軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

14-3 イグドラ大森林 お団子作り

「イツキと!」

「……? はっ! クリスと!」

「え? え? えっと……ミ、ミゼラの?」

「お菓子クッキングー!」「……ッキングー!」「…………え?」

はい。それじゃあ少し時間は早いですが、午後の予定でありましたクリスとのお菓子作りです。

「……なんなの今の?」

当然の疑問だな。

でもちょっとこの場に感動的な感じの余韻が残っていたので空気を換えてみました!

あのままだと俺は退場したくなったからね!

二人きりにさせてあげて仲を深めてもらいたくなったからね!

でも約束があったから仕方ないじゃないか!

「それと、どうしてクリスさんは咄嗟に乗れたのかしら……」

「な、なんとなくですよ? お兄さんならこういうことしてくるかなーと日頃から思ってましたので……」

いったいクリスは俺に対してどういう事を考えていたんだろう?

自分で言うのもなんだが、日頃からこんな馬鹿っぽいノリだと思われているのならば心外だ!

俺はこの中で一番の年長者だぞ!

「よし。まあそれは置いといて早速始めるか」

「あ、はい!」

「置いておくの? え、置いておけるの? ……はあ。分かったわ」

という訳で、一昨日帰り際にクリスから

『アマツクニのお菓子作りを教えて欲しいです!』

とおねだりされたので一緒に作る事になりました!

「はい。じゃあ、今日作るのはお団子です。用意しましたのは最高級のだんご粉でございますれば、分量に従ってお水やお湯と砂糖等を混ぜ合わせ、丸く形を整えた後茹でて冷水で締めるだけでございます」

「おお、簡単ですね! だんご粉はお米が材料なんですか?」

「はい。その通りです。そして簡単です。極めようと思えば簡単じゃないですが、基本は簡単です」

舌触りや食感などを良くするのであれば、材料を変えたり捏ね方を変えたり、水の温度などなど沢山工夫のしがいがあるだろう。

だが、それはきっと後々クリスがやると思うので、基本は簡単に済ませます!

そして三人でお団子をこねこね。

俺を含めて三人とも料理経験は豊富なのであっという間に完成。

そして試食。

「んんー……ほんのり甘くてもちもちですぅ……」

「クリスさんが作ったのは舌触りが良いわね。とても美味しいわ」

「えへへ。ありがとうございます。ミゼラさんのは弾力が良いですねえ」

「私のはちょっと形が不格好ねえ……。旦那様のは……特段柔らかいわね」

「柔らかさにはこだわりがあるもので」

「……いやらしい意味かしら?」

違うよ? 柔らかい食感を大事にしたかっただけだよ? 本当だよ?

「うーん……確かに簡単でしたけど、作り方によって三者三様の出来になるんですね……。これはまた……色々試しがいがあるお菓子ですね」

「そうだな。何か練りこんでもいいし、もっと柔らかく伸びる素材にすれば餡子を包むのは勿論だが、そこにストロングベリーなんかの果物を入れるのも美味いぞ~」

ああ、魅惑の苺大福……。

数々の認められぬ邪道がある中で、力技にて王道の一つに数えられる魅惑の和菓子。

今度ストロングベリーに魅力を力説して納得してくれるように説得せねば!

「果実と餡子を混ぜるんですか? ……なるほど。果実のジューシー感と、餡子のもったりとした甘さの二重のハーモニーという訳ですね!」

「その通りだ!」

クリスは苺大福を食べたことはないようだが、なんという考察力……。

流石はクリス。英雄の料理番は伊達じゃあないな。

「果物を包むとなると……確かに食感はお兄さんが作ったような柔らかいものがいいですね。でも、出来ればもっと柔らかく……となると、お団子の材料から変えなくてはいけませんね。……ふふ。やりがいがありますね!」

