軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

砂漠とオアシスの国サハラ

さて、夜となり大宴会となった。

あり得ん量の酒樽、料理、そしてビルみたいな高さの櫓がゴウゴウと燃え、その周りを獣人女性の踊り子たちが踊っている。

砂漠王国の老若男女、バリオンが連れて来た獣人の技術者、そして俺たちと、身分とか関係なしに酒を飲み、歌い、笑い、食べ、語り合った。

俺はサンドローネと肩を組む。

「だっはっはっはっは!! いや~、砂漠最高!! なあサンドローネ!!」

「……そうね。ん~」

少し酔ってるのか、俺が肩を組んでも何も言わない。

リヒターは……あ、いた。なんか獣人女性に囲まれてワタワタしてる。面白そうだし放っておくか。

俺はサンドローネの隣にいたバリオンに言う。

「なあバリオン!! 俺の別荘マジ頼むぞ。ここ、最高にいいところだ!!」

「あ、ああ……よ、酔いすぎじゃないかい? サンドローネも、顔が真っ赤だけど」

「お前も飲めっての!! なあサンドローネ!!」

「ええ……そうね。バリオン、のみなしゃい」

「え、遠慮しておくよ。なんというか、ボクは理性を残しておいた方がいい気がする」

堅物真面目ダンディイケメンめ!! そのヒゲ剃ってやろうか!!

俺はサンドローネをバリオンに押し付け立ち上がり、牛獣人のバルジャンさん、そして妻のロッチャさんの元へ。

二人は仲良くお酒を飲んでいた。というか、デカい牛も一緒にいる。

「どもども、バルジャンさん、ロッチャさん」

「これはこれは、戦士ゲントクさん。ささ、一杯」

「どうも、どうもどうも。ゲントクでございます……なんちゃって!!」

「「……??」」

クソ寒いギャグで少し酔いが醒めてしまった……こほん。

俺はバルジャンさんからお酒を貰って傍に座り、デカい牛を見た。

「いやあ、デカい牛ですね」

「砂漠牛ですな。いい乳が出ますし、家族なので一緒にいるのですよ」

「家族?」

「ええ。我々砂漠の民は、動物をパートナーとして共に過ごす種族でもありますから」

よく見ると、いろんな動物がいる。

デカい虎、ネズミを肩に乗せた人、ウサギが走り回っていたり、蛇がテーブルの上で蜷局を巻いていたりと、動物だらけ。

おお、デカい虎の前にウサギが座ってるけど……あ、素通りした。そのへんはきちんとしつけされているんだろうな。

すると、ロッチャさんが言う。

「ゲントク様、あなた方、文明人のおかげで、砂漠の国は豊かに、大きくなることでしょう。本当にありがとうございました」

「いえいえ。俺としても収穫ありましたので」

感謝されて悪い気はしない。

俺は二人に挨拶し、犬獣人のドギーさん夫妻の元へ。

ドギーさん、べスさんはお酒を飲み、シアちゃんは椅子に座らせたエディーの隣で果物を食べていた。

俺が近付くとドギーさんは立って一礼する。

「これはこれは、ゲントク様」

「どうも。楽しんでいるみたいで何よりです」

「いえ……と、報告が遅れましたが、私と妻、シアの三人はエーデルシュタイン王国で、経営について学ぶこととなりました」

「ああ、聞きました。バリオンのところで勉強するんですよね」

「ええ。私が中心となり、スパイス関係の商会を立ち上げる予定です。現在、犬獣人族の半数が、商会関係者となっています。残りは、犬獣人族の兵士として、リオ様にお仕えする予定です」

「なるほど……俺にできることがあれば、何でも言ってください」

「ありがとうございます、ゲントク様」

「わううー」

と、シアちゃんが俺の太股に上って来た。

べスさんが注意しようとしたが手で制し、シアちゃんの頭を撫でる。

「わうう。あのねおじさん、わたし、サンドローネのお姉さんに頼まれて、エディーのおせわがかりになったの。お姉さん、お仕事いそがしくて、エディーとあまり遊べないから、わたしが遊んでやってくれって」

