軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

11-20 シュバルドベルツ帝国 バニーですよお客さん!

あー……今日はなんか妙に疲れたな。

服屋を出た後は無難な帝国の名所を見て回ったのだが、光ちゃんが俺の手を取り続け心底楽しそうにしていたのだ。

真が『ひ、光ちゃん? 兄貴とばかり手を繋がなくても……』と引きつった笑みで言うと、『だってぇ……イツキお兄ちゃんとはまたいつ手を繋げるか分からないじゃないですかぁ……』と、悲しそうな表情を見せるだけで男達を封殺してしまったのである。

しょぼんとする三人を後ろ目にして前を歩く際にだが、『ああ……しょぼくれたあの瞳……たまらない……』と、おっきしそうな雰囲気だったので注意はしておいた。

「それじゃあ兄貴! また遊びに行きますね!」

「次来るときはもっと遅く来てくれよ」

「いや、だから今日だってお昼前だったじゃないッスか……」

たわけめ。

予定の無い日はお昼前まで寝るのがデフォルトなんだよ。

若いお前みたいに朝早くから一日を満喫できるほどパッションに溢れてないんだよ!

「それではイツキお兄ちゃん。また是非! 一緒に遊びましょうね! アインズヘイルも楽しみにしてますぅ!」

「……おーう」

是非の部分に感情がたっぷり込められており、これは逃がさないぞというような感じだろうか。

まあアインズヘイルに来たのなら案内くらいは構わないけどさ……。

あ、光ちゃんに生徒達が作った香水をつけてもらえばかなりの宣伝効果が得られそうだな。

持ちつ持たれつって事で、あいつらの為にも利用はさせてもらうとしよう。

で、あれか? もう俺には男とばれたから開き直ってるのか?

すすすっと真達の後ろに隠れてスカートの端を持ち上げるんじゃないよ。

ばれたら危ないのは自分なのにスリルを味わってるんじゃないよ!

「まったく……それじゃあな」

真達と別れて帰路につく。

まあ帰路につくと言っても屋敷は見えているし、すぐそこなんだけど。

「ん」

「シロもお疲れさん。悪かったな」

「ん。大丈夫」

「はぁぁぁ……悪いついでで申し訳ないんだが、先に戻って皆に夕食にしようって伝えてきてもらえるか?」

「ん……? 主から離れるのは危ない」

「ここは帝国だし、目と鼻の先だから大丈夫だよ。いざとなったら転移で逃げるか叫び声でも上げるさ。それよりも……今は早く、癒しが欲しい……」

「んんぅ……わかった。主。真っすぐ帰る」

念押しまでされてしまったが、もう目と鼻の先だしな。

とはいえ、歩くスピードは上げられない程に疲れてたんだな……。

辺りは夕方から夜へと変わる頃だろうか?

お腹もすいたし、シロもきっとお腹がすいたことだろう。

さあ、早く帰ってご飯を食べよう。

今日はシロを沢山労ってやらねばな。

「……だーかーらー! いいじゃないですかお客様は大満足してたんですし! おお、 現(うつつ) では味わえん快楽だった! と大喜びでしたよ!」

「あのねえ……。この店『La Bunny』はそんじょそこらにはない最高級店なの。ボディタッチの一つもさせないで、眠らせて夢の中でサービスしました! それで満足させました! だなんておこがましいわ! ラビットキックかますぞ!」

「だって、お客さんが満足したって言ってるんだから良いじゃないですかぁー! 寝不足だったから二重の意味で良かったと言ってくださったんですよ?」

「そういう問題じゃないの! もう怒った。誰が何と言おうと一度はお客さんから指名を取って貴方のその胸でも足でもお尻でも触らせないと絶対に契約を終わらせないからね!」

「そんなあ店長! 契約違反ですよぅ!」

「契約違反? ちゃんと書いてあるわよ? ほら」

「小さい! 汚い! 小さいいいい!」

……なんだか聞き覚えのある声の主が、バニーの恰好をしており、お店の前で同じくバニーさんと喧嘩をしているぞ。

そして『La Bunny』ってここの事だったのか。

結構近いところにあったんだな。

そして、どうやら女の子が俺が買った物と同じバニー服を着て接客してくれるお店のようだ。

「うわああん! 私次のお仕事も最初の相手ももう決めているんですよう!」

「最初だろうが最後だろうがさっさと済ませなさいな。なるべく高く買ってくれる相手にしてあげるわよ」

「だからー! それで変なのに買われても嫌だから自分で選んだんじゃないですか!」

「だったらその選んだ相手を連れてくればいいだろうがっ!」

「無茶言わないでくださいよ! その人王国に住んでるんですからね! ここ帝国ですよ! 帝国にいるわけ………………え?」

あ、やばい目が合った。

バニー服を着た案内人さんと目が合ってしまった……。

「いたああああああああああ!!!」

「なんですとっ!?」

「人違いです」

よし、疑いは晴れたので踵を返して早く帰ろう。

帰って夕ご飯を食べてお風呂に入ってさっさと寝よう。

今日はいろいろと汗もかいたしな、ああ疲れた疲れた。

「なわけないでしょう! お願いします待ってくださいよう! ね? ね? サービスしますから! お客さんならいっぱいおっぱい目いっぱいサービスしますからぁぁぁああ!」

