軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

15-15 ギゴショク共和国 クッキングバトル結果

今回の大会は出来た順から審査をしてもらえるのだが、せっかくなのでウェンディとタイミングを合わせて出す事に。

もう結構な料理人が料理を審査してもらっているそうなので、実は俺達が最後だったりする。

そのせいなのかどうなのかわからないが紹介された際にじろじろ俺を見ていた料理人たちが集まっているのだが……値踏みされているような視線を感じるなあ。

あれだけの大口を叩いた俺(俺は叩いてない)が何を作ったのか見せてみろ。ってところなのだろうか?

まあ自信作ではあるから胸は張れるが、視線が多いから気になるんだよなあ。

「ほっほっほ! 美味いのう! 馴染みはないがほっこりする味じゃな」

「確かに。優しさが伝わるような美味しい煮込みですね」

「うーん! こんな美味い料理をあんな美人が作ったと分かっていると美味さも数倍になる気がするな!」

審査員さんは三人の男なのだが……えっと、コーチューさんとバチョーさん、そして司会だったチョーヒさんが審査員らしい。

黄忠に馬超か……?

もう絶対この国の建国から流れ人が関係してるだろう。

そして恐らくこのお三方は武人なんだろうなあ……コーチューさんとか弓を使ったりするんだろうか?

まあそれは置いといてウェンディが作った料理は俺も良く知っている料理ではあるが、この世界では食べた事がなく意外なものだった。

「なんとも家庭料理のような安心感がありますなあ……」

「そうですね。特にこの味がしみ込んだモイが美味いです。それとくにくにとした食感のこの糸状のニャッコンも良いアクセントですね」

「やはり肉よ! 薄切りではあるが、しっかりと肉のうま味が煮汁に溶け込んでいて、そんな煮汁を吸った食材が更にうまくなっているな!」

……まさか、ウェンディが作る究極の料理が『肉じゃが』とはなあ。

何時の間に作れるようになっていたんだ?

そして勿論俺の分もあるんだが……美味い。

ほっこりする味というか、優しさを感じる味わいだ。

モイを箸で割るとしっかりしっかり味がしみ込んでいてホクホクであり、肉も美味い。

そしてニャッコン……蒟蒻まであるんだな。

もしかして蒟蒻は共和国で見つけたのかな? アインズヘイルじゃあ見た事は無かったと思ったが……んんー食感が良いねえ。

「いかがですかご主人様?」

「すっごい美味いよ。凄い穏やかな気持ちになる。ウェンディがまさか肉じゃがを作れるなんて思わなかったよ」

「んふふ。美香さんと美沙さんからお聞きしていたんです。肉じゃがこそ家庭の味。ご主人様はこれで間違いなく落ちるとおっしゃっていて密かに練習していたんですよ。どうですか? 落ちちゃいましたか?」

「落ちた落ちた。これから先この肉じゃがが恋しくなるのが予想出来るよ」

「やった!」

ぴょんっと小さく跳ねて喜び、おっぱいを揺らすウェンディ。

とても可愛らしく、まさしく俺にとっては究極の料理と言っても差し支えはないのだが……。

おい審査員共。これは俺のおっぱいだから揺れるのを見るんじゃねえ。

「ぐぬぬぬ……この料理に込められた愛情があいつの為というのが分かるのが悔しいのう!」

「そうですね。ですがそれを考えてもかなり美味かったです。羨ましいですけども。ええ」

「いいなあ……あんな美人でおっぱいが大きくて料理が美味い嫁さんいいなあ……」

はっはっは! 絶対にやらん。絶対にやらんぞ!

しかしウェンディの料理はなかなか高評価のようだな。

これは俺の方も負けていられないのだが……。

「あーるじー! あーるーじー!!」

「お館様ー! お館様ぁぁああ!」

……二人が俺の服を掴んで放さない。

零すのは気にしてくれているようで引っ張ったりして揺らす事はないのだが、服を決して放してくれないのだ。

「主! もっと少なくて良い! そんな大きな器じゃもったいない!」

えっと……味噌汁茶碗くらいの大きさだぞ?

具も入っていないスープだし、本当はもっと深さのある皿でお洒落に出そうと思ったのに、お前達が散々言うから小さくしたんだが?

「そうですよお館様! もっと小さいやつ……あ、私良いの持ってますよ! アマツクニでお酒を飲む時に使う……やつで……はい! これくらいで十分ですね!」

そう言って取り出したのはお猪口……。

いやお猪口でコンソメスープを飲むってどうなんだ?

どう考えても一口分しかないのだが、こいつら目的を忘れてないか?

「あのなあ……この大会で優勝出来ればサラグリムに謁見できるんだぞ? 出し惜しんで負けでもしたらどうするんだよ……」

「ん。大丈夫。ウェンディの料理も高評価だった」

「そうですよ! ウェンディさんが優勝! これで行けますって!」

いやまあウェンディが優勝出来るならそれにこしたことはないんだけどさ。

俺らが知らない審査もあった訳だし、他の参加者はプロの料理人な訳でウェンディの料理が優勝かどうかはわからないだろう?

それならば万全に行くべきだと思う訳で……そんなお猪口一杯で優勝は流石に無理だと分かるだろう。

「むう? 何をそんなに騒いでいるのだ?」

「まったくね。皆見てるわよ? 恥ずかしい」

うん。それを俺に向かって言わないで二人に向かって言ってくれるかな?

え? 俺が原因だと思ってるの? 嘘だろ!?