「ははは、そうなのか。うん、シアちゃんならいい遊び相手になるだろうな」

「くうん」

シアちゃんは嬉しそうだ。

シアちゃんを撫でているのが気になったのか、エディーも椅子から降りて俺の元へ。

撫でてやると、尻尾をブンブン振った……このチャウチャウめ。モフモフしやがって、このこの。

◇◇◇◇◇◇

その後、ロッソたちと飲み比べしたり、俺と戦った三戦士たちと喋ったり、俺に挨拶しに来る獣人戦士たちと喋ったりで、けっこうな時間が経過した。

今日まで、何度か醜態をさらしたので、なんとか自分の宿へ戻ろうと考えていると、リオが俺の元に来た。

「ゲントク、飲まないか?」

「……まあ、少しだけな」

空いていた席に座り、ジョッキを合わせて乾杯。

リオはグビグビとエールを飲み、俺に言う。

「お前と、サンドローネ嬢には感謝しないとな。それと、ファルザン……ここに来たのが、お前たちで本当によかった」

「感謝するのは俺もだ。まさか、スパイスの原料が手に入るなんてな。これで、しばらくはカレーを家でも食べれる」

「ははは……そうか」

俺はエールを飲み、ジョッキをリオへ向ける。

「なあ、ユストゥスのこと頼むぞ。それと、またここに来るから、別荘もな」

「ああ、任せておけ」

「おう。それと~……あー、頭動かん。飲みすぎたかな」

「やれやれ。酒に強いのか弱いのか。ショウマと同じだな」

「……ショウマ? 誰だっけ、それ」

どっかで聞いたような……うーん。

「ショウマは第三降臨者、一年ほどこの世界にいた転移者だ。私が鍛えてやった弟子でもある」

「へ~」

「何やら、ここには間違えて転移してきたようだな。ニホンではなく、女神のミスで転移先を間違えたとか、よく意味がわからなかったが、いい子だったぞ」

「なんだそれ……女神のミスで転移先を間違えてこの世界へ? じゃあなんだ、そのショウマってのは、さらに別の世界に行ったのか?」

「恐らくな。ここで魔法と剣技を学び、エルフ族に伝わる『精霊魔法』を学んで出て行った。きっと、本来いるべき世界で、ショウマは冒険をしているんだろうな」

「ふーーーーん」

クソどうでもいい。

そのショウマとかいうの、別な世界で無双する系の主人公じゃないだろうな。

まあ、俺の人生に関わることはないだろうな。

「ふあ……なんか、眠くなってきたなあ」

「もう寝ろ。それとも、一人では寝れないか?」

「アホ」

俺は立ち上がり、宿へ戻るのだった。

◇◇◇◇◇◇

それから、出発準備を終えれ砂漠を去る日。

ヒコロク、ヤタロウと連結馬車をドッキング。荷物やお土産を乗せ、俺とサンドローネ以外の乗員も全員乗った。

俺とサンドローネは、バリオン、リオと握手する。

「じゃあな、リオ。また飲もうぜ」

「ああ、楽しみにしている。それと……今度は、私と手合わせしよう」

「絶対に遠慮する」

「バリオン、ユストゥスのことをよろしくね」

「わかっている。キミの指示通り、商会にも指示をするよ」

別れを告げ、馬車に乗る。

馬車では、ドギーさんやべスさん、エディーと並んで窓の外を眺めるシアちゃんがいる。せっかくなので先発隊として一緒に行くことになったのだ。

馬車が走り出し、俺は遠ざかるリオたちを見る。

「……砂漠、いいところだったな」

「そうね。でもあなた、別荘も依頼したんでしょう? 数年後には立派なリゾートになっていると思うから、いい買い物をしたわね」

「だな。あれ、お前は?」

「もちろん。私も別荘を買ったわ」

まあ、そんな気がしていた。

サンドローネは、足下にすり寄ってきたエディーを撫で、ソファに移動。エディーを撫でていると、シアちゃんも来たので一緒に撫でていた。

砂漠を出て森に入り、エーデルシュタイン王国への街道に差し掛かる。

すると、ロッソとアオが来た。

「おっさん、問題発生」

「ん? どうした、何かあったのか?」

「……この子」

と、アオが砂漠猫を抱っこしていた。

「……馬車の中にいた。連れてきちゃったみたい」

「何ぃ? おいおい、砂漠猫って……あ、こいつ、馬車の傍にいたヤツだな」

『みゃあご』

砂漠猫が鳴き、アオの手から降りると俺の脚に身体を擦りつけた。

可愛い……けど、このまま連れて行くのは駄目だろ。

「仕方ない。砂漠まで引き返して……」

『なあああ!!』

「いっで!? なな、何すんだお前!!」

砂漠猫に足を引っかかれた。

まるで「引き返すな」って言ってるみたいだ。

「……おじさん。この子、おじさんのネコになりたいんじゃない?」

「はい?」

『うなあご』

猫は「そうだ」と言わんばかりに頷いた……おいおい、なんなんだこいつは。

とりあえず、このまま連れて行くしかないか。

こうして……俺の砂漠冒険は、ひとまず終わるのだった。