軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

10-10 アインズヘイルで休息を 孤児院クック2

……みりんが欲しい!!

醤油、味噌はお小遣いによって継続的に手に入り、結構な量を乱用しても問題ないくらいには貯蔵が出来ている。

だが、お小遣いにその後変化がないのだ……。

現状で言うと、一日金貨5枚と数日に一度醤油か味噌が手に入る。

一日50万ノールが手に入り、この世界でも醤油と味噌が手に入る……それだけでも十分贅沢なはずなのだが、こう日本食をある程度再現出来るようになってくると、みりんも欲しくなってくるんだよ……。

俺も流石にみりんの使い方はともかく、作り方までは知らないからな……。

おそらくだがみりんは大豆を使わず、米をどうにかして作るはずなのでこの世界でも探せば出てくるかもしれない。

米となると、やはりアマツクニか……。

アマツクニで作られているかどうかが知りたいところだな……。

アマツクニといえばユウキさんかアヤメさんになるのだが、アヤメさんとはアイリス経由な上に「そんなくだらないことで連絡してこないでください。アイリス様は忙しいんです。殺しますよ?」とか言われそうだよな……。

毎回お米を送ってくれているユウキさんと連絡を取るには隼人経由になる訳で、同じく忙しい隼人に俺のこんな用事で連絡していいかと悩みどころである……。

というか、ロウカクに行ってから今まで、隼人に連絡が取れないんだよな。

っていうか、連絡が取れてお願いできてもすぐには手に入らない……と。

「はあ……大学芋は作れないか……」

せっかくだからゴールデンモイで大学芋を作ろうとしたのだが、残念ながら諦めるしかないようだ……。

となると、スイートポテトかさつまいもでモンブランでも作りたいところだが……。

「主さん? そろそろいいでやがりますか? 持っていくでやがりますよ?」

「あーい……」

仕方ない。

現状どうすることも出来ないのだから諦めるしかあるまい。

むうう……みりんがあればもっと色々な料理を作ることが出来るのに……。

「「「「「いっただっきまーっす!!」」」」」

子供達が盛大に、そりゃあもう豪快にテーブルの上に並ぶご馳走に飛び掛るような勢いで食事を始める。

まあ、見た事もない高級食材や美味そうな匂いを放つ肉、肉、肉!

