軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

戦い終わって

きっかり五分……だと思う。

俺の目の前に、血塗れで倒れる大勢の兵士たち……凄惨な光景だった。

子供たちに見せるな、と前に言ったことあるけど……うん、まあいいや。

現在、俺は再び鎧を着て、マスク部分を展開した状態でいた。

「子供たちぃぃぃぃぃぃ!!」

「「パパー!!」」

ティガーさん、クロハちゃん、リーサちゃんと抱き合って大泣きしている。

リュコスさん、ルナールさんも一緒に抱きしめてるし……というか、さっきまで返り血まみれで兵士に食らいついていた人とは思えないほど泣いてるぞ。

「ユキ、よかった……!!」

「にゃぅぅぅ……おかあさん」

スノウさんも、ユキちゃんを抱きしめている。

すると、ボロボロの兵士たちをひとまとめにして、最低限の回復をして締め上げていたロッソたちが俺の元へ。

「おっさん、お疲れ。なんかすごい鎧だねー」

「おじさま、お怪我はありませんか?」

「ああ、大丈夫だ。その……悪かったな、手間かけた」

そういうと、バレン、リーンドゥも来る。

「お気になさらないでください。ゲントクさんにはお世話になってますし、いつか奢ってくれればそれで」

「そーそー、ウチめっちゃ食うから、食べ放題の高級焼き肉おごって~」

「ははは。もちろんいいぞ……あれ、アオとウングは?」

「あの二人なら、逃げた親玉追ってるわ。アホだねー、あの二人から逃げられるわけないし、死ぬほどつらい拷問受けるんじゃない?」

受けるんじゃない? って……マオシン、本来は強いはずなんだが、ただひたすら相手が悪かった。

するとリーンドゥがブランシュに言う。

「ね、ブランシュ。この建物ブチ壊しちゃう? 怪しげな組織の建物とか、いらないよね」

「それはそうですけど、今じゃありませんわ。『クーロン』でしたっけ……それに関係する情報もあるでしょうし、王国警備隊に任せましょう」

「そっかー、残念!! ねーねーおっちゃん、そのカッコいい装備、もしかして魔導武器?」

「その通り!! 俺専用アーマー……だけど、微妙な初陣だった」

もっとボスキャラみたいなヤツ相手に無双したかったぜ。

と、ティガーさんを見て思い出した。

「あ、そうだ……あの、ティガーさん」

「ううう……は、はい」

め、めっちゃ号泣してる。

ティガーさんは涙をぬぐい、鼻水をハンカチで拭いて立ち上がる。

俺は、頭を下げた。

「申し訳ありません。今回、子供たちが攫われたのは、完全に俺の落ち度です」

「そんな!! ゲントクさん、そんなことおっしゃらずに……誰のせいでもありませんよ」

「……いえ、謝らせてください」

「……きょ、恐縮です」

俺はたっぷり三十秒、頭を下げた。

するとクロハちゃん、リーサちゃん、ユキちゃんが俺の足元へ。

「にゃう、おじちゃん、たすけてくれて、ありがとー」

「がううー」

「きゅうう」

「……本当によかった」

子供たちを撫でる……そして、また思い出した。

「あ、そうだ!! あの、ティガーさん……お願いがあるんですけど」

「は、はい?」

俺は、屋敷を見て思い出す……動物の子供たちを。

ティガーさんと子供たちを屋敷に案内し、動物が閉じ込められている部屋へ。

「これはなんと……ひどい」

「実験動物だそうです。親はわかりませんけど……この子たちのこと、ティガーさんの商会にお任せするとか、大丈夫ですか?」

「もちろんです。動物のことは獣人にお任せください。野生に返すか、我々の元で共に暮らすか」

「がうう、オオカミ!!」

「きゅうう、キツネもいるー」

檻を開けると、子供のオオカミ、キツネがクロハちゃん、リーサちゃんにじゃれつく。

ユキちゃんも子猫に囲まれ、楽しそうに笑っていた。

どうやら動物の心配はなさそうだ。

と、ここでようやく。

「ぜ、ぜ……と、到着しました」

「遅い……もう終わってるじゃない」

「あ、サンドローネとリヒター」

汗だくのリヒターが自転車に乗り、ようやく到着した。

サンドローネは降りるなり、俺の元へ。

「無事なようね」

「おう。心配かけたな」

「別に心配はしてないわ。それと、その鎧……面白いわね」

「悪いけど、仕様書はないぞ。これ、俺の専用だし」

「そう。ところで、この鎧が飛んだ影響かしら……あなたのお店の屋根や天井、ひどいことになってるわよ」

「嘘マジで!?」

こうして、『クーロン』のアジトを潰し、ようやく平穏が戻るのだった。

◇◇◇◇◇◇

◇◇◇◇◇◇

「くそくそくそくそぉぉぉぉぉぉぉ!! 何なんだ、あのバケモノは!!」

マオシンは、腕を押さえて逃げていた。

両手を失った。痛みすらない。そもそも、いつ落とされたのかもわからない。

アジトを失った、全てを失った。

この時点で、『クーロン』の後継者の資格を失ったようなものだった。

「ど、どうする、どうする」

まずは闇医者。そして、『クーロン』本部へ報告へ。

父を説得しなければならない。間違いなく、このことはもう知っている。

と、第四区の路地裏で止まり、息を整えている時だった。

「……どこ行くの?」

「ヒッ」

アオが、マオシンの隣にいた。

普通に、当たり前のように、壁にもたれかかっている。

そして、反対側には。

「お前はもう、終わりだな」

「ヒィッ!?」

ウングがいた。

アオと同じく、全く気配を感じさせず……まるで壁と一体化していたような自然さで。

「慈悲、あげる」

「くせぇ路地裏で、誰にも気付かれることなく死ぬなら、ここでやってやる。逃げるなら逃げていいぜ……ただし、逃げたらお前は確実に、三日以内に死ぬ」

「う、う」

「両腕はもらったから、次は両足」

「その次は中身だな。次は骨だ。毎日一本ずつ、どこにいようと、どこに隠れようと、必ずへし折る」

「骨の次は内臓」

「だな。一つずつ潰す。死なないように、丁寧に、丁寧にな」

「筋肉、皮膚、血管」

「ははは、ここからは拷問だ。なあ、楽しいだろ……お?」

マオシンは気を失った。

アオ、ウングは顔を見合わせる。

「どうする?」

「決まってんだろ。報復に来られても面倒だ」

「うん。背後にまだいるみたいだけど」

「手ぇ貸せ。片っ端から潰す」

「わかった。一緒にやるの久しぶりだね」

「言っておくが、共通の目的があるから手ぇ貸すだけだ」

「うん」

ウングは一瞬でマオシンの首を掻っ切り、そのまま消えた。

アオはしゃがみ、マオシンが完全に事切れ、さらに数分経過しても見つめ……きっかり三分後に立ち上がった。

「……帰ろっと」

こうして、マオシンと『クーロン』は討伐された。

マオシンの死体が発見されたのは実に四日後。野良犬やネズミに散々齧られたあとだったという。