「いやあ……俺帰って皆と夜ご飯食べないとだから……。あと案内人さんのはぱいだ。おっぱいじゃない」

「何のこだわりですかっ!? そんな用事なら良いじゃないですかっ! 食べ物も出ますよ! いっそ私を食べちゃってもいいんですよ!」

「いやあ……性欲でお腹は膨れないし……」

「なんで常識的なコメントをしているんですか!? え、お客さんですよね? 私が知っているお客さんですよね? お客さんなら一瞬迷ってから断腸の思いで断るじゃないですかっ! 何か疲れてませんか……?」

うん、まあ……。

今日は光ちゃんっていう手強い人を相手にしてきたからぶっちゃけ結構疲れてるのよ。

グイグイくる子だったから、同系統の案内人さんの相手はちょっと……。

「ふえぇぇぇえん。お願いしますよう……。困ってるんですよう。あ! ここ、そういえばロウカクの『Sha Lalala』と同じ系列店ですから! 絶対絶対楽しめますからぁ……!」

「『Sha Lalala』?」

って、確かクドゥロさんに貰ったカードに書いてあった気が……。

ああ、あのとても楽しかったベリーダンスのお店か!

なるほどなるほど。

で、ここがその系列店と……。

お、本当だ。書いてある。

ええっと後は共和国の『チャイ――』

「そ、それはっ!!!!」

ぐあっとこれ以上目を開ききらないだろうというほどに目を見開いて俺が出したカードに顔を寄せるバニーのお姉さん。

あまりに前のめりになるので谷間がばっちりくっきりがぱあとしているが、見られ慣れているのか気にした様子などないようだ。

ちなみにこのお姉さん、耳と尻尾は自前らしく、兎人族のようである。

「ま、ままま、まさかVIPカード! 別名英雄チケットぉ!!? 世界に発行数が3枚……渡された人数は一人だったはず……でもこれはシリアルナンバー2という事は、まさかの二人目! はっ! そういえばオーナーのクドゥロ様から一人に渡したとお伝えがぁ!」

なかなかのオーバーリアクションだと思う。

まるで腰を抜かしたかのように地べたへと座り、足をおっぴろげたまま驚愕していらっしゃる。

うむ。ハイレグ衣装でのM字開脚は素晴らしいものだ。

なんだろう。客引きなのか、それとももうサービスが始まってしまっているのだろうか?

いや、それよりもこことあのお店のオーナーだったのクドゥロさん!?

姫様のお目付け役の癖に何してんだあの人!

これは後でレンゲに報こ……何で知ってるんだって話になるから黙っておこう。

「あれ? お客さん英雄になったんですか?」

「なってねえよ……」

なったように見えるのだろうか?

やめてくれ絶対に英雄などにはなりたくない。

良く考えてみろ、先に英雄隼人がいるんだぞ?

比べられるだろ? 同じ黒髪黒目の流れ人だろ? 若くてイケメンなあいつと比べられるなど……地獄でしかない。

「ふふふふん。でもこれはチャーンス。お店にとってVIPであるお客様をお連れすれば、後はどうとでもなるでしょう」

「いや、だから行かないって……」

「そうね……。いいえ、これは貴方だけの責任ではなくなったわ。さあ、お客様。是非当店へ!」

バニーさんがパチンと指をはじくと、ざざっと従業員さんが現れる。

全員が全員バニー服を着ており、目がギラギラと輝いていらっしゃる。

「いや、だから俺夕飯が……」

「夕飯でもデザートでもお酒でもなんだってお店に配達させますわ! さあ、是非お店へ!」

人数が増えた!

何か皆小さい声で『VIP』『VIP』『英雄』『英雄』と口ずさんでいるのが怖い!

俺は隼人じゃないぞ。

年頃の若い女の子がふんすふんす鼻息を荒く鳴らすもんじゃないよ!

ちょ、案内人さん!?

うおおお、目の前いったいにあっという間にバニー耳が!

近い近い、満員電車ばりに近い上に色々と押し付けられたり無理やり触られたり触らされたり、っ、誰だち〇こ触ったやつ!

あ、ちょ、ま……ああー!