軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

サンドローネのお祝い

伝書オウル。

頭がよく、雑食で基本的に何でも食べる。ユキちゃんが団子を食わせていたけど問題ないみたいだ。

ウェンティズ食料品店に行けば、伝書オウル用のエサも売っているようだ。今度行ってみるかな。

そして、こいつの最大の特徴はその頭脳だ。会話こそできないが、人間の言葉を理解し、この世界の仕組みも理解しているとか。

リヒターは言う。

「伝書オウルは、新聞社と契約させれば、通常の半分の値段で新聞契約ができますよ。それと、買い物もリスト持たせればできます」

「買い物もできるのか?」

「ええ。こう見えて、ゲントクさんくらいの人なら持ち上げて運ぶことができるくらいのパワーを持っています。伝書オウルに買い物をさせることは一般的ですし、おつりの誤魔化しなどすれば、お店側が罪に問われますからね」

「へえ……こいつがねえ」

『ほるるる』

「ゲントクさんは新聞を読まれますよね。新聞社の契約を伝書オウル経由にすればいいと思いますよ」

「よし。そうするか」

というわけで、これからは簡単な買い物は伝書オウルに、新聞もこいつに運んでもらうことにした。

さて、大事なことを決めないとな。

「なあ、お前の名前だけど……うーん、ヘドウィグ……は危険だしやめておくか。なあサンドローネ、なんかいいアイデアあるか?」

「そうね……白い伝書オウルは珍しいわ。クレープス様も珍しい個体をプレゼントしたのね。うーん」

「ミカエラ、お前は?」

「そうですねえ……こういうのは、考えたことがなくて」

「アベルは?」

「うーん、ボクもちょっと」

「じゃあバレン」

「あはは。荷が重いですよ」

「リーンドゥは?」

「白い、白い……う~ん、シャイニング、フラッシュ」

「えーと、ウングは?」

「……自分で考えろ」

この場にいる全員に聞いてみたが、なんともはっきりしない。

そうだなあ……白い、ホワイト、和風系……よし。

「白いので思いつくのは大福、白玉と使っちまったから……アイス、いや……バニラ。お前は、バニラ・アイスだ」

『ほるるる』

というわけで、俺は伝書オウルに亜空の瘴気ヴァニラ・アイ……じゃなくて、バニラ・アイスと名付けるのだった。

さて、名付け終わったし今日はもう終わりだ。

「ゲントク。帰るの? 少し飲まない?」

「そうだな……うん、付き合うぜ。五大商会のお祝いでもするか」

「そうね。ミカエラ、あなたもどう?」

「ふふ、お付き合いするわ。サンドローネちゃんと飲むの、初めてかもね」

「ええ。リヒター、お店を抑えて」

「はい、お嬢」

「リヒター、ボクも手伝うよ」

リヒター、アベルは出て行った。

俺はバレンたちに言う。

「お前たちも付き合ってくれよ。祝いの席は大人数のが楽しいからな」

「いやあ、でも護衛中だしね」

「ミカエラ、いいだろ?」

「そうね。バレンくんたち、依頼はここで終了。ゲントクさんの友人として、お酒に付き合ってくれる?」

「そう言われたら付き合うしかないかな。ウング、リーンドゥ、いいかい?」

「……ああ、いいぜ」

「ウチもいいよー!! あはは、お腹減ってたんだよねー」

というわけで……今日はサンドローネのお祝いをすることにした。

◇◇◇◇◇◇

アベル、リヒターが選んだ店は、なんともまあ……オシャレなお店だった。

女性同士で行くような、俺は絶対に入らないであろう店だ。居酒屋というよりはワインとか飲むようなところ……まあ、サンドローネのお祝いだし文句は言わん。

店に入り、店員さんが『いらっしゃいませ』と頭を下げて挨拶……そのまま案内されたのは個室。

ウェイターが何人もいて、椅子を引いてくれた。