「おーう。ちなみに、多分作ろうと思っているのは大福ってお菓子になるな。確か……もち米から作った粉を使うんだったかな……? アインズヘイルでも売ってるはずだぞ」

「なるほど……完成品を一度知った方が良さそうですね。帰りに買ってみる事にします! ありがとうございます。これは燃えますね!」

クリスの料理人魂に火が付いたらしい。

これは……お裾分けを楽しみに待つべきだろう。

「さて……それじゃあ、そろそろ本番にかかりますかね」

「本番……ですか?」

「ああ。お団子だけじゃ教えるって程でもないだろう? ここからは流れ人殺しのお菓子を作る」

「流れ人殺し……つまり、隼人様の元の世界のお菓子!」

「その通りだ! お団子と言えばコレ。だが、この世界じゃあ絶対に作れない。つまり、使う材料は……醤油だ」

「しょ、醤油……。それは確か、以前いただいた焼きおにぎりに使った隼人様達の世界の調味料ですか? でもあれは、しょっぱかったはず……」

「ふっふっふ……クリスよ。固定概念を捨てるが良い」

醤油はお菓子にも使えるのだ。

そして、塩大福という物もある事をあとで教えておこう。

「さあ……みたらし団子を作るぞー!」

材料は、砂糖、または黒糖、水、醤油、葛餡または片栗粉。

今回はお手軽さを重視して、砂糖と片栗粉でシンプルに。

「手順は簡単。材料を適量入れて鍋で火を入れ、とろみがついたら火を止めて完成だ」

「おお……こちらもシンプルですね。適量……つまりそこが、好みの分かれ目という訳ですね」

「その通り。まあ、隼人に好みを聞いてから合わせて行けばいいさ。そして、団子を串に刺して少し焼き、みたらしをたっぷりかければ……みたらし団子の完成だ!」

んんー! 甘い醤油の熱された香りが良いなあ……。

団子はもち粉を少し足して伸びるように調整したものを使用。

普通の団子じゃあ硬いし粘りが弱すぎるからな。

当然、団子に焼き目を入れる事も忘れない。

「んー……良い香りねえ。んっ! んふ……特段に柔らかくて少し伸びるのね。食感も面白いし美味しいわ!」

「おおお……甘じょっぱいたれが濃厚に絡んで……香ばしさを持ったもちもちのお団子がこれまた合いますねえ……」

「二人とも美味そうに食べるなあ。それじゃあ、これもどうぞと」

俺も早速食べたいが、その前にお茶を用意しておかねばな。

ちょっと濃い目にしてみたのだが、何本もみたらし団子はあるので問題ないだろう。

「ん。ありがとう。はあ……。緑茶に合うわねえ……」

「ああ……お茶の苦味とお団子の甘さが……これは危険です。止まらなくなってしまいます」

はいはい。

草餅に餡子を乗せた餡団子もありますからねえ。

これも緑茶に合いますよう。

「更に……ドン」

「お野菜のお漬物……? どうして今……はっ! 駄目よそんなの。ここに塩気の強いものなんて……っ!」

「ああ……もう遅いです。私達はこの三つのループから抜け出せなくなってしまいました……」

ふっふっふ……堕ちたな。

では俺も堕ちに行くとしよう!

まずは当然みたらし団子から!

ああ……この香り。

これから逃げられる流れ人などまずいないだろう。

子供の頃は和菓子よりも洋菓子だったが、大人になるとたまにものすごく和菓子が食べたくなる時が来るのだ。

団子は焼いたおかげで香ばしさが付与され、そこにたっぷりのみたらし餡が甘じょっぱく、柔らかく作った団子がもちもちで口の中が幸せだ……。

少し甘みを強くしたおかげで、濃い目の緑茶が合う合う。

そして、お漬物……。

小松菜の様な野菜のお米に合うように少ししょっぱいくらいの味付けと、シャキシャキとした食感が団子の食感とは違い、また柔らかく甘いお団子を求めてしまう。

お団子、お茶、お漬物、お団子、お茶……と、これは止まらなくなる……っ。

「お米……って、確か結構太りやすいんでしたよね……。モグモグ」

「そうなの? 穀物なのよね? モグモグ」

「そうだな。お米は糖分も高いから、太りやすいな。モグモグ」

「それは困るわね……。ずずっ……」

「困りましたねえ……。ずぅ……」

「まあ、これだけ美味いんだ。仕方ないさ。ずずっ……」

ああ、止まらない。止められない。

お団子がなくなるまでこれは止まらないなあ……。

お土産に持たせようとも思ったんだが、食べ尽くしてしまうなあ……。

だが、今の俺達を止められる者なんて――。

「ただいま戻りましたご主人さ、ああー!」

「ん? あーずるいー」

振り向くとウェンディとシロが手に一杯の食材を持って帰って来たらしい。

……そういえば、お菓子作りはウェンディも一緒にするはずだったんだった!

「酷いですご主人様ぁ……。確かに色々見すぎて遅くなってしまいましたけど、除け者ですか? 私も一緒に皆でお菓子作りをしたかったのに……」

「ん。そんな美味しそうなものを三人で沢山食べてずるい」

沢山って何故バレ……ああ、食べ終わった串の数で一目瞭然か……。

「ま、まだこれから作るから! いっぱい作るからな! なあクリス、ミゼラ」

「そ、そうですね。お土産用にも欲しいですし、私ももっと追及したいですし……。是非ウェンディさんもご一緒に!」

「ええ。私もお団子づくりを復習したいし、ウェンディ様も一緒に作りましょう!」

「うう……分かりました。許してあげます。でも……残っているのはシロと私で食べても良いですよね?」

「はい……うん。どうぞ……」

三人とも席を空け、ウェンディとシロへと譲る。

この間に作っ……たら、ウェンディが悲しむな。

それじゃあ……クリスはお茶を、ミゼラはお漬物の追加を。

俺は……粉とか色々準備しておきます!

……ふっ。誰にも止められないと思ったが、やはり俺を止めるのは恋人の存ざ、ん? なんだシロ? え? 他にもないのって? ああ、クリスが作った朝食? 一応まだあるけど……それも食べますか。はい。では、温めなおさせていただきます! ウェンディも? シロはお肉も追加で?

はい! 承りました!