軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

15-7 ギゴショク共和国 トラブルダイバー

はぁぁぁぁ…………美味い。

いつも家で飲んでいる紅茶も美味いのだが、烏龍茶のようなこのお茶も飲みやすくほっとする味で良い……これは良い物だ。

流石はヤーシス。

美味い物を知っているなあ。

帰り際にどこで売っているどんな銘柄の茶葉か聞いておこう。

今飲んでいるのはアイスではなくホットなので、アイスで飲んだらどうなるかも試したい。

というかもしかしてこれも共和国のものだったりするのか?

烏龍茶っぽいし……うーん。

共和国って美味いものが多いのだろうか?

そうなると……やっぱ頑張んなきゃだよなあ。

「……で、ヤーシス? なーんか言いたそうな顔だな」

「いえいえ。くくっ、いえ別にそんな……ふふふふふふ」

口元が緩んでるぞー。

それを隠すために顔を思い切り逸らしたら意味ないだろうがよう。

「怒らないから言ってみろよ」

「いいんですか? 共和国に使者として行くらしいですね……くふ。いやあ本当に貴方様はトラブルがお好きなのですねえ。流石は」

「「アインズヘイルのトラブルメイカーですね」か?」

「ぶははははは! よく分かっていらっしゃるじゃないですか!」

くっそう楽しそうに腹を抱えて大笑いしやがって。

分かるさ分かるともそりゃ何度も言われてるからな!

おーい後ろでお前の奥さんも顔逸らしてるんだけど、もしかして笑ってます?

クールな印象だったんですけど?

「いやあ。しかも牛串屋ですか? あれですよね。シロと私とこの街で出会った時のお店でしょう? タレの味が変わったと聞いた気もしますが、まさか共和国の香辛料が原因だとは……。それで、香辛料の為に共和国に行くと……」

「シロな。シロの為な?」

いや、香辛料をまた仕入れられるようにするためだけど、シロの為じゃないと香辛料の為に危険を冒しに行くヤバい奴扱いされそうだろうが。

そしてまた尾ひれやら背びれやらが付いた噂が出回るんだろう?

「ええ、ええ勿論分かってますとも。お客様がトラブルに向かう際は女性の為でしょうとも。ふふふふ」

「まーたトラブルメイカーがーとか言いたそうだな」

楽しそうにしやがって……。

俺も用があったとはいえ、呼び出してきたから何かと思ったら笑うためかよこいつ……。

最低でも今飲んでいるお茶はお土産にもらうからな!

「いやあトラブルメイカーではなく、トラブルダイバーとでもお呼びした方がよろしいですかね? 自らトラブルに飛び込んで行くようですしぷふふふ」

「おい待て。また変なあだ名を新しく増やすな。メイクはしてないと否定できるけど、ダイブだと微妙に否定が出来ないだろうが」

「事実でしょう? いやあ、お客様は本当に飽きませんなあ」

「……そういえばヤーシスの護衛って腕が良いんじゃなかったか? 代わりに行ってくれてもいいんだぞ」

確かヤーシスの奥さんって『シノビ』だったろう?

音もなく移動もしていたし、シオンのように色々な名がある程に有能なんじゃないか?

それに交渉事ならお前の方が得意だろうし、別に俺が解決しなきゃいけない訳じゃあないからな。

同盟が再成立して牛串屋が使っている香辛料がアインズヘイルまで届くようになれば誰がやろうが構わんだろう。

「はっはっはご冗談でしょう? 確かに妻は強いですが、私はてんで体力がありませんから共和国なんて遠い所には行けませんよ」

「ぐぬぬぬ……」

「まあしかし、共和国が同盟を破棄した件は我々商人に影響はありますからねえ。お客様が解決してくれるのであれば助かる方が多い事でしょう。どうか、お怪我無く頑張ってきてくださいな」

「怪我無くねえ……。で、どこまでお前は知っているんだ?」

本日の俺の用事はこれだ。

ヤーシスは底の知れない不思議な男である。

恐らく情報はかなり広く持っているはず。

だから少しでも共和国の情報を聞いておければと思ったのである。

「はて? どこまでとは?」

「共和国の王の事だよ。何か知ってる事は無いのか? 知ってたら教えて貰おうと思って来たんだよ」

「そうですねえ知っている事はありますが……お教えする対価は?」

「さっき自分で言ってたろ? 我々にも影響があり、解決したら助かる、って」

「そうですねえ。まあ今回は良いでしょう。まず、王の名ですがサラクリムという女性だそうですよ。良かったですね」

「良かったって何がだよ……」

名前を知れた事じゃないよな?

