軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

14-27 イグドラ大森林 神誑し

調査が開始されてから数日が経ち、慌ただしく動いているイエロさん達を少し気にしながら過ごす事数日。

ついにイエロさんに宿の広間に集められ、報告を受ける事になった訳だが……。

「結論から報告させてもらうと、ご主人様様の言う通り今の 世界に根付く精霊樹(スペリオルイグドラシル) には分体を作り出す力は残っていないようだね」

「……ちょっと待って? なんで貴方がそれを知っていたの?」

「あー……それは後で話すよ。で、どういう事情なんです?」

隼人から聞いてなかったのか。いや、隼人が気を回してくれたのか……?

ただ、今ここで『神の世界に何故だか行けて、お前さんのお姉様から直接聞いたんだ』なんて言うと精霊樹の話がそっちのけになってしまうだろうし、後で話すから……って、ウェンディ達にも話してなかったっけ……んんー……ひと悶着起きそうだなあ。

「推測ではあるのだけれど、精霊が減少した事が大きく影響していそうだね」

「……大地に力が足りてないって事ね」

「ん。お腹空いてる? それは力が出ない」

つまり、精霊が減少した事により大地に栄養が足りていないと……。

シロの言う通りお腹が空いた状況では分体を生み出すのは難しいという事か。

「まあ、単純に言うとそういうことだね。具体的に言うのであれば、地属性の魔力と生命力がって所かな。魔力の方はエルフには地属性の魔力持ちが多いから何とかならなくもないのだけれど、大地の生命力に匹敵するものはなかなかねえ……。一先ず、魔力での回復を試してみて様子を見るしかないかなあ」

「それしかないわね……ミィ。あんた地属性魔法使えるでしょ? 手伝いなさい」

「はいなのです!」

「自分も使えるっすよー! 結構力になれると思うっす! ご主人も大丈夫っすよね!」

「ああ。魔力回復ポーションも大量にあるし、協力させてもらうよ」

魔法ではなく魔力で良いのなら任せてくれ。

エリオダルトからもらった『 魔力球(マジカルボール) 』の出番だな。

「我々は地属性の魔法は使えないが、何かできる事は無いだろうか?」

「うーん……そうだなあ。ゴーレムや地中に潜む魔物の素材があれば欲しいかな。それで僅かでも生命力の補充は出来ると思うんだ」

それで生命力が賄えるのか。

こう、魔物を生け捕りにして生命力を吸い取るとか……いや、想像するとグロイな。

うん。素材でどうにかなるなら素材でどうにかした方がいいだろうな。

「ゴーレム……それでしたら、近くにダンジョンがありましたよね。確か低階層にゴーレムがいた気がします」

「じゃあ、私達はそっちね。シロもこっち来なさいよ」

「ん? シロは主の傍に――」

「あんたがいるかいないかで効率が変わるのよ。シオンを置いていけば主様は大丈夫でしょ」

「あれ? 私もしかして除け者ですか? あ、違う! これは私を信用してお館様を任せてくれるという訳ですね!」

「ただ単に一番弱いからじゃないっすか?」

「理由が酷すぎませんかね!? 信用して任せるでいいじゃないですか!」

という訳で、地属性の適性がある者と非戦闘系の者、シオンは残り、それ以外の戦闘系の方々はダンジョンへと行く事になった訳なのだがその前に……。

「で? どういうことなのかしら?」

「……ええっと」

「そういえば貴方姉様と直接話したとか言っていたわよね? もしかしてまた? え、頻繁に会っているの?」

「えっと、またではあるんだけど、自分の意思で会えるわけではないというか俺にも理由はわからないのだけど神様の世界にたまーに精神だけ飛ばされているというか……」

「え、イツキさん。女神様の世界に行けるんですか?」

「んんー……行けるといえば行けるんだけど、感覚的には連れていかれる? 勝手に行っちゃう……?」

自分にも良く分からない事を他人に伝えるって難しい!

しかも体はこの世界に残ったまま精神だけあちらの世界にというと更にややこしい!

