるヤスィノ樹」っていう樹の実らしい。

飲んでみると……おお、うまい。甘さより酸っぱさがあるけど、これはいいな。

「あ~、ゲントク。怒ってるか?」

「え? 何が?」

「いや……オレが国王だってこと、最初に言わなかったよな」

「別にどうでもいい。俺、脅威を感じなければ国家権力に屈しないタイプだから」

「ぷははっ!! そりゃいいな。とりあえずスマンかった!!」

グラスを差し出してきたので乾杯する。

ラスラヌフとも乾杯した。

「ゲントク、久しぶりじゃの」

「おう。調子よさそうだな」

ビキニの上下、薄いヴェール……二十代半ばの極上日焼けボディは相変わらずだぜ!!

ラスラヌフはポケットからオルゴールを出しておく。

「こいつの修理、本当に感謝しているぞ。最近は夕日を眺めながら、お気に入りの岩場で曲を流すのが最高の時間なんじゃ」

なにそのリア充みたいなオルゴールの使い方……日本でもそんなことするやついねえぞ。

ラスラヌフはカクテルを飲み干し、おかわりを注文する。

「海路は順調に作業が続いておる。船外機、モーターボート、水中スクーターの販売は右肩上がり。マリンスポーツに魅了され、ザナドゥの移住者も増えに増えた」

「ああ。確かにな……観光の国の王としては、ありがたい限りだぜ」

ハボリムも嬉しそうに言う。

俺としては、売れれば売れるほどロイヤリティ入るから嬉しいけどな……なんか俗っぽいから黙って頷いておくか。

「そういや、モーターボートとか船外機、見たことのない形状のが多くあったな」

「うむ。改良じゃな。権利こそアレキサンドライト商会が保有しているが、外装に関しては自由にしていいと、いろいろな商会が新製品を発売している。マリンスポーツ向けに、様々な形をな」

「面白そうだな」

「おいゲントク。オレも聞いていいか? お前、空飛んでたよな?」

と、ハボリムが言う。

けっこう目立ったしバレるよなあ。

「ああ。マリンスポーツというか、ボートを使った遊びだ。パラセーリングっていうんだ」

「ほ~……面白いか?」

「くくく。上空から見下ろすザナドゥって最高だぜ!!」

「いいねいいね。なあ、オレにもやらせろよ」

「いいぜ。ラスラヌフもどうだ? と言いたいけど……先客がいるから今度な」

ロッソたち、バレンたちだ。まだ依頼やってるだろうしな。

それに、パラセーリングじゃなくても、子供たちやティガーさんたちをボートに乗せてやりたいな。いい思い出になるだろうし。

「今年は俺らだけで遊ぶけど、アレキサンドライト商会にパラセイル用のパラシュートとか、パラセーリングボートの仕様書置いて行く。ザナドゥなら年中遊べるだろうし、俺ら帰ったあとでも実用化してくれ」

「うむ。わかった」

「おう、楽しみにしてるぜ」

まあ、優越感ってやつかな。

俺らだけでまずは遊ぶ!! ふふふ、見せつけてやるぜ。

「スキューバダイビングとかもあるし、海での遊びはまだまだある。それに、マリンスポーツ大会……今から楽しみだぜ」

「ふむ。ゲントク、お前さえよければ参加するかの?」

「遠慮する!!」

くくく……ラノベでありがちな『主人公が急遽参加して話題をかっさらう』というフラグをへし折ってやったぜ!! マリンスポーツ大会……俺が参加すると思っただろ? 悪いがそうはならん!!

砂漠の国では酔ったせいで屈強な獣人戦士と三連戦することになったが、ザナドゥでは遊ぶ、遊ぶことがメインなのだ!! 目立ったりするのはお断りである!!

「ラスラヌフ、それとハボリム。俺はザナドゥに『バカンス』に来ている。厄介ごとは持ち込むの禁止な!!」

「お、おお……なんかすげえ気合い入った言い方だな」

「うむ。ゲントクは、厄介ごとを嫌う性格なんじゃ。ハボリム、国王だからと頼みごとをして嫌われるようなことをするでないぞ」

「は、はあ……」

国王、ザナドゥの生き字引みたいな二人にしっかり言ったし、ザナドゥでは楽しむことしかできねえぜ!!