これで落ち着けというのも無理があるだろう。

マザーやシスター達が聖女様の前で……と、諌めようと頑張っているが、それをテレサが止めるので子供達は自由に食事を行っていた。

「アイナ姉ちゃん! ゴールデンモイありがとう!!」

お礼を言うのはさっき出会った子供達。

ゴールデンモイは来年の楽しみに……と言っていたが、まさか今年食べられるとは思わなかったのだろう。

嬉しそうに口元にゴールデンモイをつけて満面の笑みを浮かべている。

「私だけではないぞ。主君やテレサ殿のゴールデンモイだからな。礼を言うのならば、主君達に言うといい」

「いやいや、絶妙な焼き加減でやがりましたよ。香ばしさを際立たせつつ苦味を出さず、ホクホクな仕上がりで、蜜も溢れてくるなんて凄いでやがりますよ」

テレサに褒められると少し恥ずかしそうに頬を染めるアイナ。

普段料理はしないアイナだが、褒められたのが嬉しかったのだろう。

確かに、さっき味見で少し食べたのだが……あれは美味かった……。

蒸かすなどでは出来ない香ばしさと、ネットリではなくホックホクの食感。

それなのに皮から滲み出てくるほどの蜜に、ゴールデンモイの名前通り中身が金色と言っても過言ではない程に輝いている中身など、褒める点しか見当たらなかった。

しかし大学芋を作ろうとは思っていたのだが、このモイはこのまま食べるのが一番美味しいと思う。

手を入れるにしても、なるべく素材の味はそのままの方がよさそうなんだよな。

……とはいえ、大学芋は大学芋で食べたい。

最高の素材で食べる大学芋……ああ、食べられないとわかると余計に食べたくなるな……。

「すっげえ……このスープめちゃくちゃ美味しい……」

「ふふーん。このスープはこの家にあった食材だけで作ったんですよー?」

「本当!? じゃあ俺たちでも作れるの!?」

確かに副隊長はありふれた食材で激ウマスープを作り上げていた。

そのレシピも書きながら……だ。

ただ、その工程と手際はなかなか簡単に真似できるものではないと思うのだが……。

「ええ。勿論。レシピは残してありますので、頑張れば出来ますよ! ですが、料理は手間が大事ですからね。あ、ここは愛情と言うべきだったですかね?」

「いや、手間でいいんじゃないか? アク取りから切り方、茹でる順番に焼いたり素揚げしたり手間かけてたろ?」

行程を見ているだけでも普通にスープを作る何倍もの手間をかけていた。

そう説明すると、まじかよ、すっげえ……と、感激し作った副隊長に尊敬の念を向け、そしてスープをおかわりしてまた夢中で食べ始めてしまう。

「見ててくれたんですね……。もう、それならそうと言ってくれればいいのに。はっ! やっぱりあのエプロンが……っ!」

「いや、それはないんだけど……」

とはいえついつい見てはしまったんだよな……。

こうね……台所というのは狭い上にちょっと手を伸ばさないと物が取れなかったり、箱を床に置いてその中に野菜があったり、下の方に物があったりするわけで……。

そうなるとね、こう……お尻が突き出されている状況が生まれるわけですよ。

するとどうなるかというと、お尻の丸みを帯びた修道服にこう……うっすらとね、その浮き出るというか……見えてくるわけで……。

ついつい視線が……ね? 俺も男の子だからね。

まあ絶対に言えないけどね!

おっぱいに視線を向けると気づかれるというが、こればかりは気づかれていないはず!

「おっと、スプーンを落としましたよ」

ほら、こういうのね。

しゃがんで取ればいいんだけど、お辞儀をする様に取るから――

「……主さん。ほどほどにしておくでやがりますよ」

「……ナンノコトデショ?」

「あんまり露骨な視線過ぎるのもどうかと思うでやがりますよ」

「んん? 何のことですか? あ、もしかして隊長が下にあったお鍋を取るときに主さんが穴が開くんじゃないかってほどお尻を凝視していたことですか? あれは情熱的でしたね!」

……二人に気づかれてる!

女性が男性の視線に敏感だという話は知っていたが、まさか他人に向けられた視線にまで敏感だとは思わなかった!

唯一の救いなのは、二人があまり気にしていないことだろう!

ごめんなさい! ありがとうございます!

「私のもでやがりましたか……。はぁ……もう。本当、色欲が強すぎるでやがりますよ……」

「仕方ありませんよ。脂も乗り始めている20代。主さんは現役も現役ですし、あれだけの女性を抱えていらっしゃいますしね。とはいえ、熱い視線を私達にも向けるということは、ご満足できていないという……。つまり、私達にもまだ……」

「はぁぁ……それは何人目になるでやがりますか? それでいいんでやがりますか?」

「別に良いのでは? 愛の形は様々ですし、レイディアナ様も一夫多妻を認めているんですよ?」

ほう……。

レイディアナ様はハーレム肯定派なのか。

あんな真面目で清純な感じがするというのに、まさかというか意外だな……。

「それを言われると……。はぁ、なんでレイディアナ様は一夫多妻を推奨するのでやがりましょうな……」

「乙女な隊長的には一夫一妻がいいんですもんねー。でも、レイディアナ様を崇拝しているんですから、隊長も染まっちゃいましょうよ」

「……別に崇拝する女神が一夫多妻を推奨しようとも、私は一夫一妻であっても良いでやがりましょう」

「往生際が悪いですね。一夫多妻はレイディアナ様どころか戦闘神アトロス様、自由神クロエミナ様も推奨なんですよ? ほらほら、私と一緒にねちょねちょしましょうよー!」

「なんで副隊長と一緒なんでやがりますかっ! 馬鹿げた事を言うなでやがりますよ!」

「ええーいいじゃないですかぁー。どうせなら、一緒に相手してもらいましょうよ。流石に初めては一人ずつでもいいですけど、三人だからこそ出来る事もありますし!」

「んんっおほん!」

いい加減盛り上がってきているので割って入る。

それ以上は子供達の教育上よろしくない。

子供達は食事に夢中で気づいていないが、シスター達はまさか二人がそんな話をするなんてと、マザーはマザーであらあらと陽気に微笑んではいるものの、これ以上はよろしくはないだろう。

「っ……。失礼したでやがります……」

「乙女の会話を盗み聞きなんて悪い主さんですね。聞いた以上は責任を、痛い!」

「いい加減にするでやがりますよ……。叩くでやがりますよ」

「だから叩いてから言わないでくださいって! この暴力聖女! ちっぱい隊長! わ、嘘です! やめて! 聖なる巨大十字架(セイクリッダー) を構えないで! 死んじゃいますって!」

テレサ専用の武器である巨大な十字架に手をかけられると流石に焦りだす副隊長。

まあ、あれは洒落にならないよな。

騒ぎに気づいた子供たちが巨大な十字架を担ぐテレサに驚きつつ、大慌てで逃げ出す副隊長に笑いながらも、こうして無事食事会は終了したのであった。