「ウェンディさんウェンディさん。ウェンディさんは知っていたんですか?」

「ええその……私が囚われた際にアトロスに協力してもらったと……」

「おお……ミゼラさんはどうですか? お館様の妄想という線は……」

「私は……そう言えば以前、ハーフエルフのスキルは寿命が長い分成長速度が人族と比べて遅いだけだとレイディアナ様から直接聞いたと言っていたわね」

ああ、教会に相談に行った際の話しな。

パリパリチョクォバニラをレイディアナ様が頬張り、銀の匙に私はなりたいと思った時の事か。

「おお……つまり、エルフの村でヤヴァイものキメタ訳ではないんですね」

「お前は本当に俺の事を何だと思っているのかな?」

「いや、だって大分荒唐無稽な事を言っていますよ? 流石にヤヴァイお薬でもキメテるんじゃないかと疑いますって」

……まあ言いたいことは分からなくもないか。

神様に会っていましたー! とか、あ、関わっちゃいけないかもしれないと俺も思うかもしれないし……。

「と、ともかくなんかよく分からないが女神様の所に行く機会があってその際にアトロス様に教えて貰ったんだよ」

「はあ……なるほどね。姉様にねえ……。……姉様は元気そうだった?」

「ああ。でも退屈はしていそうだったかな?」

「ふふ。いい気味ね」

複雑そうな顔をしながらも少し機嫌が良さそうに笑うエミリー。

姉であるアトロス様との仲は良さそうなものの、やはり思うところがあるのか現状を聞いて満足そうである。

「ところで、まさか貴方姉様に手を出していないでしょうね?」

「エミリー? そんな言い方はイツキさんに失礼だよ」

「いやだって、ウェンディ様にも早々に手を出した男よ? 今恋人だって何人いるのよ……」

「確かに……恋人以外にもそういう相手がいるって話も聞いたわよね」

おいレティちょっと待て誰に聞……ウェンディ? ウェンディさーん? ミゼラどころかソルテ達も? ん? なんで顔を逸らすのかな? 女の子同士のお話合いでどこまで話しているんですかねえ!?

「まあ、冗談よ。姉様はそういうことには疎いからね。エッチな話をすると顔を真っ赤にして取り乱すくらいだし、それはないわよね」

「え? いや、むしろ積極的にというか獣のような……はっ!」

「……貴方、分かりやすいわね」

くそう引っかけられた!

してやったり顔ですらなく、チョロすぎて笑ってやがる!

少し考えれば嘘だと気づけたはずなのに!

流石はエミリー……研究をしていたりと知恵者だから油断ならない!

「ご主人……人誑しだけじゃなく、神誑しまでしたんすか……」

なんですか神誑しって。

最近精霊も誑したとかミゼラに言われたんですけど、次は神ですか……。

誑したとか人聞きの悪い……誑そうと思った事もないですよ。

「流石主様ね……。もう誇るべきだと割り切るしかないわね」

「ああ。神ですら誑すのだから、我々がどうのというレベルではないのだろうな……」

「人も精霊も神も誑す。獣人に対して無敵。主最強ー」

シロは嬉しそうに俺を持ち上げてくれたのだが、全然嬉しくないよう……。

えっと、ウェンディさん?

精神体。精神だけのお話だからね?

肉体はこっちにあったのだし、ノーカウント……という感覚でもなかったんだよなあ……。

「あはは。流石イツキさんですね!」

「なんで隼人は嬉しそうなのよ……」

「だって、女神様とお会いしただけでなく女神様にも気に入られているんだよ? やっぱりイツキさんは凄いなあ!」

「どうしてお会いできるかの理由よりもそっちなんですね……」

「隼人様はお兄さんの事となると時折変になるのです……」

やっぱり……と訝し気な瞳を向けるんじゃないよ。

出会った時に錬金ギルドで別かれた際の視線を彷彿とさせるんじゃないよ。

「ほ、ほら隼人達は早く出発しないとじゃないか? 魔法の袋に回復ポーションなんかは詰めておいたから、帰りは素材を沢山いれて持ってくるんだぞ」

「誤魔化したわね」「誤魔化したのです」「誤魔化しましたね」「誤魔化せると思っているのかしら」

「まあまあ。実際急がないといけないし、皆支度を整えて出発しようか」

手厳しい……隼人のパーティーメンバーは手厳しいなあ。

隼人だけだよ誤魔化されてくれようとしてくれるのは……。

「では、我々も行くとするか」

「シロ。自分の代わりに 紅い戦線(レッドライン) を頼むっすよ」

「ん。マカセロリン」

「最近あんたそれ好きね。マカセロリンは食べない癖に」

「言いやすいのが良いの。葉っぱは苦いの美味しくないの」

確かに癖の強い味だったから、シロは尚更嫌いだろうな。

「さて、主君から魔法の袋は預かったし準備はいいな?」

「ん。隼人達よりもいっぱい集める」

「勝負なの? まあでもゴーレムならへたを打つことも無いだろうし、面白そうね」

という事で、2グループに分かれて世界に根付く精霊樹の為に動くことになったのだった。

それにしても、アトロス様が俺達の持っているもので解決できると言っていたのだが、何を使えばいいんだろう?

魔力球だけでどうにかなるのだろうか?