軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

15-26 ギゴショク共和国 暴走リュービさん

ギゴショクの代表であるお三方と、カンウさんやソンサクさんが片膝を着き俺へと頭を垂れている。

で、どうしてこうなっているのかと考えると、ヴォルメテウスによる乱入があったとはいえサラクリムにはシロが勝ったから主である俺が新しい王に。って、事なんだとは思うんだけど俺それここに来る前に断りましたよね?

面倒だってちゃーんと言いましたよね?

だから答えるまでもないのだけれど、誤解が生まないようにきっちりばっちりはっきりと答えましょう。

「うん。嫌です」

万感の思いを込めて満面の笑みを浮かべ、俺を見上げる5人に答えてあげる事にした。

「そんな、王!」ぷるぷる。

「王じゃないですー」

勝手に王扱いとかやめてよね。

既成事実とか事後承諾とか良くないよ!

どんなに王と呼ばれようと、しょうがないなあなんてならないんだからね!

「むぅ……王ぉ~……」ぷるるん。

「駄目でーす」

そんなこれ見よがしに揺らしたって駄目なものは駄目なんだからね!

俺から絶妙に見やすい角度で谷間をアピールしたって無駄なんだからね!

「むぅぅ……どうしても駄目ですか?」ぷるるんぬ。

「どうしても駄目ですよー」

「むぅぅぅ……泣いちゃいそうです」ぷるる。

「用件も済んでますし、泣かれたら香辛料だけいただいて帰りますね」

女性の涙に基本的には弱い俺だけど、今のリュービさんの涙に負ける訳がないんだよなあ。

負け=王だからな。

どれだけむぅが長くなろうとも負けないぞ!

「むぅぅぅぅー! ソンケンさん! ソーソーさん! 援護してくださいー!」ぽよん。

瞳に貯めた涙を俺にではなくお二人に向けて使うリュービさん。

二人は顔を見合わせると何とも複雑そうな表情を浮かべてから俺へと顔を向けて来る。

「あー……アレだ。仕事とかは何もしなくてもいいぞ? 細かい取り決めとか面倒な事は私達三人で全部やるし、最終的な決定だけしてくれたらいいから楽は出来ると思うんだが……」

「ん? お仕事ないの? じゃあ毎日一緒にお昼寝出来る?」

「あー……いや、多分あるな。うん。悪い、無いは言い過ぎた」

まあそうだろうなあ。

実務的なものは代表である三人がやり、サラクリムの時のように最終的な判断だけだとしてもそれ以外にも仕事や役目が無いわけがない。

シロもキラキラと瞳を輝かせていたが、あまりに撤回が早く頬をぷくっと膨らませて不満を露わにしてしまう。

「ちょっとソンケンさん! ここは王になるメリットをお伝えしないと!」

「馬鹿言うなよ。後で事実と違ったらとばっちりが私に来るじゃねえか!」

まあソンケンさん達がいくら戦っても勝てなかったサラクリムをあっさり倒したシロが目を輝かせてたらプレッシャーになるだろうな。

あとで嘘だった……何てことが発覚したら、詰め寄られるのは目に見えているしなあ。

「むぅぅぅー……ソーソーさぁん」

「無理だと知りなさい。リュービのいう通り彼がこの国に留まれば二龍の加護を得られると納得はましたが、早急に迫った結果嫌われて縁が無くなればどちらも無くなるものだと知りなさい」

「ソーソーさん!? それは言っちゃ駄目ですよう」

「気付かれているのだから、今更だと知りなさい」

まあそんなところだろうとは思ってたけどね。

確かに俺がこの国に留まれば、魔力球の為に龍達が訪れるだろう。

そして他国から見れば龍が訪れる国ってだけで、一目も置かれ、関係性が悪くないというだけでも立場や扱いが良くなるという感じかね。

……うん。やっぱ強かだねえ。

理由も国の為民の為って感じなんだろうし、利用されようとしているとはいえ不快感はそこまで感じはしないのはリュービさんの人徳なんだろうね。

まあそれでも絆されて王なんてならないけども。

「み、皆さんはどうですか? 皆様の主が一国の王になるというのは良いのでは!?」

おお、まだ諦めないのか。

その執念には関心するけどなあ。

「私は良いと思いますけどね! お館様が王になれば私達は王妃になる訳ですし、同僚にすっごい自慢できますし!」

元々なる気はこれっぽっちも無いのだが、シオンの自慢の為に王にはなりたくないな。

「私は別にどちらでも構わないがな。主君が王になりたいと言うのであればそれに従いこれからも変わらず主君を守り、主君を支えるだけだからな。だが、主君が断っている以上それを曲げるわけにはいかないだろう」

「そうっすねえ〜。まあ実務はないと言っても王様なんて面倒やら責任やら大変っすしご主人には合わないと思うっすよ」

流石はレンゲ、妹が女王様なだけあるな。

アイナも俺の意思を尊重してくれてありがたい。

「むぅぅぅ……! お二人はいかがですか!? 玉座に座るお姿を見たくはありませんか!?」

「見たいか見たくないかで言うのであれば見たいですが……アイナも言った通りご主人様が望まないのであれば私も望みません」

「そうね。それに主様が王様とか柄じゃないでしょ。絶対面倒くさがるでしょ」

その通り。

柄じゃあないし面倒くさい事この上ないだろう。

ほとんど働かなくても良いのは俺の願望かもしれないが、王様はスローライフとはかけ離れてるからな!