◇◇◇◇◇◇

翌日、帰って来たサスケとイェランの三人で朝飯を食っていると、バレンたちが帰って来た。

「ただいまー!! ザナドゥでの討伐依頼、全部終わり!!」

「ふう、ようやく自由時間だね」

「……腹減ったぜ」

「おお、帰って来たか」

早朝の帰還だ。みんなけっこう汚れと疲れがあるな。

「シャワー使っていいぞ。朝飯、用意するか?」

「おねが~い。ウチ、シャワー使ってくる。バレン、ウング、いいよね?」

「うん。女の子優先だよ」

「……さっさとしろよ」

リーンドゥはシャワーへ。

俺、サスケ、イェランは三人の朝食を用意。リーンドゥがシャワーから上がり、バレン、ウングとシャワーを浴びて着替え終え、三人が朝食を食べ始めた時にはコーヒータイムに入っていた。

バレンたちは言う。

「とりあえず、ロッソたちと分担して討伐依頼を受けて、ボクらの担当は全て終わりました。いやー、なかなか数が多くて面倒な依頼でしたね」

「……アオたち、毎年こんなめんどくせえ依頼受けてたのかよ」

「でもでも、いっぱい稼げたよな。別荘資金もできたー!!」

「そういや、お前らも別荘買うんだっけか」

「ええ。今日は休んで、明日から探しに行きます。二人とも、いいよね」

「……ああ。悪いが、メシ食ったら寝るぜ」

「ウチも今日は寝る~」

三人は寝室へ消えた。

俺とサスケ、イェランは食事の片付けをしながら話す。

「さて、今日はどうする? スキューバダイビングでもやるか?」

「なんだっけ、それ?」

「ふふふ。水中で呼吸しながら優雅に泳ぐ遊びさ」

「……よくわかんねーけど、いいぜ」

「ね、面白いのそれ?」

「楽しいぞ。ささ、メシ食ったらボートに乗ろうぜ!!」

俺たちは片付けを終え、水着に着替えてボートに乗り込んだ。

◇◇◇◇◇◇

沖に出てボートを止め、錨を下ろしておく。

「さて。サスケにイェラン、最初はどっちが潜る? あ、俺は固定な」

サスケとイェランは顔を見合わせる。

「じゃあ、アタシで」

「よし。じゃあ、このウェットスーツを着るんだ」

「なにこれ……」

まあ、ピチピチだから仕方ないよな。

ラバーコブラ製のウェットスーツを着てグローブをはめ、小型の水中スクーターを取り付けたジャケットを装備。ブーツ型のフィンを足にはめ、ボンベを背負う。

「マスク型の水中メガネだ。それと、レギュレーター……これでボンベの空気を吸う」

「へ~……これも、ゲントクの世界の道具?」

「ああ。異世界要素が盛りだくさんだけどな」

ちなみにレギュレーターと酸素ボンベ、ちゃんと風呂場で実験して使えることがわかってる。

使い方を説明すると、イェランもサスケもすぐ理解した。

「ジャケットにはライトも付いてる。あとはダイバーナイフとかもあるぞ」

「へえ、このジャケットね……お、なんか付いてる」

「小型の水中スクーターだ。泳ぎをサポートする。ちなみに、全部十ツ星の魔石を使ってるぞ」

「……十ツ星ってかなり高いモンだけどね」

まあ、ロッソたちの土産の魔石だけどな。

さて、準備は整った。

「じゃあいくぞ。イェラン、怖くないよな?」

「うん。むしろワクワクしてるね」

「サスケ。一応、俺たちの身体をチタンゴーレムの体毛で作ったワイヤーで固定しておく。何かあったら合図するから引っ張ってくれ」

「任せておけ」

俺とイェランはボートの後部に座る。

互いに確認し、いざダイブ。

◇◇◇◇◇◇

『……よし、やり方は覚えてる。レギュレーター……呼吸できるな。イェランは?』

水中に沈んでいく。

水中スクーターを作動させ、泳ぎと潜水をサポート。

息を吸い、ゆっくり吐き……レギュレーターからあぶくとなって出ていく。

魔石の空気ってなんか美味しいんだよな……十ツ星だからなのか?

すると、俺の腕をトントン叩くやつ。

『ゲントク、聞こえる?』

『え……聞こえる。めちゃくちゃしっかり』

『アタシ、水魔法使えるからさ、会話のアシストくらいはできるわ』

『……呼吸は?』

『さすがにそこまで無理。アオじゃあるまいし、水の中で呼吸なんて高等魔法むりむり。でもまあ、会話くらいなら』

シュコー……と、スキューバダイビングやる独特の音が聞こえる。

さて、二人でゆっくり海底へ……かなり深い、だが。

『……すっごお』

イェランが感動する。

不思議な光景だった。

海の中は透きとおり、かなり明るい……理由は、岩が淡く輝いているからだ。

それに、カラフルなサンゴや海藻が揺らめいていたり、魚の群れが泳いでいたり、大きな魚が俺たちの前を横切ったりした。

『わぁぁ……ねえゲントク、海の中ってすごいね』

『同感……浅いところは水中スクーターで潜ったけど、ここまで深いのは初めてだ』

三十メーターくらいかな……上を見ると、太陽の光が見える。

イェランは、岩の上を歩いていた大きなカニを見て言う。

『ね、でっかいカニいる。捕まえていい?』

『ははは。そいつを捕まえて一杯やるのもいいな』

『うん。ゲントク……アタシ、明日から仕事だしさ、今日は遊ぶからね』

『おう。さて、もうちょい海底散歩を楽しもうぜ』

この日、スキューバダイビングで俺たちは遊ぶのだった。