女性だったら何が良いんだよ……。

「そのサラクリムなる者がどうやら突然ふらりと三国の代表がいる場に現れ、自らを代表の上に立つ王だと宣言したそうです。当然三国の代表はそんな輩を認める訳もなく、護衛や兵を呼び武力的に排除しようとしたそうですが……サラクリム一人に悉く圧倒的なまでに返り討ちにあったそうですよ」

「え、一人に?」

いや、だって国が相手だろう?

軍もあるだろうし、個人で武勇を誇る者も大勢いたんじゃないのか?

いくら個人でどれだけ強くとも、数は力だぜ?

それを圧倒的だなんて……なにかしらのからくりがあるのか?

「ええお一人でだそうです。更にどうやら三国の代表がそれぞれ拘束されているようですね。家臣達はそれゆえ従わざるを得ないようですが、あの手この手で代表を救おうとしているようです。ただ、まずは王に会うためにあれこれ画策しているようですね」

そのあれこれの中に牛串屋のおっちゃんが使っている香辛料も含まれていると……。

王が美味い物を求めているから、それで満足させたら代表を解放させるとかなんだろうか?

「それと強い者を求めているとの事でしたが、どうやら自分が国の中で最強であると証明したいみたいですね。挑戦者は歓迎しているようですよ。王に会うだけならば手段は色々あるかもしれませんが、貴方達が強いと分かればすんなり会ってくれるかもしれませんね。その後はまあ……戦闘になるでしょうが」

「あー……だよなあ」

「宝飾類も集めているとの事ですが、単純にきらきらした綺麗なものが好きみたいですね。暇さえあれば手に取って眺めているそうです。食事の方は名うての料理人に作らせてはいるようですが、中々気に入るものが無いようですね。お客様でしたら、宝飾類か料理の方面でもお会いできるかもしれませんね」

「んんー……そうか。そっちで行けるようなら、そうした方が良さそうか……」

宝飾類は錬金スキルでアクセサリーなどを作っておくのもありだな。

性能よりも見た目重視で作ってみるか。

料理は……一般的なものよりは特別感の強いもの……またはインパクトのあるものが良いかな?

「とまあ私が知っている事はこんなところですかね。サラクリムについては謎が多いですね。強者ではあるようですが、その名を聞いた覚えもありませんし……。どうでしょう? お役には立てましたかね?」

「ああ助かったよ。少なくとも、宝飾品や料理で近づけるかもって分かっただけでもありがたい。王の強さについては皆にも話して警戒は強めてもらえるようにするさ」

おおよそとはいえどれほどの強さなのかが分かったのは良い事だろう。

とはいえ、国を相手に戦えるとなると戦闘は極力避けたいところなんだが……どうだろうなあ。

「しかし、自分で聞いといてなんだがよくそこまで細かい情報を持ってるよな」

「商人は情報が命ですからね。各国にお友達が多いんですよ私」

お友達……ねえ。

多分きっと、それはお友達ではないんじゃ……あ、うん。何でもないですはい。

なんか怖い繋がりが……とか思ってないですはい。

「ふふ。今回はどうなるんでしょうねえ」

「何で楽しそうなんだよ……」

「お土産話を楽しみにしているんですよ。お客様が出かけると、毎度面白い事が起こっていますからねえ。そういえばエルフの森に行っていたとか。そこでも何か面白い事が起こっていたのでは?」

「…………精霊樹が懐いたな」

「あはははは! どういう事ですか!? 精霊樹を持ち帰ったとは聞いていますが、懐いた!? ははは! 樹まで誑したんですか!? あははは! 私の情報網にも引っかかっていませんよ!? いやあ、やはり貴方は何かもってますねえ!」

くそう……そんな毎度何かが起こってたまるかと言いたいのに否定が出来ない……。

たまには何事もなかったぞと終わらせたいのになあ……。