「ううう……取り付く島もないです……」ぽよ……。

がくっと膝を着いて四つ這いになるリュービさん。

その際に谷間を俺の方へと向ける徹底ぶりには感心する。

「諦めろって。なってくれたら儲けものってくらいの話だったろ?」

「そういうことです。今ならまだこの国に対して好意的に思ってくれるかもしれませんから、謝り訂正した方が良いと知りなさい」

「……まだです。まだ諦めません! そうです!」ぶるん。

がばっと顔を上げ立ち上がると俺の目の前までやってくるリュービさん。

えっと……今までにない程ににこにこと愛想を振りまいているようだが……何をする気だ?

まさかとも思わないがまあ一応まさか色仕掛けをする気なのか?

「王様になったらぁ……私達の事、好きにしていいんですよう?」ふにゅん。

……予想通りの色仕掛けっ!

見事なまでに前かがみになりおっぱいを寄せて谷間を深くしアピールしてくれているのだが、なんか予想通り過ぎてちょっと面白くなってきた。

見て良いというか、見せる為の谷間なのだから遠慮なく見させては貰うが効果はない!

横でソンサクさんも一緒にアピールしているのだが……同じポージングでもちっぱいでは……いや、何も言うまい。

「ちょ、ちょっと待てよ! その話は聞いてねえぞ!」

「ええ。説得する為に協力はすると納得しましたが、その話は聞いていないと知りなさい」

そしてどうやら好きにして良いとはリュービさんの思い付きらしい。

そりゃあソンケンさんは一夫一妻が良いらしいし認められない事だろう。

ソーソーさんにしたってまだ出会って間もない相手に好き勝手されると聞かされたら怒るのは当然だと思う。

「私は構いませんよ?」ぷゆゆん。

「そりゃリュービはそうだろうけど……っち、ああそういう事か……」

「リュービが王の寵愛を受けるのに我々が受けなければ差が生まれると……小賢しい真似を」

あー……三国のバランス的な感じで、一人の代表が受け入れてしまうと他も受け入れねばバランスが崩れるからって事か。

「ふふーん! そういう事です! という訳で――」ぷ……。

ぱあっと俺の方へと振り返るリュービさん。

まあ勝てる算段が生まれたといったところなのだろうけど、残念ながらそれは叶わない。

俺がどうのではなく、ごく自然の流れで。

「……考えが浅すぎると知りなさい」

「へ?」

「だな。おお怖……私達は関係ないからなー」

「ええ。存じています」

「ん」

圧が……ヴォルメテウス程ではないにせよ、サラクリムと相対した時以上の圧を背中から感じる!

徐々に徐々に増して来ていたので、好きにして良いと聞いた時から反応せぬよう心を引き締めておいて正解だった!

「あわわわ……カンウさぁぁん!?」

「自業自得かと……というか、私達に私も含んでませんでしたか?」

「それは勿論! 男の方はカンウさんのような強くて格好いい方が組み伏せられる姿に弱いと聞きましたからね!」

「……恐らくチョーヒですね。それはまあ後回しにするとして……一先ず撤回を。じゃないと……」

「わ、わかりましたよう……王を王にするのは諦めます……。ずびばぜんでした……むぅぅぅ……」ぽよ……。

俺の呼び方がまだ王のままなんだが?

諦めきれてないような……まあカンウさんに泣きついていて、これ以上は言ってこないようなのでいいか。

大分暴走していたようだが、幸せフェチ的にどうしてもな状態だったのだろうしあまり気にしないでおいてあげよう。

「恩人に対して失礼をいたしました。以前お受けしました香辛料の方はこちらで通達を出し、きちんと輸送させていただきますので安心して欲しいと知りなさい」

「ああ、手配してくれてありがとう。まあ無事に終わって良かったよ」

「悪かったなー。お詫びにゴに来た時は歓待させてもらうぜ。美味いもんも沢山食わせてやるからさ!」

「ギも同様です。香辛料だけではなく美味しい物や興味を引くものが沢山あると思いますので是非来て欲しいと知りなさい」

「おおー。それは楽しみにさせてもらうよ」

「ショクにも……ショクにもまた来てくださいぃぃ……」……。

べそをかきながらも必死に泣くのを我慢しながら訴えてきたので、苦笑いしつつも頷いてみせる。

実際全然見て回れてはいないので、今度はミゼラも連れて訪れたいとは思っていたから楽しみにさせてもらうとしよう。

こうして、オリゴール達からの頼まれごとは無事に完了し、お目当ての香辛料もどうにかなったので後は帰るまでが遠征って事で、ミゼラの待つアインズヘイルに帰るだけなのだが……。

「さーて、腹も満ちたし俺らも巣に帰りまちょうねサラちゅわん。あ。そうだお前に加護をやるよ。俺様の加護をな」

お前って……俺を指さしてる?

ん? 加護をくれるって言った? ヴォルメテウスの?

ヴォルメテウスの加護って事は、カサンドラがキスをして俺にくれた地龍の加護のように火龍の加護をくれるって事であってます?

つまり……俺はこのおっさんとチューしないといけないって事であってます!?