「俺が絶対に入らない店だな……こういうのも悪くないや」

居酒屋でバカ騒ぎするような、そんな雰囲気じゃない。

メニュー表を見せられたので、とりあえず適当なワインを頼んだ。

乾杯をし、ワインを飲む……うっま。

「そういや、バハムートから『ドラゴンスフィア』って酒もらったんだ」

「え」

「エメラルドグリーンの、綺麗な酒だったな。飲むのが楽しみだぜ」

「あ、あなた……ど、『ドラゴンスフィア』って、竜人族の秘宝の一つよ!?」

「え……」

驚くサンドローネ。そして説明してくれた。

「竜人族が、独自の製法で作り出した、竜人族しか飲めない、竜人族のためのお酒。それが『ドラゴンスフィア』よ。あらゆる種族の王族が竜人族に交渉しても、見ることしかできなかったエメラルドグリーンに輝くお酒……って話だけど、あなた、本当に」

「いや、バハムートが『ドラゴンスフィア』って言ってたけど……」

「……何十億セドル積んでも買える代物じゃないわ。というか、人間で、しかもただの魔道具技師であるあなたが持ってるなんて知られたら、何が起きるかわからないわよ」

「……」

んなダイナマイトみたいな酒をくれたんかい。

やべえ、さっさと飲んでワインボトル処分しなければ……なんて思う。

「……処分するなら手伝ってあげるけど」

「……そ、そうだな。うん、頼むかも」

「ふふ。その時は、わたくしも」

ミカエラ、ニコニコしながら俺にワイングラスを向けた。

うーん、これは誘わなきゃいけなくなったぞ。

俺はワインを飲み言う。

「とりあえず……めんどくさい会合も終わり。サンドローネは五大商会の一員になってハッピーだな」

「そうね。ハッピーはともかく……これでミカエラと肩を並べられたわ」

「ふふ、そうだねサンドローネちゃん。でも、まだまだこれからだよ?」

「わかっているわ。アレキサンドライト商会はまだまだ発展する……ゲントク、今年の夏だけど、ザナドゥに行くんでしょ?」

「もちろん。別荘もあるし、バカンスを楽しむつもりだぜ」

「そう。なら、『第一回ザナドゥ・マリンスポーツ大会』がある時期に行くといいわ。私も、アレキサンドライト商会の代表として呼ばれているから視察に行く予定よ」

「……え、なにそれ」

「リヒター、説明」

「はい、お嬢」

ここでリヒターの説明。

まあ、簡単に言うと、去年俺が作った『水中スクーター』や『モーターボートエンジン』などを使った大会が開催されるというのだ。

アレキサンドライト商会が、参加団体に『水中スクーター』と『エンジン』を提供し、団体がそれを改造して大会に出るというものだ。

「ゲントク。あなた、他にも海で使える魔道具のアイデア、あるんでしょ?」

「そうだな……モーターボートエンジンの応用でジェットスキーとか、船を使ってパラセイルとか、スキューバダイビングとかもできそうだな」

「……まだまだ引き出しはありそうね。ふふふ」

去年はロッソたちといっぱい遊んだけど、今年は。

「バレン。お前たちも来るか? 去年はロッソたちと遊びまくったけど、今年はお前たちも一緒に海で遊ぶのも悪くないかも」

「いいですね。海……見たことはあるけど、遊ぶという発想はなかったです」

「……まあ、オレはいいぜ」

「うちは遊びたい!! 海いく~!!」

よしよし。今年は『鮮血の赤椿』と『殲滅の薔薇』で遊べるかもしれんな。

「あ、その前に……クレープスに、エルフの国に来てくれって言われてたっけ」

「「え」」

「精霊魔法で一瞬で行けるから、日帰りみたいだけどな」

「……あなた、それ本当?」

「嘘ついてどうすんだよ」

「……あのねゲントク。エルフの国は、エルフ以外は入れないのよ」

「……いや、マジで?」

な、なんか……また厄介ごとに巻き込まれそうな気がしてきた。