軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

究極の神⑩

イリスとも話をして、ある程度自分の中の考えをまとめ終えたアリスは、普段マキナと訓練を行っている空間にやってきた。

最初はエデンに連れてきてもらったが、訓練が定期的なものになってからはこの空間に入れる道具を貰っているので自力でやってくることができる。

「マキナ、ちょっと聞きたいことが……って、うん?」

いつも通りの白い空間に辿り着いたアリスだったが、直後に目の前の光景を見て硬直した。

そこにはアリスが雑貨屋の際に来ている猫の着ぐるみを模して作った巨大なぬいぐるみを抱きかかえ、こちらに背を向けて寝転がっているマキナの姿があった。

そしてマキナの横には立て札があり『疲れてる。慰めて』と書かれていた。

「……なんすかこの見るからに面倒な展開」

(…‥それで、どうしたんですか、マキナ?)

「……相手が心読める前提で、本音と建て前を逆にするボケを入れるのは、どうなんだろう……」

立て札に書いてある通り疲れているのか、声に元気がなくツッコミにもキレがないマキナの様子を見て、アリスはやれやれと言いたげな表情でため息を吐いてから口を開く。

「はぁ……それで、なんなんすか?」

「私はね、いま世の理不尽に打ちひしがれてるところなんだよ」

「『理不尽側の存在』がなにふざけたこと言ってんすか……」

心底呆れたような表情を浮かべつつ、アリスは心の中で面倒な時に来てしまったと考えたが、とりあえずマキナのテンションを回復させなければ話が進まない。

そしてわざわざ慰めてと立て札に書くあたり、アリスに対してなんらかの要求があるのだろう。

「結局、慰めろって、なにすればいいんですか?」

「……たこ焼き作って」

「……はぁ」

マキナの要求にアリスが再び大きなため息を吐くと、直後に目の前にたこ焼きの材料と専用の料理器具などが出現した。

アリスは「たこ焼き喰いたいなら完成品出せばいいのに」と心の中で思いつつも、材料を手に取る。

「……青のりたっぷりがいい」

「いちいち細かく注文付けてきやがりますねコイツ……」

面倒くさそうな表情を浮かべつつも、時間を加速させて一瞬で料理を完了させたアリスは、出来立てのたこ焼きを容器に入れてマキナに差し出す。

「ほら、できましたよ」

その声を聞いたマキナは振り返って、上半身を起こすと……口を開いた。

「あ~ん」

「……」

「あ~~~~~~~ん」

「……はぁぁぁ」

餌を求める雛鳥のように口を開けるマキナ……完全に甘えるモードに入っているその姿を見て、アリスはここまでで一番大きなため息を吐きつつ、マキナの口にたこ焼きを放り込む。

するとマキナは美味しそうにそれを食べて飲み込むと、再び口を開くのでアリスがまたたこ焼きを放り込む……それを三度ほど繰り替えすと、マキナは起き上がってグッと拳を握り締めた。

「よし、元気でた!」

「……相変わらず安く持ち直すテンションですね」

たこ焼き三つほど食べるとすっかり元気になったマキナにアリスが呆れていると、マキナはアリスからたこ焼きの入った容器を受け取って首を傾げる。

「それで、アリス。聞きたいことって?」

「あ~少し前に聞いた究極神ネピュラについてですね」

「……私が疲れてたのと同じ理由……」

「ということは、やっぱあのネピュラは本物ってわけですか……」

最初の展開こそ面倒な流れではあったが、一度マキナが持ち直してからは話は早く、アリスの仮説にマキナが答えつつ、マキナの方の事情も説明する。

そして粗方話し終えると、アリスは顎に手を当て考えるような表情を浮かべた。

「……予想していたとはいえ、相変わらず出鱈目な力ですね 物語の終わり(エピローグ) 」

「本当にね」

「しかし、そうなるとやはり、あの善人っぷりは演技とかじゃないということですか?」

「うん。それに関しては私も気になって、全知で調べたり知り合いの神に聞いたりしたんだけど……昔っからそんな感じだったらしいよ。全能殺しとかって呼び名が強烈だけど、実際はネピュラに喧嘩を売って負けたりしても『再戦を求めるならいつでもこい』って見逃してくれるパターンがほとんどだったみたい」

「ふむ」

「ネピュラの配下……庇護下にあるものを傷つける相手に関しては容赦しなかったみたいだけど、それ以外だと本当に寛大で優しい存在だったんだってさ。配下たちにも相当慕われてたみたいだよ」

「なるほど……微かに私が見破れないほど演技が上手いって可能性も考えましたが、やっぱり根っからの善人ってわけですか……」

マキナの言葉に納得したように頷いたあと、アリスは引き続きマキナにいくつかの質問をしてからその空間を後にした。

月が高く空に上がった深夜、世界樹の枝に腰かけていたネピュラが視線を動かすと……屋根の上でアリスが手招きしているのが見えた。

ネピュラは首を傾げながら枝から飛びあがり、アリスの元に近づく。

「……アリスさん? どうかしましたか?」

「ええ、少し……単刀直入に聞きますが、貴女は……究極神ネピュラで間違いないですね?」

「……」

……静かに告げられた言葉に、ネピュラは驚愕したような表情を浮かべた。