軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

白神祭中層③

スカイさんが落とした地図の大量の書き込みだが、よくよく見るとどれも字が可愛らしく、ところどころに絵なども入っている。

なんというか、全体的に可愛らしい雰囲気があった。まぁ、もちろんみられた方としてはたまったものではないのだろうがと、そう思いながら視線を上げると、スカイさんは真っ赤な顔で笑顔を引きつらせていた。

たぶんだけど、俺が相手じゃなければ即座に地図を回収したいのであろうが、シロさんの祝福を受けている俺に遠慮しているのか、行動を起こす感じはない。

さて、どうするのが正解だ? 完璧に不慮の事故だし、スカイさんの反応的に明らかに触れるべきではない。となると、何事もなかったかのような態度が一番だ。

「はい、どうぞ」

「あ、ありがとうございます。お、お手を煩わせてしまい、申し訳ありません」

「気にしないでください、案内よろしくお願いします」

たぶん、これでいいと思う。俺は努めてなにごともなかったかのようにふるまいつつ、案内を再開してくれたスカイさんに声をかける。

「……ちなみに、最初はどこに行くんですか?」

「皆様も、下層である程度出店などを見ているでしょうし、飲食系はあとの方がいいかと思いまして、視覚的に楽しめるものや実際に体を動かせるものなどから回る予定です」

「なるほど、それはありがたいですね。結構色々食べたので、お腹は割と膨れてますし……」

う~ん、本当にいろいろ考えてくれてるみたいというか、こっちの下層での動きも想定の上で予定を組む当たり、かなり優秀な人という印象がある。

そんなことを考えていると、陽菜ちゃんがスカイさんに恐る恐るといった感じで話しかけた。

「……あの、天空神様? 質問してもいいですか?」

「もちろんです。ですが、その前に……私のことは名前で呼んでくださって構いませんよ」

「えっと、いいんですか?」

「はい。他の皆さんも同じように、名前で呼んでくださって大丈夫です。私は生命神様の補佐を務めることが多く、あまり表には出ないので人界などでも顔はほぼ知られていませんので、周り不敬だなどと思われることもないでしょうから、どうぞ遠慮なく」

一瞬言い回しに首を傾げかけたが、ルナさんやジークさんが少しほっとした表情を浮かべたのを見て納得した。たぶんだけど、今回の祭りには人界の神殿に勤める敬虔な信者とかも参加しているだろうし、神族に気安く話しかけていたりするといい印象を持たれないのかもしれない。

リリアさんのようにクロノアさんの祝福を受けてたりすればまた話は変わるのだろうし、実際に気安く話していたとしても文句を言ってきたりはしないのだろうが、それでも周囲の視線が気になるのは間違いないのだろう。

しかしスカイさんは、神界からほぼ出ることはないみたいで、勇者祭でも裏方で仕事をすることが多く、ほぼ知られていないので問題ないとのことだ。

本人も人当たりのいい性格をしているみたいで、陽菜ちゃんに話しかけられても優し気な表情のままで親しみやすさと安心感がある気がした。

「……話が逸れてしまいましたね。それで、質問というのは?」

「えっと、中層ってやっぱり高級な店とかが多いんですか?」

「いえ、そんなことはありませんよ。たしかにシャロ―グランデの販売などもあるので、事前情報では高級志向のように思えるかもしれませんが、実際は中層は下層より神界の特色が強いというだけで、売っているものの値段などは様々です」

「なるほど、じゃあ私の手持ちでもいろいろ買えそうですね。ありがとうございました」

「いえ、なにか分からないことがあれば、どうぞ遠慮せずに聞いてください」

言われて思いついたが、今回のメンバーは割とお金持ちという人は少ない気がする。たぶん飛びぬけてお金を持っているのは、俺とリリアさんで他はそこまで大きな差はないと思う。

アニマとかは真面目だし、いままでの給料もほぼ手付かずで貯めているみたいなので、結構お金は持ってる気がする。

ちなみにアニマの給料に関しては、俺の所持金の三分の二はアニマに預けている関係上、最初は好きな額をアニマが決めて取ってくれればいいと言ったのだが……自分の給料を最低限の経費レベルの金額に設定しようとしていたので、最低でも月に金貨一枚は給料として受け取るようにとキツク言い聞かせた。

その上で、イータとシータ、キャラウェイの給料に関してもアニマに決めてもらい、従士長であるアニマは三人よりも多い金額にするようにとも言っておいた。

その結果いまのアニマの給料はその月の利益である程度変動するが、平均して月に金貨五枚前後といった感じだ。

アニマはお金の管理や運用もしている上に、いくつもの店舗や商会に融資したり……流石経済界のホープと言われるだけあって、相当の利益を出してるみたいで、いまもどんどん俺の資産は増えていっている。

正直もっと給料を受け取ってくれてもいいと思うのだが、本人があまりお金を欲しがっていないので困ったものだ。

リリアさんがイルネスさんの給料をなんとか上げたいと考える気持ちがよく分かる。