軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

14-33 イグドラ大森林 一瞬の奇跡

生命力ではなく、霊体の力……霊力とでもいうべき力が代わりに出来る事が判明し、それからレアガイアから精霊樹へと陰陽刀-陽-を通じてどんどん送っている訳なんだが……これでも痩せないんだなあ。

何をしたら痩せるんだろうか?

やはり運動をせずに痩せるというのは甘えた考えなんだろうか。

痩せた立派なレアガイアを見てみたいんだがなあ……今も霊力を吸われながらもむしゃむしゃと魔力球を食べているのだが、俺が生きている内に見ることは叶わない気しかしない。

「……ん? 何? なんでそんなに見つめているの? カサンドラちゃんが挨拶に行くまで動きっぱなしだったし、ついに少し痩せた私の姿にメロメロになっちゃった?」

「はああああ……」

「深いため息!? な、なんだよう」

「いやあー……あー……さっきからずっと吸われ続けてるけど大丈夫なのかなって」

適当に話を逸らしつつ、俺はレアガイアに与えるための魔力球へと魔力を込めていく。

他の皆は精霊樹へと魔力を注いでいたり無理をするエルフの人達の救護など相変わらず忙しそうなのに、横たわるこいつの世話をするだけだとなんだか申し訳なくなってきてしまうんだよなあ。

「ん? 心配してくれたの? ぜーんぜん余裕だよー? 精霊樹の方も全力で吸いに来てるみたいだけど、君が作る普通の魔力球を食べてるだけで回復する方が早いしねえー」

そんな事を横になって魔力球を食べながら言うレアガイア。

精霊樹を挑発したのか、なんとなく精霊樹が必死に吸い取っている気がするのは気のせいだろうか。

で……こんなことを一応性別が女性である相手に言うのは憚られるのだが、どうしても言ってやりたい。

……醜いなあ。

これが魔力球ではなくポテチであり、これが精霊樹の前ではなく薄暗い部屋のベッドの上であったのなら最悪と言っても良いだろう。

なるほど……怠惰と暴食が七大罪の一つである理由がとても良くわかるな。

龍としての威厳を俺にわからせるとか、カサンドラのしごきがキツイんだとか今のお前の姿をどうにかしてから言って欲しい。

カメラの構造をしっかりと理解出来ていればカメラを作り写真を撮って見せてやりたいのだが、なんか鏡とか一瞬だけ光を入れてネガを……なんかするんだろう? という曖昧過ぎる上に多分間違っている程度の知識しかなく作れないのが悔やまれる。

エルフの村中の鏡をお借りし、今のお前の体たらくを見せつければ問題は解決できるかもしれないが……いや、現実を知って暴れられでもしたら精霊樹にとっても俺達にとってもたまらないし諦めるか……。

以前カサンドラがレアガイアは尊敬できるほどに素晴らしい龍であったと、恐らく痩せていた頃の話をしていたのだろうがそれは幻想だった気しかしないよ……。

「はぁぁぁ……」

「だからなんだようそのため息は! 私は今精霊樹を助けるために力を分け与えているんだぞう!」

「そうだな……。ああ、そうなんだよなあ……」

こんな姿でも今現在精霊樹の為になっているんだもんなあ。

こんな姿でも……なあ。

「なあ……もうちょい本気で痩せないか?」

「いやいやいや。本気も本気で痩せてるからね? こんなに動いたの何百年ぶり? ってくらいだよ? 実際効果も出てるじゃん。それに今だって霊力を吸われて痩せていってるんだよ?」

え、それで?

じーっと見てみたものの一体どこから痩せて行っているのか全く分からないんだが……。

というか、だよ。

「でも、結構な頻度で俺の魔力球食べてるよな? それじゃあ一向に痩せないんじゃ……」

下手をすると今回の超特濃魔力球で今までのダイエット効果が帳消しになっていたりしないかな?

精霊樹の為ではあるが、カサンドラに怒られないか心配なほど食べてるんだよなあ。

「あのさあ一応言っておくけど、この姿の方が痩せた姿よりも強い点はあるんだよ? むしろ私としては今の姿こそが最終形態だと言っても過言ではないと思うんだよ!」

「過言だろう……。強いって例えば?」

「まずパワー! 痩せたらパワーが落ちる! あと耐久力も今の方が上だね! この前の英雄の一撃だって耐えて見せただろう?」

ふむ。確かに体重はパワーに直結はするだろうし、皮下脂肪による耐久力もまあ分からなくもない。

が、しかしだ。

「痩せるとどれくらいパワーが落ちるんだ?」

「…………ちょぴっとかな?」

目を逸らすな逸らすな。

正直でよろしいが、ちょぴっとって誤差程度なのでは?

耐久力も皮下脂肪の代わりにがちがちの筋肉でも十分耐久力は保たれるだろう。

「ちなみに痩せたらどうなるんだ?」

「えーっと……まず、素早くはなるよね。今よりもうんと。あと……技のキレが上がるかな? あ、鱗自体の硬度も高くなるし、再生速度も痩せた方が早いかも……」

「良い事づくめじゃねえか……」

「で、でも地龍としては重要なのはパワーだよ? 龍種で一番力と耐久が強いのが地龍なの! だから長所を伸ばすべきじゃないかな!?」

「重要なのがパワーなら、速度も必要だろう……。スピードに乗った力の方が、破壊力は上がるだろうが」

硬さ×重さ×力でも破壊力はあるだろうけど、硬さ×力×スピードの方が多分破壊力は上だと思うの。

あと単純にスピードがある方が肉弾戦では圧倒的に強いだろうに。

「ぐぬぬぬ。ああ言えばこう言うね!」

「それはお前だろ……。それに、痩せた姿は美しいんだろう? カサンドラだって、自慢の母親だったって言ってたぞ?」

カサンドラが言うには今じゃ想像もできないけれどプロポーションも龍種の中じゃあ一番だと思われるほどだったんだろう?