「あっはっはっは。まあ気持ちは分かるっすけどねえ。アレを味わってしまったら……ご主人。もっと小さくてもいいんじゃないっすか?」

「レンゲさんはもうご主人様のスープを味わっているんですよね……。ずるいです。私も早く飲みたいです。ご主人様のスープ……」

じっと上目遣いでおねだりされると、審査員よりも先に味わってもらいたくなるが流石に審査をしてもらう前にこっちで盛り上がる訳にはいかないだろうからもうちょっと待ってくれ。

「……ウェンディが主様のスープとか言うといやらしく感じるのは何故かしら?」

「む? 何がいやらしいのだ? 主君が作ったスープを早く飲みたいというだけだろう? 私も早く主君のスープが飲みたいぞ?」

「…………そうね。そうでしかないわね」

「ソルテたん……」

「な、何よその顔は! 言いたい事があるならはっきり言いなさいよ!」

「え? 言っていいんすか?」

「ごめん……やめてもらってもいい?」

「……やらしい子になっちゃったっすねえ」

「やめてって言ったのに!?」

おおーい。そこらへんでやめような?

皆見てる。あと審査員たちがイチャイチャしていると勘違いしているのか青筋を立てているからね?

「はぁー……ああいう奴がいるから独身男性が増えるんじゃろうなあああ! 射る? 射っちゃう?」

「まあまあ。落ち着いてくださいご老公。ご老公が手を下すまでもありませんよ。私が穿ちます」

「待て待てお前ら。あの子達滅茶苦茶強いぞ? 多分やられるの俺らだぞ? 大人しく審査に徹しようぜ?」

「「ぐぬぬぬ!」」

……意外や意外まさかの豪快そうで好戦的に見えるチョーヒさんが常識人枠だったのか。

張飛といえば武力が高く酒好きで暴れん坊なイメージがあったのだが……。

まあ実際の張飛ご本人ではない訳だし、そりゃあ予想と違う事もあるよな。

……というか、この状況で審査をしてもらうのって大分ハンデを抱えていないか?

配膳中もすっごい二人から睨まれてるし……。

生半可な料理では認められなさそうだが……まあ、生半可な料理ではないから大丈夫か。

「むう? 蓋がしてあって中身が分からぬのう」

「これは香りも楽しめという事ですかね?」

「まあ開けてみようぜ? もういいんだよな?」

「ええ。それでは、ご賞味ください」

そりゃあ蓋はしますとも。

なんせ俺の料理は文字通り光っているからなあ……。

どうせなら驚いてもらいたいし。

「「「っ!?」」」

三人が蓋を開けると同時に驚愕の表情を浮かべるがうーん満足だ。

「光るスープ!? なんですかこれは!?」

「こいつは驚きだ……。こんなもん見たことねえ」

周囲の反応も予想通りどよめいているようだが、料理が光るのは普通ではないと確認が出来たな。

シロとシオンは驚いていたが、実は共和国では普通の事だったりはしなかったようだ。

さて。それじゃあそろそろスープの説明といきますか。

「ええーそちらは見ての通り光るスープです。まさしく黄金色のスープと呼ぶにふさわしいものですが、見た目だけではなく味もインパクトがあると思いますのでご賞味ください。そのスープの名はコン――」

「こ、これはまさか……! 馬鹿な! 信じられん!」

「知っているのかコーチュー!?」

あら? まさかのコーチューさんは知っている料理だったのか?

それは……優勝が危ぶまれるんだが……まじかー……。

「うむ。これは海沿いのゴの国の小さな町に伝わる伝説のスープ 佛跳牆(ぶっちょうしょう) 。様々な海産物などの乾物を主体として数日かけて作るスープじゃろう。その香りは数里をまたぎ、大地信仰で海の物を取らぬ一族さえ飛んで来ると言われているレシピは門外不出のスープが佛跳牆じゃ! そうじゃろう若いの?」

興奮気味のコーチューさんが俺に問いかけて来たんだけど……ぶ、佛跳牆? なにそれ……。

え? 俺乾物なんて使ってないよな?

作ったのって、ただのコンソメスープの予定だったよな?

周囲の料理人の皆さんも先ほど光っているのを見た時より驚いているようなんだけど、俺もまさかと驚いています。

ここはこの流れに乗った方がいいのか?

レシピは門外不出らしいし……いや、絶対どこかでボロが出る気がするから正直に答えよう。

「……違います。コンソメスープです」

「へ? こ、コン……ソメ? なんじゃそれ……?」

「はい。乾物は使っておらず、肉や骨を用いた具なしのスープです」

「肉や骨の……そ、そうか。すまんかった。わしの勘違いじゃったか……」

「爺さん……」

「い、いえ……その佛跳牆? がどのような味かは分かりませんが、負けず劣らず美味しいと思いますので……」

「う、うむ! では味わわせてもらうとするかのう!」

こうして、無事に実食となった訳なんだが……微妙な空気のなか佛跳牆ではないもののどうやらご満足はいただけたらしい。

「むほほほ! こいつは美味いのう! それに光っていて気づきにくいが、油一つ浮いていないとは随分と手の込んだスープじゃな!」

「ええ! 思わず噛んでしまったほどの衝撃に驚きましたが、更に胃に落ちてまでなんという存在感……っ! 具なしのスープとは思えない程のボリュームを感じます!」

「肉だ肉! 口の中が肉の祭り状態だぜ! やはり肉はいい! 力になるな! もっと食わせろ!」

との事で、大好評でございました。

そして無事に優勝することは出来たんだけど……途中から佛跳牆がどんな味か気になってしょうがなかったんだよね。

確かゴの海の方の小さな街って言ってたよな。

色々全部終わって時間が出来たら行ってみようかな。