カサンドラも立派なおっぱいだったがお前だってきっとそりゃあ凄いおっぱいだったんだろうよ。

それが今じゃあ……はあああ……。

「おおおいやめろよその視線! なんだか怒られるよりもいたたまれなくなるじゃないか! 分かった! 分かったよ! 痩せればいいんでしょ痩せれば!」

「ああ……俺にお前のその肉をおっぱいだと思わせてくれよ……」

「重要なのはそこなの!? まあ君はそこに変なこだわりがあるみたいだしねえ。分かった分かった。これだっておっぱいだと思うんだけどなあ……。あ、今なら出来るかも。ねえねえ一瞬だけなら見せてあげようか?」

「え?」

一瞬だけ見せるって……そんな事が出来るのか?

一瞬だけ痩せるの?

何らかの方法で痩せられるのだとしたら、何故それをやれず、今は出来るかもと言うんだ?

「普段だったら使い切ると戻ってこないから駄目なんだけど、今なら多分戻ってくるだろうし……見たい?」

「見たい。超見たい」

何を使いきると何が戻ってこないのかなど全く何を言っているのかは分からないが、レアガイアの痩せた姿が見られるのであればそりゃあ見たいとも。

「ふっふーん。それじゃあ、濃厚な魔力球一つ追加でお願いね? もし戻ってこなかったら、最悪暴れだすかもしれないからね?」

「……分かった」

なんだか騙されているような気がしなくもないが、安全の為にも速攻で超濃厚魔力球は作っておこう。

もし見る事が出来なかったら、もう絶対にあげない。

しばらく薄味魔力球を味わってもらうからな。

「ようし! 準備は出来たね? それじゃあやってみようかー! 瞬き厳禁だよー? どれだけの間出来るかはわからないからね!」

そういうと横たわっていた姿から立ち上がり、俺の方に体ごと向けてにやりと笑うレアガイア。

これからそのメタボリックな状態からどう変化するというのだろう?

「すぅぅぅ……はぁぁああああああっ!!!」

一体何が始まるのかと瞬きをなるべくこらえていると、レアガイアが歯をむき出しにして叫びだし、髪が自然と浮き始め目に見えない力でレアガイアの周囲が歪んでいく。

えっと……スーパーレアガイアにでもなるのか?

髪の毛が金髪になったり、オーラが可視化されたりするのか?

いやいやまさか……と思ったら、レアガイアの身体を包み込むオーラが見える!

そのオーラが陰陽刀-陽-の刺さっている方の腕へと移動していき、陰陽刀を経て精霊樹の枝へ進んでいくのだが、柄から枝へと移った瞬間に精霊樹の枝がボコって膨らみながら幹の方へと移動していく。

まるで大きなものを飲み込んだ後の蛇の腹のようだったんだが、大丈夫なの……って!?

「ふう。まあ、こんなところかな?」

い、いつの間にか大事な部分を鱗らしい物で隠している98%裸の絶世の美女が目の前にいる……。

あ、あれ? レアガイアはどこに消えたんだ?

ま、まさか……えええええっ!?

カサンドラと似た雰囲気の褐色の肌に金色の髪。

おっぱいはカサンドラよりも大きく、下手をするとシシリア様よりも大きいかもしれないなんて、まさかまさかまさかこの驚くべき程におっぱいな美女がレア……ガイア?

いや、痩せた姿を見せてくれるとは言っていたけど、変わりようにカサンドラに似た特徴があるって言うのに信じられない気持ちの方がまだ強いんだよ。

むしろレアガイアやカサンドラの親戚と俺がよそ見をしている間に入れ替わったと言われた方が腑に落ちるんですけど!?

俺の驚いた顔を見ながらドヤ顔でおっぱいと尻尾を揺らしたのだが尻尾まで美しい……。

それだけではなくくびれた腰と手足も程よく引き締まっており筋肉のバランスも良いのだろう。

まさしく、戦う女性で肉体までもが美しい……。

これがレアガイアの本来の――ボフン。

……精霊樹の方からまたしても枝が膨らみながら戻ってきたと共に、レアガイアの姿が元のメタボリックドラゴンに戻ってしまった。

嘘だろう?

短すぎる……返してくれよ先ほどの美しい龍の姿を……。

あの子が龍の姿になったらきっと、丸っこく太った地龍ではない尊敬と畏怖を抱ける龍になるんだろう?

そっちも見たかった……。

村の中じゃあ無理な話だけどさあ……。

「ああ、やっぱり数秒が限界だったね。まあ、あれだけ一気に龍の気を吸い込んだらリバースしちゃうよねえ。で? どうだった? 私の本来の姿は。龍の長の中じゃあ一番のプロポーションだったって分かったかな?」

「ああ……ああ。凄かった。カサンドラが自慢したいのも頷けるよ」

「ふっふーん! だっろー?」

あんな美人のお姉さんがこんなフランクに話しかけるところを想像するだけで楽しい気分になってくるのだが、残念ながら今ドヤ顔でフランクに話をしているのはメタボリックレアガイアだからなあ……。

……よし。次カサンドラに会った際には特訓をもっと厳しくするように絶対言っておこう。

もう一度……今度はもっと長く、あの女性の姿が見たいんだよう!